いざ吹き返す悪魔!!!
蜂ヶ崎と栗塚、2人の命は既に尽きかけていたのだ。
かぐやを守る為、織が戻るまでは、と2人は死力を尽くして戦った。そう、言葉の通り死ぬ間際まで。
現に数千は居たであろう月の使者達は全滅していたのだ。
織が来るとそれに気付いた2人は微笑んだ。
蜂ヶ崎「お、織様、どうやらここまでの様です・・・・・・さ、最後まで戦えず、申し訳ありません」
栗塚「かぐや様の事、後は任せました・・・・・・すみません・・・・・・」
かぐや「ごめんなさい・・・・・・2人ともごめんなさい・・・・・・私のせいで・・・・・・私のせいで」
かぐやは産まれ持っての能力である癒しの力を施すも、既に使い過ぎたのか効果は無かった。
初めは傷ついた動物を目にして、涙を流しながら傷を摩っていた。
すると、いつの間にか綺麗に治っていたのだ。
それを目にした彦星と織は大層驚いていた。
だが、その癒しの力も、強力であるが故に消費は激しく、長くは使えなかった。
織「だ、だめです2人とも! まだいかないでください!
一緒に帰りましょう! 蜂ヶ崎さん!栗塚さん!」
だが、2人の返事はない。
2人とも立ったままその場に立ち尽くしていた。
「バタンッ」
同じタイミングで事切れる蜂ヶ崎と栗塚。
役目を終えるまで何度も止まりかけていた心臓を無理矢理動かし
血の足りない体を気力で動かしていたのだ。
いつ死んでもおかしくない。
そんな状況で月の使者達からかぐやを守っていたのだ。
織「ごめんなさい2人とも・・・・・・そして、ありがとうございます。あなた方の死は無駄にはしません。」
2人のそばに跪き、涙を流す織。
かぐやもずっと2人の亡骸に寄り添い泣いていた。
織「かぐや、私から絶対に離れないでください。
2人が、いえ3人が守ってくれたあなたの命、必ずや守ります。」
決意をより一層強く固める織。
しかし、その言葉はかぐやからすると死にに行くように聞こえてきてしまうのだ。
自分を守るために母は死ぬ。
そう聞こえるのだ。
かぐや「いやですお母様! お母様まで死んだら私・・・・・・私・・・・・・」
涙を流すかぐや。
そんなかぐやを優しく抱きしめる織。
織「大丈夫ですよ。私達は死にません。貴女だけを残して死ぬもんですか。ねっかぐや」
織も身体はボロボロである。
それでも娘の前では気丈に振る舞い、笑顔を崩さない。
しかし、そんな態度のおかげでかぐやは少し心に余裕を持つことが出来たのだ。
かぐや「お母様・・・・・・ッ?!! お母様後ろッ!!!」
かぐやのいきなりの大声に咄嗟にその場を蹴り離れる織。
もちろんかぐやも抱き締めたままだ。
織達が立っていた場所には亀裂が入っており、織の服も少し破れていた。
あと少し、避けるのが遅ければ織は斬られていただろう。
かぐやに感謝しつつ、斬った相手を見ると、なんと・・・・・・
織「あなたは死んだはず・・・・・・first」
そう、先程激闘の末に倒したはずのfirstがいたのだ。
first「あぁ、本当に危なかった。まさか、人間にあそこまで追い込まれるとは思いもしなかった。だが、手下に盾となってもらい
何とか生きながら耐えたのだ。さぁ、ケリをつけるとしよう。」
最悪である。
ここにきて、月の使者の最強の者がやってきたのだ。
とてもじゃないが相手にならない。
織「そんな・・・・・・くっ、かぐや逃げなさい。きっとどこかに彦星様か庄左衛門様がいるはずです。」
first「彦星? あぁ、あの3人と戦って居たものか。確かにお前たちの中では、いや、人間の中でも最強なんだろうが私が見た時は完全に押されていたぞ。恐らく今頃は死んでるだろう。
そして、もう1人の男も私が殺した。
まさか、1人で月の使者5000も殺されるとは思いもしなかったがな。脅威と感じた為、私が自ら殺してやったわ」
織「嘘です・・・・・・彦星様と庄左衛門さんが死んだですって?・・・・・・嘘です!!!」
かぐや「私達2人しかもう居ないのですか?・・・・・・お母様・・・・・・ごめんなさい。私が産まれて来なければ・・・・・・」
「バチンッ!!!」
かぐや「えっ?・・・・・・」
突如感じる頬の痛み。
今かぐやは頬を叩かれたのだ。
あの優しく暴力の暴の字も知らない母親に。
初めてのことであり、衝撃のあまり固まるかぐや。
first「なんだなんだ。人間というのは面白い生き物よ。
親が子をぶつとは滑稽也」
織「産まれて来なければ? 二度とそんなこと言わないでください!!! 私は、いえ、私と彦星様はあなたを授かった時本当に嬉しかったです。2人して涙が止まりませんでした。
そして、産まれた時、あなたをこの目で見た時、私の心の中で何かが変わったのです。この子を一生守りたい。この子を一生見ていたい。若い頃は夢が沢山ありましたが、あなたを産んでからはあなたの成長が私達の夢となりました。あなたは私達の宝であり全てなのです。だから、もう二度とそんなこと言わないでください。
かぐや・・・・・・あなたを愛しています。死んでもずっと見守っていますよ。 天心流 其ノ肆 神隠し」
かぐやに触れる。
かぐや「お母様?! 嫌です! お母様ァッ!!!!!!!!!」
かぐやは完全に気配が消え目視では確認することが出来なくなった。
更に、10m後方へとワープさせる。
あまり飛ばす事は出来ないが、それでもfirstはかぐやを見失ってしまう。
first「小癪な真似を!!! 死ね!!!」
firstに背を向ける織に剣を突き刺す。
かぐや「お母様ァ!!!!!!!!!」
遠くから叫ぶかぐや。
織は刺される直前までかぐやに笑顔を向けていた。
例え、自分が殺されようとしている時でも。
涙が溢れるかぐや。
最早、織に反撃する力は残っていない。
立っているのがやっとなのだから。
「グサッ!!!」
血が飛び散る・・・・・・織へと。
織は振り返るとそこに居たのはなんと、胸に剣を突き刺した庄左衛門であった。
織「そ、そんな? 庄左衛門さん!!!」
庄左衛門「ま、待たせ申し訳ない織さん。後は私におまかせを」
firstに剣を突き刺されるも、庄左衛門のその目は闘志を失ってはいなかった。
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