いざ母の役目!!!
最後の護衛である庄左衛門は、自らの命を犠牲にし、firstを道ずれに死んでしまった。
残ったのは織とかぐやのみ。
彦星の生存は確認できていないが、生きていると信じている
2人。
織「かぐや・・・・・・辛いのはわかります。ですが、前へ進まなくてはなりません。彦星様を探しましょう」
かぐや「・・・・・・はい。お父様は無事ですよね?お母様」
かぐやの質問に微笑む織。
この状況で絶対等は有り得ない。
そして、今は織の未来視も何故か外れる。
いや、むしろ何も見えないのだ。
その為に、彦星が生きているのかはわからない。
織「きっと生きていますよね。彦星様・・・・・・ッ?!!!」
織とかぐやの居る場所のすぐ近くへ急に降り立った
一体の月の使者。
今までの月の使者達とは比べ物にならないほどの熱量を醸し出している。
恐らく、この敵と戦うなら今まで倒した月の使者達を纏めて倒す方が楽であろう。
それくらいに織は、目の前の存在に絶望をしていた。
織「・・・・・・かぐや、走りなさい・・・・・・今すぐ走りなさい!!!」
いつもの優しい口調では無く、明らかに焦っている。
かぐやは織の顔を見ると尋常ではない汗をかいていた。
剣を持つ手は震え、足も、いや全身が震えていた。
織「子供の前でこんな姿を見せるなんてだめね・・・・・・かぐや、
私が1秒でも長く時間を稼ぎます。貴女はすぐに逃げてください」
かぐやを心配かけまいと、いつもの優しい笑顔、そして優しい口調でそう話す織。
しかし、無理をして作り笑いをしているのなんて、丸わかりである。
かぐや「いやですお母様! 私はもう逃げません! 皆が居なくなった後に私だけ生き残るなんて死んだも同然です! お母様は私が居なくても平気で過ごせますか?! 私は無理です!・・・・・・お母様達が居ない世界なんて・・・・・・無理ですよ・・・・・・」
涙ながらにそう訴えるかぐや。
しかし、織も叱る事が出来なかった。
かぐやの気持ちがわかるからだ。
逆の立場でも、自分以外の家族が死んだら織も生きる意味を見失うと思ったから。
織はそっと目を瞑り覚悟を決める。
目を見開くとかぐやの目を見て、
織「かぐや。いいですか。絶対に生きて帰りますよ。4人が灯してくれたこの命、絶対に無駄にしてはいけません。もし、あなたの
癒しのスキルがまだ使えるなら私の援護をお願いします。私がこの剣であなたを守ります。いいですかかぐや?」
織の言葉に思い切り頷くかぐや。
涙で目を赤くしながらも、その瞳は微塵も諦めていない。
二人は頷き合うと新たな敵へと構える。
月の王「別れ話は済んだか? 貴様を殺し、そこの女は連れて帰る」
初めて口を開く月の王。
最早、その発する声だけでも意識を持っていかれそうになる。
それほどの重圧がこの場を収めていた。
織「最後に1つ聞かせてください。何故あなた達月の者は、かぐやを攫うのですか?」
織がずっと気になっていた言葉を口にする。
何故、王族でもない一般人であるかぐやをここまでして、付け狙うのか。
ずっと気になっていたことである。
月の王「お前達は勘違いをしている。私達は月の者と名乗ってはいるが、月に住んでいる訳では無い。
何十年も前に月の占いにより、ようやくその女の存在を知った。 そして、我等はそこの女の力があれば人間としてまた生まれ変わる事ができる。
そやつの癒しの力はそれ程素晴らしいものなのだ。
だから、大人しく渡せ。」
織は怒りに振るえていた。
つまり、コイツらは自分の都合の為だけに、自分達をここまで追いかけ、大切な仲間を殺してきたのだ。
こんな事をせずともかぐやにスキルを使ってと、言えばいいだけの事なのに。
織「かぐや、この者達に絶対スキルを使ってはなりません。
例え私が死ぬことになろうとも。許せません。私達の家族の時間を奪い、大切な仲間達を奪い、最後には娘まで奪おうとするなんて!絶対に許さない!!! 天心流 其ノ伍 南斗龍楼斬!!!」
織が渾身の一撃を躊躇無く放つ。
六匹の龍が月の王目掛けて地面を食い破りながら進む。
月の王「歯向かわなければ楽に死なせてやったものを。
月心流 其ノ壱 双牙月天」
月の王は2本の剣を出すと、そのまま振りかぶり斬撃を織の技へとぶつけた。
ぶつかると同時に互いの技は爆散する。
織はそのこうけいに驚愕した。
自身の渾身の一撃をたった1人で相殺されたのだ。
次なる手を考えなければ。そう思っていると目の前に月の王が
目前まで迫っていた。
織もスピードには自信があるが、それすらも凌駕する程の速さで。
反応が遅れた為に逃げる事が出来なかった。
月の王は既に剣を振りかぶっているのだ。
織は悔しさのあまり、唇を噛み締める。
今、いかなる行動を試そうが、この状況を打破できる確率は0だったのだ。
何を試しても手遅れ。
月の王の目の前で、少しの考える時間も与えられる事は無かったのだ。
後悔するが既に遅い。
後ろではかぐやが叫んでいた。
織の瞳からは自然と涙が零れ落ちる。
織「ごめんなさいかぐや、彦星様・・・・・・」
覚悟を決めて目を閉じる。
「俺を残して死ぬなんて許さないぞ織。星心流 其ノ伍 天王斬!!!」
織は声に反応して、目を開くとそこには、月の王の剣と鍔迫り合いとなり受けきった彦星。
織「ひ、彦星様?」
彦星「あぁ、すまない。遅くなったな。あとは俺に任せろ」
もしかしたらとなんとも考えてしまった織。
最悪のケースを何度も想像してしまった。
しかし、彦星は目の前にいる。
ピンチの自分を助けてくれた。
織の目からは嬉し涙が溢れていた。
そして彦星は月の王の攻撃を受け止めた。
ここから家族3人対月の王の戦いが幕を開けるのであった。
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