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いざ本当の愛を!!!

桃太郎「お疲れさん浦島、金太郎!」


遠くで見守っていた桃太郎達の元へとやって来る2人。

戦いが終わり、戦後処理等もある為1度さがってきたのだ。


2人ともクタクタの様子。

今回は浦島が勝ったが金太郎も後1歩の差であった。

次やった時、金太郎が浦島の技を超える事が出来たのなら

金太郎が勝利するだろう。


そんな金太郎に命知らずの一寸法師と夜叉姫は絡んでいく。


一寸法師「負けてしまったな金太郎! だが、安心しろ!」


夜叉姫「そうよ!安心して! 貴方の勇姿はおゆきちゃんが

その目に刻み込んだから!例え負けても・・・・・・ぷぷ」


思わず笑ってしまった夜叉姫。

そんな2人を見て金太郎はブルブル震えている。


金太郎「て、てめぇら・・・・・・バカにすんのも大概にしやがれ!!! ぺちゃんこにするぞ一寸!!!」


一寸法師「な、なんで俺だけーッ?!!!!!!」


逃げる一寸法師と追い掛ける金太郎。


何はともかく、こうしてまた2人が仲間として戻っできてくれたのが桃太郎は嬉しかった。

この件を機会に2人の仲が悪くなり、対立してしまったらどうしようかと思っていたのだ。

だが、浦島はともかく金太郎も遺恨を残すこと無く、むしろ

以前にも増して訓練に精が出ていた。

そんなこんなで桃太郎達は外で今日は過ごす事にした。







その頃、黒龍城では桃月が来訪していた。

黒龍の部屋で2人きり。


黒龍「桃月・・・・・・俺は弟に、赤鹿に勝った。勝った者がお前を

嫁にとるとの約束でな。俺の嫁になれ桃月。」


桃月は綺麗な着物を着ており、正に姫様と言ったような外見をしている。

だが、桃月はどこか寂しそうな表情だ。


桃月「黒龍様・・・・・・私は貴方のその力に惚れていました。逞しい体に勇ましい性格。貴方程、男の中の男はそう居ないでしょう。

ですが、それと同じくらい赤鹿様の優しさにも惚れていました。

確かに今回の戦いで赤鹿様は黒龍様に負けてしまいました。

そんな、負けてしまった赤鹿様を守ってあげたい。そう思ったんです。母性本能をくすぐられる。赤鹿様には黒龍様のような力はないけれど黒龍様にも無いものを赤鹿様はたくさんあります。

だから私は・・・・・・」


桃月の言葉を黙って聞く黒龍。

そして、桃月が俯いて口篭っていると黒龍が口を開く。


黒龍「桃月・・・・・・どうやらお前は俺に相応しくないようだ。

お前みたいな女は赤鹿みたいなやつがお似合いだろう。

さっさとこの城を出て赤鹿の元へ行くがいい。

俺には俺に相応しい強い女が似合うようだ。」




桃月はハッと顔を上げる。

憎まれ口を叩いているが、そんな嘘はバレバレである。

赤鹿とくっつける為にわざと言ってくれているんだ。

桃月は理解した。


桃月「黒龍様・・・・・・ありがとうございます・・・・・・貴方が赤鹿様の兄で本当によかった。貴方ほど優しい人もそういないでしょう。

失礼します。大好きな黒龍様」




そう言って桃月はその部屋を後にした。

部屋に1人となった黒龍。

椅子に座ったまま天井を見上げる。


黒龍「戦に勝って勝負に負けた・・・・・・か。

こんな事なら赤鹿を殺しておけばよかったか?・・・・・・いや無理だな。殺したらより俺を恨むだろう。それに・・・・・・」


黒龍は手の平にある黒と赤の木でできた、小刀を見つめる。

小さい頃、兄弟の印にと2人で作ったのだ。

子供の頃に作った為、見てくれは悪いが大切な宝物だ。




黒龍「ふっ、桃月を幸せにできなかった時は分かっているだろうな、弟よ。」


赤鹿の城へ向けてそう話す黒龍。

愛する人に実質振られ、弟に取られた。

だが、兄の威厳もあり悲しむことはしない。

陰ながら桃月と赤鹿の幸せを願うのであった。






赤鹿城では赤鹿がベッドで眠っていた。

黒龍との戦いでは満身創痍となりながら、そして気絶しながらも

戦い続けたのだ。


しばらくすると目を覚まし天井を見つめる赤鹿。

自分は負けたんだ。

そう確信する。

今まで兄である黒龍と何度も戦ったが結局は最後まで勝つ事が出来なかった。

自然と涙が頬を伝う。

勝負に負け、愛する桃月も取られてしまった。




だが、目を瞑り泣いていると誰かが頬の涙をそっと指で拭う。

誰も居ないと思って驚いた赤鹿は隣を見るとそこには、




桃月「赤鹿様、そんなに負けたのが悔しかったのですか?

桃月はここにずっと居ります。私が赤鹿様を守ってあげます。

だから好きなだけ涙を流してください。」


何故、ここに桃月が居るのか不思議だった。

驚きのあまり固まってしまう。

桃月は黒龍の元に居るはずだった。


だが、目の前にいる。

桃月が自分に触れている。

桃月の温もりを感じると更に涙が溢れた。


上体を起こし、桃月の胸で泣く赤鹿。


赤鹿「桃月・・・・・・すまなかった。僕はまた勝てなかったよ・・・・・・

敗者である僕に付き合う必要はないのに・・・・・・だけど、凄く嬉しいんだ。僕は卑怯者だよ。兄さんに負けておいて・・・・・・くっ、

桃月・・・・・・大好きなんだ桃月・・・・・・」


そんな赤鹿を桃月も涙を流しながら抱きしめる。


桃月「実は遠目から見ていたんですよ。本当は止めたかった。

私なんかの為に大好きな2人が傷付くのを見てられなかった。

それに、卑怯なのは私の方なんですよ。どちらも選べず、私が

優柔不断だったせいで2人は争ってしまった。私がもっと意志を強く持っていれば2人が争う必要はなかった。本当にごめんなさい・・・・・・赤鹿、ごめんなさい。」


桃月はずっと悔いていた。

自分のせいで仲良しだった2人が喧嘩し、更には戦争までしてしまった。

2人だけじゃない。2人に従う兵士も何名も死んでしまった。

全ては自分である桃月の為に。


こんな自分が本当に幸せになっていいのか。




だが、もう迷わない。

これからは赤鹿だけを愛し、共に歩む。

そして、黒龍が困った時は必ず助けると。


赤鹿と桃月はそっと唇を重ねた。


お互い涙を流していた為、初めてのキスは甘くしょっぱいキスとなったのだった。


こうして赤神と黒神の話は幕を閉じるのであった。

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