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いざ盲目の芳一!!!

翌日。

桃太郎達の元へ赤鹿と黒龍が訪れた。


黒龍「今回は俺達の兄弟喧嘩に付き合わせちまって悪かったな」


赤鹿「あなた方2人が僕達の兵達を殺すのではなく気絶させてくれたお陰で戦死者もだいぶ少なく済みました。

本当にありがとうございます。」


お互いの兵に戦死者は出たものの、当初の予定よりもだいぶ少なかったのだ。

それは、金太郎と浦島が戦闘不能に陥れてくれたおかげである。




金太郎「気にするなよ黒龍! 俺達も兄弟だろ? そして、これからは本物の兄弟とも仲良く頑張れよ!」


浦島「それに僕も2人に学ばせてもらったからね。

女の為に全てを投げ捨てるその覚悟。いつまでもお幸せにね」


4人は握手を交わす。


夜叉姫「これこそが男の友情だわー! 素敵ね」


おゆき「こういうところを見ると、男性に対して憧れますね」


女性陣は何やら感動していた。

そんな中、桃太郎は早く情報が欲しかった為、2人に聞くことに

する。


桃太郎「なぁ、それで彦星と織はどこへ行ったんだ?」


赤鹿「この城をでて北へと向かって行ったよ。なにか情報を探していたみたいだけど、ここに手掛かりはなかったみたいだね」


黒龍「ちなみに出たのは1ヶ月近く前だ。なんで探してるかは詮索しないでおくが、気をつけて行けよ。あの彦星って野郎は相当強いぜ。だが、何故か切羽詰まったような表情をしていた。あれ程の猛者が焦るくらいだ。余程の大事があるのだろう。」


2人の言葉を聞き御礼を言う桃太郎。

とうとう残り1ヶ月というところまで近付いた。

着々と両親へと迫っている。

旅に出てから1年経った。残り数ヶ月で月の使者たちがまたかぐやを連れ去ろうとしてくる。

それまでに合流して備えなければならない。


桃太郎「本当に助かった。それじゃあみんな準備はいいな?」


出発の準備は既に終えている。

今は一刻も早く彦星達に近付かなければならない。




赤鹿も黒龍も、御礼にと城で宴会をと思っていたが、どうやら

それどころではないようなので自重した。


2人に別れを告げると桃太郎一行は北へと歩を進めるのだった。





桃太郎「おい一寸! 親父たちの匂いは辿れてるんだよな?」


一寸法師は金太郎の肩には居らず、今は地面を嗅ぎながら歩いている。


一寸法師「あぁ! 確かに匂いがするぞ! 雪がないからくっきりとわかる! あ奴らの言っていた通り、この匂いの薄さならひと月前だろうな!」


一寸法師の匂いのお陰で確信する。

進路はここを辿れば会える。




桃太郎達は一寸の指示する道を歩き続ける。

一日ほど歩くとお寺がポツンと建っていた。


当たりは何も無く寺のみである。


一休「珍しいですね。こんな平野にお寺が建っているなんて。

ですが、彦星殿達もここを通ったはずです。行ってみませんか?」


一休の案に頷く一行。

一日歩いてクタクタの為、そして日暮れも近いため泊めてもらおうということになった。

寺に近付くと何やら音色が聞こえてきた。




「♪〜♪♪〜♪♪♪〜」




夜叉姫「なんだろう? 凄く綺麗な音色ね」


おゆき「これは三味線でしょうか?」


浦島「いや、恐らくこの音色は琵琶だね」


金太郎「寺の中から聞こえるって事は誰かいんのか?」


桃太郎「とにかく入ってみるか!」




桃太郎達は扉の前に達、声を掛ける。


桃太郎「旅のものだが誰かいるかー?!」


すると奥からゆっくりと足音が聞こえてくる。

少し待つと扉は開かれ、1人のお坊さんが出てきた。

しかし、何やら様子がおかしい。


桃太郎「おい、あんたもしかして目が・・・・・・」


芳一「えぇ、私はこの通り目が見えません。旅の方達よ、どうなさいましたか? 申し遅れましたが、私の名前は芳一と申します。

『盲目の芳一』それが私の名前です。」




桃太郎(盲目の芳一・・・・・・なんか耳なし芳一みたいだな。確か、耳なし芳一も琵琶を弾いていたような?・・・・・・まぁいいか!)


桃太郎は微かな記憶を辿るも記憶が曖昧の為、諦めた。



桃太郎「実は昨日から丸一日以上歩いていてな。よかったら

一晩止めて欲しいんだけどどうだろうか?」


一寸法師「食べ物もたくさんあるから分けられるぞ!」


芳一「何も無いところではありますが、それでも良ければごゆっくりして行ってください。」




「ブゥオンッ!!!」


何を血迷ったのか金太郎が芳一の顔スレスレに拳を振りかざした。

金太郎の行為に驚くみんな。

しかし、芳一は微動だにしなかった。

やはり目は見えていないようだ。

金太郎は念の為、確認しようとしていたのだ。


一寸法師「おい金太郎! せっかく泊めてくれるのになんて罰当たりな!!!」


それには怒鳴る一寸法師。

夜叉姫や桃太郎も頷いている。


金太郎「うるせぇ!!! 万が一詐欺だったらおちおち眠れやしねぇだろうが! 確認だよ確認!!!」


確かに一理ある。

浦島は納得したのか笑っている。

おゆきは自分が言われているような気がしてならなかったのか

オドオドしていた。


芳一「それでは中へお入りください。」


皆の事は気にせず、芳一は皆を中へ案内する。


寺自体があまり大きくなく、どうやらここに住んでいるのも芳一

1人だけのようだ。

1人で不便だろうと思ったが3日に1度仲間の和尚が食べ物等を持ってきてくれるとの事。

その時に必需品等も頼んでいるようだ。


そして、もう1つ気になったのが、


夜叉姫「ねぇねぇ、芳一さん? この人形達は何?」


寺の中にはズラリと並んだ日本人形達が並べられていた。

しかし、その人形達をよく見ると焦げているものや壊れているもの四肢が無いものまで様々だ。

その異様な光景は正に不気味であった。


芳一「実はこの人形達には悪い霊が取り憑いていました。

私は陰陽師の家系であり、悪霊を払う仕事をしているのです。

ですが、安心してください。ここに並んでいる人形達は既に

退治しておりますので。」


その言葉を聞いてホッとする夜叉姫。

対して陰陽師という響きに感動する桃太郎。


桃太郎「すげぇ・・・・・・陰陽師、カッコイイな」


芳一はそんな桃太郎の発言に微笑む。


芳一「確かに名はカッコイイかもしれませんが命懸けの仕事です

一歩間違えれば殺されてしまいます。私の両親はまさに悪霊の手により惨殺されました。」


その言葉に驚く皆。


そんな中一休がある一体の人形に目をつける。


一休「芳一殿、アソコにあるガラスケースに入れられた人形は

何やらただならぬ空気を感じるのですが・・・・・・」


皆が一休の指差す方を見ると、そこにはガラスケースに入れられ

札が幾つも貼られた和服の日本人形が置かれていた。

形も綺麗であり見た目も美しかった。

だが、一休の言った通りどこか不気味さを感じられる。


おゆき「なんだか、あの人形には生気を感じられますね」


芳一「はい。あの人形にはまだ悪霊が住み着いております。

私の力でも消し去ることが出来ず、ああして封印しているのです。」


金太郎「ならぶっ壊しちまえばいいんじゃねぇか?」


金太郎がまたしても脳筋な事を発して皆が呆れている。


浦島「人形を壊したらその悪霊が解き放たれてしまうよ?

それに僕らは有体のものは倒せるけど無体の者には手も足も出ないたまろうね。」


浦島の言葉に恥ずかしさを覚えたのか歯軋りをする金太郎。


芳一「とにかく、今は安全ですのでどうかゆっくりと休んでください。ここでは不気味でしょうから離れで休んでください。

布団もありますので。」


こうして、桃太郎達は芳一の言葉に甘えて離れで皆で眠ることになったのだった。





皆が寝静まった頃、呪いの人形の前に1人の姿が。


「なんと美しいんだ。今出してやるからな。俺の嫁さんになってくれ。」




なんと一寸法師が札をとりガラスケースを開けようとしていたのだ。


今まさに、一寸法師の手により最強の悪霊が飛び出そうとしているのだった。

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