2-4 「その青は美しく」
「じゃあ恭也くんは分離させたらそのままソウくん、奏くんと共に避難。大雅くんと悠人くんは前衛、僕は遊撃に回る。奏くんはソウくんの警護に徹して絶対に手は出さないこと」
ヘレティックの地下にこんな広々空間があるとか思いもしなかったな……。間違いなく戦闘になるからっていう理由で連れてこられたわけだけど、実はシエルさん相当ヤバイ人だよな?それとも能力持ちにやべー人が多いだけ?
「大雅くん、良い?」
「はい。……ソウさん、ちゃんと生きてくださいね」
「……ああ。大雅も」
初めて会ったソウさんはもう圧倒的に儚いの一言だった。外に出たら桜に攫われそうだし室内にいてもほろほろと雪のように溶けそうなくらい存在が儚い。ちょっと触ったら骨折れそうじゃない?大丈夫??
青の呪いと分離してもソウさんの体力が保たない可能性はある。そうじゃなくたって青の呪いの脅威が不明な以上絶対は無い訳で、大雅は複雑な心境だろう。それでも賭けなきゃならないくらいには、ソウさんには時間がない。大雅曰くもう体調が良い日が殆どなくて、立っているのもやっとだって言ってたし。
ソウさんが奏さんの手を取り、大雅は悠人さんの隣にまで下がる。奏さんのマフラーが蠢いてソウさんが倒れ込んだら俺の出番だ。ソウさんから怨念を引き抜く……根っこを引っこ抜く感じで強くイメージする!
「ぬぐぐっ……」
イメージの筈なのにむちゃくちゃ抵抗が強い!これもしかしなくても干渉されてる感じか!?負けないように茎(概念)を掴んで力任せに引っこ抜けば、勢い余ってひっくり返った。
「出た!」
「これが青の呪いっ……いや、青の美!」
女の幽霊、みたいにみえるな。豪華なドレスとか完全に美しさを主張してるじゃんコイツ。バラ要素も宝石要素も今んところないけど、まじで幽霊?
『……余計なことヲ』
「貴女がソウさんを苦しめていた元凶ですか」
うわ大雅の声が低い。あと俺ソウさんと向かい合う位置にいたから青の美挟んで反対側なんだよな。うーん位置取り間違えた。しかも青の美はこっち向いてるから迂闊に動けねぇ。
「私、ソウさんが呪われてから犯人を殺したくて殺したくて……ずうっと待ってたんですよね」
声音と動きと言葉が一致してないんだよな。奏さんでももうちょっと一致するレベルで酷い。快活な声を出しながら全力で殺意出してくる感じ、すげーキレてる感はまあある。
『足りない。足りないワ』
「これふつーにやば」
『全員殺ス』
急に地面からツタ出てきたぁ!?悠人さんに襟首捕まれてどうにか逃げられたけど、バラ要素もしかしてこれなのか!
「あざっす!」
「ごめん、多分回り込めないわ」
あ、つまり俺も戦闘要員ってことね!奏さんはソウさん連れてちゃんと下がってるし大丈夫そう。ただツタが微妙に壁になってるの本当に厄介だな……燃やすか?いや宝石だと燃えねえか。
「恭也くん無事!?」
「大丈夫です!」
シエルさんは奏さん側、俺と悠人さんは反対側。大雅はちょっとどこにいるのか分かんない。やられた訳じゃないだろうし、単純に俺が見失ってるだけかな。
「このまま俺も戦闘に回ります!」
「気を付けてね!」
シエルさんからの激励を受けつつ、とにかく体勢を立て直す。広々とした空間だった筈なのに、どこもかしこも宝石でできたツタがうごめいてて危ないったらありゃしねえ。
「一応本体、あの人型?」
「えーっと……多分、はい」
見た目が女性っぽいの、旧時代の美の象徴とかそういうのが女性だったから……とかなのかな。生憎今の時代に性別っていう概念は廃れて久しいんだけど、やっぱ昔に呪いになったからアップデートされてねえんだろうな。




