いざ家族の時間を!!!
桃太郎の言葉を皮切りに、皆がやる気を出す。
月の王「気をつけろ。世界は広い。故に私よりも強い相手も居るはずだ。私が思うにいつまた来るか分からない状況に
怯えるよりも、こちらから攻めた方がいい気はするがな。
私も救われた命だ。この命にかけてかぐやを守ってやろう」
月の王の思わぬ発言に驚く桃太郎達。
確かに、月の王が仲間となってくれれば百人力だ。
だが、まだ完全に信用した訳では無い。
何せ、殺し合った仲なのだから。
桃太郎「あんたの事はまだ信じられねぇが、あんたの助言で敵がいる事を知れたのは事実だ。礼は言っておく。ありがとな!」
突然の礼に驚く月の王。
ふっ、と笑うとそのまま言葉を続けた。
月の王「もう暫く敵は攻めてこないはずだ。何より、日ノ本までは距離があるからな。一応、私が海岸で監視をしておく。その間に、失われた家族の時間を作るのだな。」
彦星「助かる。何かあれば直ぐに教えてくれ!」
彦星の言葉に頷く月の王。
桃太郎「あんた1人で大丈夫なのか?」
桃太郎の心配ともとれるその言葉に月の王はまたしても
嘲笑う。
月の王「ふっ、愚問だな。私は最強と自負している。
お前にも彦星の傷が無ければ勝てていたと思う程にな。
故に、私がそこらの相手に負ける筈がなかろう。
心配はいらん。お前達は家族で仲良しこよしでもしていれば良い。」
不貞腐れる桃太郎。
しかし、彦星と織は礼を言っていた。
そのまま月の王はその場を去ってしまった。
結局正体も何がしたいのかもよく分からないまま消えてしまった月の王。
だが、今は月の王の言葉に甘えるとして、皆で帰路に着くことにした。
一寸法師は春姫と共に国へ帰り婚姻の義を結ぶこととなった。
一休は自身の寺を空けすぎた為、1度戻るとのこと。
そして、最後に皆に一言だけ添えて火男と共に帰って行った。
火男は、行く宛てが無い為、一休の元でやりたい事を探すようだ。
金太郎とおゆきは、2人で静かに山にでも家を建て、2人で過ごすとの事。
浦島は、一度家に戻った後に桃太郎の家に遊びに行くと言っていた。
どうやら、かぐやにぞっこんの様だ。
夜叉姫は当然桃太郎と共に彦星と織とかぐやと共に家に帰る。
こうして一時の平和な時間を皆が思い思いに過ごすのであった。
帰りの道中、かぐやを連れてすずの元へ行き、かぐやの力ですずの舌を治して上げると大いに喜び、声が出る事に感動していた。
更に芳一の目もかぐやは治してみせた。
芳一も、かぐやを女神の申し子と言って崇めるようになっていた。
そんなこんなで道中は人助けをしながらゆっくりと帰路に着く。
久しぶりに見える木造の家が一軒。
桃太郎は自然と早足となり、
桃太郎「じいちゃん! ばあちゃん! ただいまァ!!!!!!!!!」
桃太郎の声に反応して飛び出してくる、久しぶりに見る爺ちゃんと婆ちゃんの姿。
2人は桃太郎の顔を見ると同時に涙を流し、抱きしめた。
おじいちゃん「桃太郎・・・・・・よくぞ無事に帰ってきた・・・・・・」
おばあちゃん「何度後悔した事か・・・・・・桃太郎、本当によかった、あんたが無事に帰ってきてくれて本当によかった」
2人の涙に思わずもらい泣きする桃太郎。
桃太郎 (あぁ、やっぱり俺はばあちゃんとじいちゃんが大好きだ・・・・・・年寄りの温もりが暖かいぜちくしょう)
3人はしばらく抱き合っていると玄関の奥から、
「ただいま親父、おふくろ」
おじいちゃんとおばあちゃんが玄関を見るとそこには彦星と織、
そしてかぐやが立っていた。
織「長い間、桃太郎をありがとうございました。お父様、お母様」
かぐや「お爺様、お祖母様、今戻りました。長い間本当に心配をかけました。」
十何年振りの子供と孫の姿。
ようやく出逢えた家族全員。
お爺さんもお婆さんも言葉が出なかった。
ただただ涙が溢れるばかり。
彦星「すまなかったな親父、おふくろ。桃太郎の世話を丸投げしちまって」
おじいちゃん「よせやい・・・・・・桃太郎のおかげでわし達は楽しく過ごすことができたんじゃ」
織「こんなに立派な男に育てていただき、本当に感謝しております」
おばあちゃん「それを言うならかぐやも同じさ。こんなに別嬪になっちまって・・・・・・本当に天使みたいじゃないか」
おばあちゃんは涙を流しながらも笑顔でかぐやの頭を撫でる。
かぐや「お祖母様・・・・・・お祖母様!!!」
かぐやはおばあちゃんに思い切り抱き着いた。
おばあちゃんは少し驚くも、優しく抱きしめてくれた。
そんなホッコリする家族愛を見て桃太郎はニンマリとしている。
夜叉姫「旦那様? 顔が気持ち悪いことになってるよ?」
桃太郎「フッフッフッ、失礼だぞ夜叉。そうだ!ドク達は元気?!」
桃太郎のお供として鬼退治に一緒に行ってくれた狼のドク、ゴリラのモンク、そして大鷲のハク、最後に鬼のエルザ。
この4体はおじいちゃん達の護衛として残しておいたのだ。
おじいちゃん「ほっほっほっ、庭におるよ」
その言葉に桃太郎達は庭へ行くと4体も気付いたのか桃太郎に飛び付いてきた。
ドク「ご主人様ァ!!!!!!!!!」
モンク「ご主人様だァッ!!!!!!!!!」
ハク「ご主人様!!!」
エルザ「こ、桃太郎殿ォ!!!」
5人は抱きしめ合う。
巨大な者達に抱き締められ、苦しみながらも熱い抱擁を交わす桃太郎。
桃太郎「お前達も久しぶりだな!!! よくぞ俺の留守を守ってくれた! 何も変わりはなかったか?」
その言葉にハクが答える。
ハク「この2匹の獣がいるのです。並の獣は襲ってこないですよ。ですが、奇妙な集団が一度攻めてきました。」
その言葉に疑問を浮かべる桃太郎。
ハク「ここらでは見ない、金色の髪をした者や、目の青いもの
この地では見ないような人間達が数十人攻めてきたんです」
ドク「そうそう!それも急にな!!!」
モンク「当然、俺様達で返り討ちにしてやりましたよ!」
エルザ「一人一人は弱かったからのう。妾達だけでも十分であった!」
その言葉に思い当たりのある桃太郎。
桃太郎 (金髪に青い目・・・・・・外人か・・・・・・って事は外の世界・・・・・・あいつの言っていたことは本当だったんだな)
桃太郎「よくやってくれた! 今日はお前たちの食べたいものなんでも奢ってやるからな!!!」
そこへ彦星達もやって来た。
彦星「お前達が息子の最初の仲間たちか。俺の両親を守ってくれて助かった。心から感謝しよう」
織「本当にありがとうございます。宜しければ今後も一緒に暮らしましょうね」
かぐや「凄い大きなわんちゃんとお猿さん・・・・・・それに鳥さんに
鬼さんまで!」
かぐやの言葉に凍り付く現場。
ドク「じ、自分狼なんすけど、」
モンク「俺もゴリラっす・・・・・・」
ハク「鳥さん?!・・・・・・デ、デジャヴでしょうか・・・・・・」
似た者姉弟であった。
織が何やらかぐやに耳打ちすると、かぐやの顔は真っ赤になり
凄い早さで頭を下げ、ドク達に謝罪をしていた。
そんなこんなで平和な時間を過ごす桃太郎。
夜は皆で宴をして、美味しい食事を食べ、皆で露天風呂に入って
仲良しこよし。
寝る時は皆で川の字で家族の時間を満喫するのであったとさ。
めでたしめでたし。
とある海岸にて。
月の王「はぁ、はぁ、はぁ、既に準備をしていたか・・・・・・
『ハーメルン』!!!」
月の王は傷だらけとりながら、その場に立ち尽くす。
月の王の周りにはいくつもの死体の山が。
既に第二幕は切って落とされようとしているのだった。
「面白いな、続きが読みたいなと思ったらブックマーク、高評価をお願いします。そして誤字脱字や意見などあったら是非コメントしてください。」
これにて一旦終了とさせて頂きます。
もし、この小説が伸びるようであれば、続きの『グリム童話編』を書いていこうと思います。長い間、ご愛読頂き本当にありがとうございました。ほかの小説も是非読んでください。




