2-10 「褒められたらうれしい」
「よーくやった!!ははっ大健闘だな!」
おぉ……予想よりも上機嫌だし全然怒られなかった。楽しそうな藍沢先生、ちょっとびっくりしたけど治療する手際は丁寧且つ迅速なんだよな……。
「怒らないんですね……?」
「怒る?なんでだよ」
「いや……大分怪我しちゃったんで……」
「戦闘に怪我なんざ付き物だろ。ずっと苦しんでた仲間が救われて、その対価で治療できる怪我を受けたってんなら、褒めはしても怒ることはしねえ」
藍沢先生……!!そっか、呪いとはいえソウさんのことずっと助けようとしてたのは藍沢先生も一緒だもんな……。ソウさんがいつ呪われたのかは分からないけど、ちょっとずつ弱っていく姿を見るのは精神的にもきつかっただろうし。
「まぁほとんどは大雅のおかげだし……」
「その土俵を作ったのはお前だ。ありがとな」
うっ……面と向かって感謝されるのこそばゆい……。藍沢先生予想よりもストレートに感謝とか感情をぶつけてくるタイプの人だった……!
「ああそうそう、怪我をすることについてとやかくは言わないが。怪我を隠すことに関しては許さねえからな」
「はーい」
「分かったな奏?」
「……善処シマース」
目をそらして棒読みはもうそれ絶対報告しないやつなんだよなぁ……。奏さん、前に怪我するの珍しいって言われてたから早々怪我することはないんだろうけど、たまにする怪我を隠すの…………見たことあるな、結構な怪我でも気にしてなくて樹と玲士にキレられてたわこのひと。
「藍沢先生って……別に回復系の能力だったりはしないんですね?」
「うん?いや、そもそも能力に治療、あるいは回復と呼ばれる類の能力はないぞ」
「ないんだ!?」
「一時的な欠損部位の再現や感覚操作による痛覚遮断くらいだな。もしくは拒絶反応をなくす……それくらいしか能力で出来ることはない。だから四肢がもげようが内臓抉れようが極論助かりはするが、それはあくまでも細胞を培養して生成した替えの臓器を確実に繋げて治すこと、本来の医療と大した違いはない。痛覚遮断は後遺症が残る分出来るだけ使わないとなると……相当痛いからな、あれ」
「ひえぇ……」
淡々と教えてくれたけど、聞くだけで痛そうじゃん……。一般的な病院でも同じようなこと出来るけど、拒絶反応をなくすってのは能力特有のメリットだよなぁ。
「恭也、お前の能力的に痛覚遮断が出来そうだから先に言っておくが。感覚遮断に慣れるようなことだけは絶対にするなよ。痛みも苦しみも、生き延びるための信号なんだからな」
「肝に銘じておきます……」
藍沢先生の地雷はそこかぁ……。ハイテンションになって痛みが後から来るのと、痛みを能力で誤魔化すのは明確に違うのかな。後遺症ってさっきいってたし、能力で誤魔化すと感覚が戻るのに時間がかかるのかもしんない。
「因みにコイツは感覚麻痺して痛覚はほぼ死んでる」
「いぇーい」
「褒めてねぇぞ」
奏さんが怪我放置する理由ー!!絶対自分が怪我したことに気付いてないっていうやーつ!!ほぼってことは多少残ってるんだろうけど、そういやこのひとが怪我を痛がってるのみたことねーや!
「俺別に痛覚遮断のせいでこうなった訳じゃないんだけど」
「怪我放置で麻痺させたのは事実だろ」
「奏さぁん……」
それ痛覚がどうこうってよりは本来の性格がずぼらなだけな気がするな!痛みに強いと感覚麻痺するまでするまで放置する、結果的に治療が難しくなる……とかだったらそりゃ藍沢先生は怒るし奏さんも強く出れないか。




