いざ総力戦!!!
皆の号令の元、人間達が月の使者目掛けて突撃を開始する。
数はまだ月の使者の方が二倍以上はあるが、個人の質では負けていない。
黒龍の率いる黒軍は皆が屈強な兵士であり、その力で月の使者達をなぎ倒していく。
対して赤鹿率いる赤軍はその速さで次々と斬り裂いていた。
磯貝率いる兵達は、磯貝の指揮の元一糸乱れぬ統率により
月の使者達を寄せ付けず互角に渡り合っている。
春姫の兵達も押されてはいるものの、何とか耐えている。
そしてこの連合軍で一番弱いとされていた春姫の兵達には
力太郎達3人が助っ人として参戦した。
彼ら3人の個人の力により、押されていた前線は大いに盛り返していくのだ。
金太郎達と別れたあとは3人で必死に訓練をしていたのだ。
今までは生まれ持っての、天性とも言えるその力のみで戦っており、訓練などしてこなかった3人。
しかし、金太郎達に敗れて気付いたのだ。
生まれ持っての天賦は努力した者には勝てないと。
過去の力太郎達では月の使者を数体倒せば御の字であっただろう。
しかし、今の力太郎達は数十体を倒し、まだまだ余力を残していた。
それだけで力太郎が如何に努力をしてきたかが伺えるであろう。
こうして全ての軍団が月の使者相手に押している状況になった。
更に、守りに徹していたおゆきと火男も前線へと飛び出し、更に
火や雪で敵を葬り去っていく。
浦島だけは、未だにかぐやの傍を離れず自分の手で守っていた。
浦島「近付くな・・・・・・かぐやさんに近付くなァッ!!!!!!!!!」
人格が変わったかのように叫ぶ浦島。
そして、戦い方もいつもとは違う。
いつもは、さざ波のように流れるように静かに敵を斬る浦島であったが今回は激しい荒波の様に、敵を乱暴に切り伏せていく浦島。
今まで、何故桃太郎に執着していたのか。
やっと答えがわかった。
かぐやと出会う為だ。
浦島はかぐやに会う前から、彼女に運命を感じていたのだ。
そして、かぐやとらちの繋がっている桃太郎も、放っておけなくなり、そして汚れて欲しくなかった。
だがら、汚れ仕事は全て浦島が請け負ったのだ。
今は目の前にいる。
自分が追い求めていた運命の相手が。
そして、奪いに来ようとしている者達も目の前にいる。
浦島の怒りは爆発していた。
その光景は仲間達から見ても引くほどに、乱暴な戦い方であった。
相手が人間だったのなら、そこら中に四肢が散乱していたであろう。
夜叉姫「どうしちゃったんだろう? まぁ敵を沢山倒してくれてるしいっか!」
脳天気な夜叉姫は特に気にすることなく、そのまま敵を倒していく。
兵士達も奮戦して次々と敵を倒している。
このままいけば勝てる。
皆がそう思っていた。
「ドォンッ!!!」
突如近くにあった岩に激突してくる『何か』。
皆がその『何か』を見ると、なんとボロボロになった桃太郎であった。
いち早く気付いた夜叉姫が叫び、駆け寄る。
夜叉姫「?! 桃太郎ッ!!!!!!!!!」
桃太郎「来るなッ!!!!!!!!!」
叫ぶと同時に月の王が桃太郎目掛けて突っ込む。
「どごおおおんッ!!!!!!!!!」
あまりの衝突に、爆風が起きて夜叉姫は吹き飛ばされる。
夜叉姫「きゃあッ」
月の王の剣を何とか受け止める桃太郎。
桃太郎「くっ!!! こっからが本気って事か!!!」
鍔迫り合いとなるも月の王の方が力が強く、どんどん押し込まれていく。
桃太郎の首にまで押し込まれるその刀は、どんどん首に刺さり、めり込む。
月の王「先程までの威勢はどうした? 所詮蛙の子は蛙か。」
桃太郎「もう1回言ってみろ・・・・・・俺の親父が蛙だと?! ふざけた事抜かしてんじゃねぇッ!!!!!!!!!」
押し込まれていた月の王の剣を押し返す桃太郎。
月の王「ちっ! 死に損ないが!!!」
トドメと言わんばかりの力を出し、桃太郎目掛けて振り下ろそうとする月の王。
「水心流 其ノ弐 斬流波!!!」
桃太郎の背後より飛んでくる水の斬撃。
月の王は狙いを変えて水の斬撃を打ち消す。
「武心流 其ノ弐 剛猛破!!!」
今度は月の王の背後より現れ、背中を強打してくる者。
月の王「ゴフッ!!!・・・・・・フンッ!!!」
振り返ると同時に刀を振るい、金太郎を吹き飛ばす。
「雪心流 其ノ弐 斬吹雪」
月の王目掛けて飛んでくる雪。
しかも、1つ1つが鋭利な氷となっており月の王の身体を次々と刺していく。
月の王「くっ!!! 調子に乗るなァ!!!」
一振の斬撃でその全ての雪をたたき落とす。
「炎心流 其ノ参 炎吙矢」
炎の矢を次々と月の王目掛けて放つ火男。
何本か掠ると、傷口に火傷を負い月の王をイラつかせた。
月の王「貴様ら!!! 人間風情が私に歯向かうな!!!!!!!!!」
自身の周りを剣で振るう月の王。
次の瞬間、月の王の周りを斬撃が飛び交う。
全員が何とかガードするも、あまりの威力に皆が吹き飛ばされる。
なんとか皆の加勢のお陰で、事なきを得た桃太郎。
しかし、周りを見ると今の一撃だけで皆がボロボロだ。
彦星との戦いで、かなりの傷を負った月の王。
それでいて、この威力の攻撃を繰り出すのだ。
全快の状態であったなら、勝負は一瞬でついていたであろう。
何とか刀で身体を支え起き上がる桃太郎。
月の王も皆の攻撃でかなり疲労しているはず。
あとひと押しで勝てる。
そう思っていると、
月の王「お前から死ね」
突如桃太郎の目の前に現れる月の王。
桃太郎は決して油断などしていなかった。
だが、目の前に急に現れたのだ。
桃太郎は月の王を見誤っていた。
もういつ倒れてもおかしくない。
そう思っていたのに違った。
桃太郎の元へ一気に駆け寄る脚力。
そして、体力。
月の王はまだまだ余力を残していたのだ。
既に振るわれる月の王の剣。
もう少し早く気づければ防ぐ事が出来たがもう遅い。
桃太郎「すまねぇ、皆・・・・・・」
桃太郎は目を閉じ皆に謝る。
「ザシュッ!!!!!!!!!」
斬られたのに痛みが来ない。
恐らく一撃で死んだんだ。
そして、何やら頬に暖かい温もりを感じる。
桃太郎はそっと目を開けた。
桃太郎「夜、叉?」
口から血を流し、桃太郎に微笑んでいる夜叉姫が目の前に居た。
背中からは大量の血を流し、それでも桃太郎に笑顔を向けていた。
夜叉姫「も、桃太郎? お姉さんを一人残して死んじゃだめよ、
たった一人の家族だもん・・・・・・もう、これ以上、桃太郎から奪わないで・・・・・・」
桃太郎の胸に倒れる夜叉姫。
背中の傷は深く、致命傷である。
もう助からない。
桃太郎だって見ればわかる。
血を流し、どんどん冷たくなっていく夜叉姫を抱きしめる桃太郎。
桃太郎「夜叉・・・・・・嘘だろ・・・・・・俺を庇って・・・・・・やめてくれ・・・・・・目を開けてくれよ夜叉・・・・・・お前だって俺の家族じゃないか・・・・・・夜叉、夜叉ァァァッ!!!!!!!!!!!!!!!」
桃太郎は天を向き、叫び意識を失った。
両親に続き、愛する女性までも失った桃太郎。
既に精神も限界だったのだ。
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