いざ女の争い!!!
桃太郎「オヤジ!おふくろ!姉貴!紹介したい人が居るんだ!」
彦星「なんだなんだ出会って早々に?!」
織「桃太郎の大事なお友達でしょうか?」
かぐや「可愛い弟がお世話になったんですものね!私からもお礼を言わなくては」
桃太郎に連れられてやってきた夜叉姫。
夜叉姫「あの、桃太郎様に求婚され、婚約することになった夜叉と申します。桃太郎様の家族に相応しい女になれるように頑張りますのでよろしくお願いいたします。」
いつもの口調とは違い真面目に話す夜叉姫。
彦星は大いに喜び拍手までしてくれた。
彦星「おぉ!桃太郎にこんな別嬪さんがいるなんてな!
親として誇らしく思うぞ息子よ!」
彦星と腕を組み合う桃太郎。
しかし、女性陣の反応は違った。
織「・・・・・・桃太郎ちゃんが結婚?・・・・・・許しませんよ!!! 私だって桃太郎ちゃんと全然過ごしてないのに、もう家を出るなんて許しませんからね!!!」
かぐや「そうですよ!!! 桃君はまだお姉ちゃんともお風呂に入ってないんですから!!! さぁ、桃君?帰ったらお姉ちゃんと一緒にお風呂に入りましょうね!」
久しぶりの桃太郎の再開もあり、溜まりに溜まった息子愛、そして弟愛が爆発する女性陣。
それには彦星もドン引きであった。
それに呼び方まで変わっていた。
桃太郎「おいおい! 夜叉の前でやめてくれよ! それに、
俺はもう決めたんだから! 夜叉は俺の大切な女なんだ」
そう言って夜叉を見つめる桃太郎。
夜叉姫も顔がウットリしている。
織「キィーーーッ!!!!!!!!! 桃太郎ちゃんが女に手駒にされていますー!!!」
かぐや「助けてもらった手前、何にも言えないですー」
怒る織に泣き叫ぶかぐや。
そして彦星はというと爆笑している。
何とも騒がしい家族だと桃太郎は心の中で思っていた。
でも、なんだかやっぱり嬉しい。
現実世界では両親と仲が悪く、成人すると直ぐに家を出た。
その為、両親とこんなにわちゃわちゃ話すのが凄く新鮮に感じたのだ。
そうやって騒いでいると、夜叉が慌てて口を開いた。
夜叉姫「あ、あの! お母様! お姉様!」
夜叉姫の言葉に反応する織とかぐや。
織「お母様?」
かぐや「お姉様?」
まだあなたの家族ではありません。
そう言い返そうと思ったら夜叉姫が続けて言葉を発した。
夜叉姫「桃太郎様にはこれからも、実家で暮らしていただこうと思っています! ようやく家族と出会えたのですから
離れて暮らすのは酷というものです。それに、桃太郎様の事はお姉様に面倒を見て頂けると助かります!桃太郎様はこの通り、イケメンですので変な女が寄ってくるかも知れません。その為、お風呂の時も片時も離れてはいけないと思うんです!だから、お2人にも協力して頂きたいです!」
夜叉姫の言葉に目を合わせる織とかぐや。
そして、頷き合うと2人は夜叉姫の手を取った。
織「あなたも私の娘ですよ。今後も気軽にお母様と呼んでください。一緒に桃太郎ちゃんを守りましょうね!」
かぐや「可愛い妹。共に桃ちゃんに付く変な虫を振りほどきましょうね! 私達3人で!」
急に態度が変わる織とかぐや。
夜叉姫「はい!!! お母様!!! お姉様!!!」
そして3人は何故か抱き合っていた。
この光景に桃太郎はもう訳分からんと頭がパニックである。
だが、悪い気はしなかった。
自分の愛する女が、自分の愛する家族と仲良くなる。
彼女を両親に紹介するのは、こんな感じなんだなと浸っていると彦星が肩に手を回してきた。
彦星「本当によくやったな。お前が息子で誇りに思うぞ桃太郎。」
改めて感謝の言葉を告げる彦星に、桃太郎は照れくさくなりながらも「おう」と返事をした。
他の面々も互いに再開を喜んでいた。
浦島はかぐやに何やら挨拶をしており、金太郎は臼井と話していた。
一休は庄左衛門の弟子だったらしく、師弟の再開を果たしていた。
一寸法師も春姫に求婚を迫られ喜んでいた。
こうして最後の戦いが終わり、結果ハッピーエンドで幕を閉じるのだった。
桃太郎「いやぁ、めでたしめでたしってやつだな!」
月の王「いや、そうとも言えんぞ」
突如桃太郎の背後より語りかける月の王。
いきなりの登場に桃太郎は驚愕していた。
桃太郎「て、てめぇ!!! なんで生きてやがんだ!!!? 確かに塵となって死んだはず!!!」
桃太郎の言葉に全員が戦闘態勢をとる。
彦星に至っては既に、月の王に剣を当てていた。
彦星「まだ息子達を殺ると言うのなら容赦はせんぞ」
先程までの笑ってばかりの親父ではなく、殺気だだ漏れの怖い親父へと豹変していた。
しかし、月の王に戦いの意思はなく、両手を上げ、
月の王「待て。私も命を救われた身。命の恩人に刃を向けるような真似はせん。先程も言った通り、戦いはまだ終わっておらんぞと伝えに来たのだ。」
月の王の言葉にハッとする桃太郎。
桃太郎「そうだ!!! 世界がどうとかこうとか言ってたな!!!
どういう事だ?! まだ姉貴は狙われているのか?!」
桃太郎の言葉に驚く彦星と織、そして当の本人であるかぐや。
月の王「あぁ。この国は日ノ本と言う。そして、世界はこの大陸だけでは無い。むしろ、世界に比べたら日ノ本等、小さい部類に入るだろう。私は一度死に、そして亡霊へと変わった。
月の使者とは亡霊の集まりのような者だ。その中で私が一番良かったから王と名乗っていただけのこと。そして、かぐやの力を知ったのだ。彼女の力があれば蘇る事が可能だと。それを教えてくれたのは紛れもなく他の世界の者だ。そして、予知能力のある者がその噂を広め、この日ノ本へ探しに行く準備をしていると。
だから、私がそ奴らが手を出す前に保護し独占しようと思ったのだ。済まなかったなかぐや。共に手を取り合う方法もあったが
蘇生という言葉に踊らされていた。彦星、織そして、皆の者も
すまなかった。」
彦星達に最早月の王の謝罪など、頭に入ってこなかった。
まだ戦いは終わっていない。
その言葉が衝撃過ぎたのだ。
ようやく手に入れた平穏な生活だと思っていたのに・・・・・・。
だが、その重たい空気を変える者がいた。
桃太郎だ。
桃太郎「だあああッ!!! 今は良いじゃねぇか!!! ようやく家族で会えたんだ!!! それに、家族の力があればどんな事だって乗り越えられる!!! 俺達はこんな過酷な道を進んできたんだぜ?! なるようになるさ!」
桃太郎の言葉に皆がポカンとしている。
桃太郎 (あれ? 俺何か間違えた事言ったか? この空気はなんなんだよ)
あまりにも静かで冷たい空気が漂う中、桃太郎は恥ずかしさのあまり、穴に入りたくなってきた。
彦星「ハッハッハッハッ!!! その通りだな桃太郎!!! 全くお前と言う奴は!!!」
桃太郎の背中を笑いながら思い切り叩く彦星。
織「私達家族ならどんな佳境も乗り越えられます!!!」
かぐや「本当にありがとうございます桃太郎ちゃん!私はもう下を向きません。自分の運命から逃げません。どうか一緒に抗ってください!」
周りの仲間達も頷く。
浦島「かぐやさんを狙う奴は皆殺しだよ」
金太郎「世界か・・・・・・面白ぇじゃねぇか!もっと強くなって俺様の腕を試してやるぜ!!!」
夜叉姫「私のお姉様を狙うなんて許せないわ!!! 戦うわよ旦那様!!!」
桃太郎の言葉を皮切りに、落ち込んでいた空気は一変、皆が再びやる気を出していた。
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