2-9 「片付けまでが任務です」
「っソウさん!」
一息つく間もなく大雅がツルハシを置いてすごいスピードで駆け出した。何とはなしに視線を向けていた俺は悠人さんにホウキを渡される。あ、この破片集めろってことか。普通に危険物だもんな。
「ソウさん、ソウさん!」
「大雅……」
「良かった、本当に良かった……!」
さっきまでの冷静沈着な大雅はどこ行った……とは思ったけど、あんだけ動き回ってたソウさんが心配になるのはよーくわかる。まだ弱々しいけどソウさんはちゃんと無事で、戦闘中の獰猛さが嘘みたいにソウさんを抱き締めてる大雅は微笑ましい……のかな。俺とシエルさんが後片付けをしている傍らで、悠人さんは青の呪いの残骸近くで何かやってる。因みに奏さんは破片とはいえ何かあったら危ないからって理由でシエルさんに待機を指示されてた。
「むー」
「どうしたの悠人くん」
「埋め込まれてた花弁とれたんだけどさ、中身はないようだって出るんだよね」
お掃除ロボットに乗ったえっちゃんが花びらっぽいの持ってる。中身がないってどういうこと?
「逃げられた……ってこと?」
「ぽいよね。花弁複数枚あるだろうし」
集めた破片をくーちゃんが手にとって……あ、何か作ってる。コンパス?と多分これはインゴット。
「取り敢えず残りの破片は回収……勝手にターゲットコンパス作ってるし」
「たーげっとこんぱす」
「青の呪いの本体を示すコンパス、かな。つまり次の対象が分かる」
えー何か凄い。ってかくーちゃんって勝手に作れるんだな……悠人さんが行動を全部把握してる訳じゃねーんだ。破片は綺麗さっぱり回収されてインゴットにされた。悠人さんにとってはコンパス以外にも使い途があるんだろう、多分。えっちゃんがいそいそとカバンにしまってたし。
「あー結局使わなかった導線と爆弾回収しなきゃ」
「爆弾!?」
今なんか怖いこと言わなかった!?驚いたその足で悠人さんの方に走っていけば、悠人さんが地面と仲良くなってたところから青の呪いがいた場所まで謎の導線が出来てた。いつの間に……?
「えっちゃんとくーちゃんに配線してもらったんだけど、使う暇なかったよね」
「いつ配線したんですかこれ……?」
「え、欠片で道作って回収兼配線だよ」
「あのときの!!」
あの謎の欠片飛ばし、ちゃんと意味あったんだ……無意味な抵抗だと思ってた……。確認すればちゃんと青の呪いがいたところにデンジャーって書かれた赤い物体埋められてる……。
「はいえっちゃん」
「えっちゃんが回収するんだ……」
「回収っていうかえっちゃんとくーちゃんの持ち物だからね、これ」
「物騒!」
えっちゃんとくーちゃん、悠人さんの能力から派生したって言ってるけど性格とか思考ってどこまで悠人さんに似てるんだろうな。悠人さんの深層心理がえっちゃんとくーちゃんなのか、悠人さんとは全く関係なくえっちゃんとくーちゃんの人格があるのか。
「恭也くん、怪我してるね……藍沢先生のところに行った方が良いかも。もう殆ど片付いてるし、先に行っていいよ」
「あ、はい」
「おだいじにー」
悠人さんとシエルさんに見送られ、ついでに手持無沙汰だった奏さんと合流して医務室へ向かう。藍沢先生、こんだけ怪我したって言ったら怒るかな……不可抗力とはいえ破片いっぱいの地面に顔面から行ったからな……。
「お医者さんに怒られるのっていつだってこえーよなー……」
「ん。……いや藍沢先生は多分怒らないよ。少なくとも今回に関しては」
「え、ホント?」
すっごい失礼だとは思うけど、藍沢先生は怪我とか病気とかに厳しい人だと思ってた。今回に関してはってことは、場合によっちゃ怒られるっていうのは間違いないんだろうけど。
「それにしても……」
「うん?」
「あの雨ってソウさんが降らせたの?シエルさん?」
「どっちでもないよ。ソウがどうしてもっていうから、ちょっと手伝っただけ」
あれ、つまりそれって奏さんが降らせたってことか?奏さんの能力、あのマフラーみたいな影だと思ってたけどもしかして自然現象も再現出来るの??




