2-6 「テンション加速で全力疾走」
糸を視界に収めて走り出す。うじゃうじゃしてるツタ邪魔だなぁ!一旦ツルハシを構えて道中のツタを砕いていく。ソウさんに負担がかかるのは分かってるけど、そもそも糸に辿り着けないんじゃ意味がない!
『ッサセナイ!』
「うぇ!?」
なんか急にこっちにヘイト向いたぁ!?思わずツルハシでガードしたけど、勢い余って吹っ飛ばされる。何で気付かれた?さっきまで大雅にかかりっきりだったじゃんかよ!
「もしかして……ツタがセンサー代わりになってる?」
嫌な予感がしてじっと目を凝らす。いや待て、どうイメージすればこういうのって分かるんだ?相手が認識してる範囲?ちょっとイメージがつかないねぇ!
「いやもうやるっきゃねぇ!」
取り敢えず今は糸が切れれば目的としては達成になる。だから俺が出来るイメージの中で一番確実なのは、空中に足場作って全速力で駆け抜ける!
「うおおおお駆け抜けろ俺!!」
前方にツタ!ジャンプでよける!次のツタはスライディング!色んなゲームで鍛えた俺のイメージ力に限界はなあああい!
「ツタは触れなきゃ問題ない!」
『小賢シイ!!!』
あーなんかテンション上がってきた!これがハイってやつだな!今なら行ける!イメージするのはいつだって最善の未来!
馬鹿みたいに襲い掛かってくるツタにツルハシを滑らせる。砕くんじゃなくて割くように、包丁をスーッと入れて真っ二つにするように、振り抜いたその軌道すら刃に変える!大丈夫!このツルハシ最強だから!
「お前がどれだけ俺を狙おうとぉ!!俺はお前に負ける気がしねえ!」
大丈夫、だって俺が糸を切れさえすれば絶対に大雅がこいつを倒す。そんな無責任な確信を持って駆ける。はっはっはイメージしすぎて頭いてえや、もうちょっと頑張ってくれ俺。
「糸……切ったぁ!」
枝切りばさみでスライディングカット!勢い余って地面に衝突したけど、やるこたぁやった!そう思って糸の方を見れば……うわまだ動いてる!?
「しつこいぞお前ぇ!」
『ヤカマシイ!』
くっそもう一回繋がれるのだけは勘弁……っていうか繋ぎ直せるとしたら打つ手なくなるんだが!?どうするあの糸もどきやっぱ燃やすか!?
「恭也くん止まって」
静かな声に動きを止める。声の主が、いつの間にか弓矢を構えていた悠人さんが、色を湛えて言葉を紡ぐ。
「再生阻害付与。麻痺付与、鈍足付与」
糸の先端、うごめいていたその僅かな一点めがけて矢が飛んだ。ピンポイントで縫い留められた糸はさっきまでが嘘のように動きを止め、ソウさんの方に繋がってた残りの糸が綺麗に消えていく。
「しつこいのとか勘弁してほしいよね」
あ、これ地味に悠人さんも切れてたりします……?




