いざ耳あり芳一!!!
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悪霊退治、無事終了。
そう思われたのだが、ここで芳一から驚くべき事実が発せられる。
芳一「実は消滅できた訳では無いのです。あくまでも、
あの体から追い出しただけなのです。あの人形の体では
私の力を発揮する事が出来ませんでした。恐らく、また
奴は私の元へやってくるでしょう。」
驚く一同。だが、一休だけは頷いている為、そうなんだろうと理解する。
夜叉姫「それじゃあ、危ないじゃない! また貴方が襲われてしまうわよ!また人形にされるわよ!」
夜叉姫の言う通りだ。
1人で居てはまた同じ事を繰り返してしまう。
そこで一休は芳一に1つプレゼントをした。
芳一「これは・・・・・・数珠ですか? それもかなりの代物。」
一休「これを付ければ貴方の呪術は力を増し、恐らく1人でも太刀打ち出来るはずです。だが、やり過ごすことも可能です。この数珠を付けて身体中に経文を書くのです。さすれば貴方は悪霊から見えなくなりましょう。」
芳一は一休に感謝の言葉を述べる。
何度も助けてもらい本当に感謝していた。
だが、桃太郎はそこで気付いた。
桃太郎(やっぱり耳なし芳一じゃねぇか!!!)
そうだ。
この話は耳なし芳一の話である。
経文を耳に書き忘れた為に、芳一は耳を千切られてしまうのだ。
だが、知っているが故に防ぐ事も可能。
桃太郎「芳一! 耳も書いてもらうのを忘れるんじゃねぇぞ!!! なんならここの紙に書いておくから、書いてくれる和尚に見せてくれ!」
そう言うと桃太郎は芳一にその紙を渡した。
芳一「耳・・・・・・ですか? わかりました。貴方の忠告、確かに聞き入れました。本当になんと御礼をしたら良いか・・・・・・」
桃太郎「それなら、1つ聞きたいがこの寺に彦星と織、そしてかぐやって3人の家族は来なかったか?」
御礼は要らないから情報が欲しかった桃太郎。
だが、情報は無かった。
今回はこの寺を経由していないようだ。
もしくは芳一が居ない時に入れ違いになったのかもしれない。
とにかく、一寸法師の鼻もある為、このまま匂いを辿って
新たな場所を目指すのであった。
芳一からは別れる直前まで何度も御礼をしてもらった。
数日後、芳一の元へ1人の和尚がやってきて事の経緯を話すと
和尚が快く芳一の体に経文を書いてくた。
全身全てを書いてくれていたが、芳一は2箇所書かれていないことに気付いた。
それは『耳』だ。
以前、桃太郎に忠告されていた為、耳に集中していたが和尚は
耳を書き忘れていたのだ。
和尚に忠告すると、うっかり耳に書くのを忘れていたとの事。
気づかなければ、悪霊には耳だけが見えていて、耳を引きちぎられていたかもしれない。
芳一は耳に書き忘れたことよりも、桃太郎の予知能力とも取れる
その忠告に驚きを隠せなかった。
芳一はまたしても桃太郎に多大な恩を受けてしまったのだ。
このおかげで、夜中に悪霊がやってきても芳一は気付かれることなく、そして悪霊を倒せると見極める事ができた為一休から貰った数珠の力もあり悪霊を消滅する事ができた。
いつか、桃太郎一行に必ず恩を返すと心に誓う芳一。
そして、耳なし芳一になること無く盲目の芳一として名を知られる大陰陽師となるのであった。
今回は両親の情報は無かったものの、芳一を助けた事により
後々大きな助けとなるのを桃太郎達はまだ知らない。
桃太郎達は芳一と別れると一寸法師を頼りに両親の足跡を辿って行く。
寺を出て2日。道中和尚さんとすれ違い村へ着くと、そこは
こじんまりした村だった。
100人規模程度の村だ。
見た感じだと年寄りが多く若い人間はそんなに見当たらない。
そして、皆がどこか俯いた表情をきている。
活気が全くないのだ。
すれ違っても目も合わせず下を向いて歩いている。
それが1人2人ならわかるが、この村全員がそうなっているのだ。
夜叉姫「なんだか不気味な村ね」
桃太郎「確かに変だな・・・・・・何かあったのかもしれねぇぞ」
浦島「とにかく、聞いてまわろうか」
浦島の言葉に頷く皆。
桃太郎は1人のおじさんに話し掛ける。
桃太郎「なぁ、少し聞きたいんだがおっさん達はなんでそんなに
元気がねぇんだ? 何かあったなら手を貸すぞ」
そう話すとおじさんはようやく顔を上げて桃太郎に口を開いてくれた。
おじさん「お前さん達は他所からきたんじゃな?
悪いことは言わなぇ。村長に見つかる前に早くこの村を出るんじゃ。」
桃太郎に同行する夜叉姫と頷き合う。
どうやら、この村に活気が無いのは村長の仕業のようだ。
詳しく聞く為に更に質問する桃太郎。
桃太郎「さっきも言ったが手助けするぜ! この代わりと言うのもあれだが、1つ聞きたいことがあるんだ」
おじさん「本当に助かるならいくらでも聞いてやるわい。
でも、そんな希望を持たせるような事は言わんでくれ。
誰もあのお方には勝てやしねぇんだ。それに、あのお方を昔は
優しかった。じぃさんが死んでからじゃよ。あのお方は
婆さんの操り人形の如く、婆さんの悪知恵に手を貸すようになった。頭を使う婆さんに体を使うあのお方。このコンビを倒すなんて到底叶わないんじゃ。大人しく、村を出るんじゃな若いの。
質問ならいくらでも聞いてやるぞ」
先程から聞く『あのお方』。
どうやら相当腕が立つようだ。
それに、質問もいくらでも聞いてくれると言ってくれたが
桃太郎はタダで恩を貰うのは嫌いだった。
嫌でも、この村の悪事を暴いてやる。
そう思い夜叉姫に尋ねるも夜叉姫も賛成してくれた。
桃太郎「悪いが俺も腕には自信がある。
余程の事がない限り負けることはないと思うぞ!
それに、俺には頼もしい仲間達が居るしな!
あのお方について教えてくれおじさん!」
桃太郎の自信に満ちた顔に根負けするおじさん。
おじさん「わかった。お主にそこまで言われると希望も
捨てきれぬのう。
あのお方についてだが、あのお方とは意地悪婆さんの子供で
村の皆はあのお方を『火男』と呼ぶ。
火を自由自在に操り、婆さんの勘に触った者達は尽く燃やされていったわい。ワシの息子ものぅ。
どうじゃ?火を操る者など恐ろしいじゃろ?」
桃太郎はまた聞いた事のない名前だと思った。
そして、火男に思ったのは
桃太郎「なんだ、それだけか。よし! 村長宅へ案内しろ!
今から行くぞ!」
思い立ったが吉日。
桃太郎はおじさんに道案内をさせすぐに火男の元へと向かうのだった。
こうして、知る人ぞ知る、火男の物語が始まろうとしていたのだった。
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