いざ兄弟戦争!!!
翌日
赤鹿の城。
黒龍の城。
どちらも合戦の準備は終わっている。
兵力はどちらも1000近くと五分五分である。
スピード重視の赤鹿軍。
パワー重視の黒龍軍。
だが、戦争において力の差は大事であり黒龍軍の方が
優勢に思われる。
いくら早くとも1000人同士の集団戦争では速さは碌に意味をなさないだろう。
太陽が真上に昇ると同時に、互いの門が開かれる。
先頭に立ち、赤鹿の城から出撃する赤鹿と浦島。
彼等の後ろには真っ赤に染る鎧を着た兵士達。
彼等は赤鹿を慕う兵士だ。
対して黒龍の城から出撃するのは黒龍と金太郎。
背後に居るのは大柄な黒い鎧を着た1000の兵士。
彼等もまた黒龍の力に惚れ込んだ兵士達。
城と城の間に陣組する2人。
互いに横陣を敷き相対する。
そんな中、黒龍と赤鹿が前に進みでる。
お互いが話せる距離まで近付く2人。
黒龍「よく逃げずに来たじゃねぇか愚弟よ! お前が桃月を
諦めれば死なずに済んだのになぁ」
赤鹿「桃月を諦められないからここに居るんでしょ兄さん
兄さんなんかに彼女を渡さない。桃月を幸せにするのは僕だ」
黒龍「へっ、 今まで1度たりとも勝てた事ないくせに生意気な奴だ。だが、今回は遊びじゃねぇぞ? 死ぬ覚悟はあるんだろうな?」
赤鹿「だから、何度も言わせないでよ。覚悟があるからここに居るんだよ。だが、兄さんも覚悟はあるのかい?いつ、何が起こるかわからないからね」
黒龍「どうやら覚悟は出来てるみてぇだな。」
赤鹿は頷き2人は後ろへさがり兵達の元へ行く。
赤鹿「浦島・・・・・・ごめんね。無関係の君まで巻き込んでしまったね」
浦島「気にしないでよ。僕が助けたくて助けてるんだ。
絶対に勝って赤鹿の好いてる相手を手に入れよう。」
赤鹿「もちろんだよ・・・・・・全軍、突撃だ!」
金太郎「弟と最後の別れはできたのか?」
黒龍「あぁ、どうやら死にてぇ見てぇだ。アイツは俺が
責任持って殺るから手は出さねぇでくれ」
金太郎「わかった。俺にもやらなきゃならねぇ相手がいるからな」
黒龍「よし・・・・・・野郎共!!! 行くぞッ!!!」
ほら笛が鳴り響く。
互いに動いたのは同時だった。
先頭を走る兵達が激突する。
前線を走る者達は槍の餌食となり串刺しになる。
槍で組み合うもの達もいるが、やはり黒龍軍の力は凄まじく
赤鹿軍は押し込まれてしまう。
赤鹿「やっぱり力勝負は分が悪いね。皆、作戦通り戦って!」
赤鹿の兵士は足並みを揃えてゆっくりと後退する。
しかし、中央だけ異様に後退するスピードが速い。
黒龍軍から見ると外側から中央に向けて徐々に押し込んでる形に見える。
浦島「できたね。横陣からの・・・・・・」
赤鹿「鶴翼の陣。敵からすれば押し込んでるように錯覚してるだろうね。だけど実際は包囲してるんだよね」
800の兵で鶴翼をつくり残りの200で左右からそれぞれ蓋をする。
敵も1000とはいえ横陣を敷いている為、3列になっている。その為、1列300人強であり、前線で戦う兵力は300程度だ。
つまり後ろ2列は無駄に並んでるだけである。
その点赤鹿軍は同じく3列で横陣を敷いていたが兵の配置数が違う。1列目を500。2列目を300。3列目を200としていた。
2列目の300を使い徐々に中央を厚くし、さらに3列目の200を敵の後方へと回したのだ。
兵の力は劣るとも、兵の使い方は圧倒的に赤鹿が上手かった。
これには流石の黒龍も面を喰らっていた。
黒龍「ちっ!!! 小癪な真似しやがって! 数は同じなんだ!
目の前の敵をぶっ殺せ! 」
金太郎「情けねぇな! 俺が前線に出て敵を葬ってやるよ!」
黒龍「あぁ、頼んだぜ兄弟!」
そう言うと金太郎は前線へと走り出した。
この囲いを突破するには圧倒的な強武力で突破するしかない。
現に力では圧倒してるものの、黒龍軍は徐々にその数を減らしている。
黒龍軍は囲まれている為、心理的にも不安になっている為、思うように力を振るえていない。
そこで金太郎が前線に出て戦い、味方を奮い立たせるのだった。
しかし、金太郎の目の前に現れたのは・・・・・・
金太郎「このタイミングでてめぇか浦島」
いぞ敵を葬ろうとしたその時、赤い兵達の間から現れる浦島。
浦島「この囲みを打開するには君の力技だろうなって思ったからね。悪いけど赤鹿の邪魔はさせないよ。君は僕が止める。」
金太郎の心理を読み切った浦島。
だが、金太郎にはそんな事は関係ない。
金太郎「はん! 目の前の敵をぶっ飛ばす!!! それだけだ!」
浦島「皆、あの相手は僕がするから近寄らないで。巻き込まれないようにそのまま黒龍軍を包囲して」
赤鹿軍にそう話すと皆が頷き金太郎を避け黒龍軍へと迫る。
対峙する2人。
そこはまるで2人だけの空間である。
2人のために開かれた道。
同時に駆けだす浦島と金太郎。
金太郎は鉞を振り下ろす。
それを流すように刀を振るう浦島。
戦斧は地面に突き刺さり、浦島は流した勢いのまま金太郎へと迫る。
浦島は刀を横なぎに払う。
その刀を鉞の柄で防ぐ金太郎。
更に浦島の腹目掛けて蹴りを入れるも浦島は飛んで避け、
そのまま飛んだ勢いで上段から刀を金太郎目掛けて振り下ろす。
だが、すんでのところでそれも弾く。
そのまま浦島を弾き飛ばすも浦島は綺麗に着地をする。
目にも止まらぬ2人の攻防。
一瞬でも気を抜いたら負ける。
どちらも五分五分の戦いだ。
金太郎「やっぱりてめぇは強ぇな。今までの強敵5本指に入るぜ」
浦島「君の力もね。まだ本気を出てないくせに僕の腕は既に痺れてるよ。どれだけ馬鹿力なんだよ全く。」
金太郎「それはお互い様だろ、てめぇもまだ本気を出しちゃいねぇな?」
金太郎が笑うと浦島もニコッと微笑む。
次の瞬間、2人の空気が変わる。
浦島「海心流 其ノ壱 水玲斬!」
金太郎「武心流 其ノ壱 破砕!」
2人の力がぶつかり合う。
互いに強力な技をぶつけ合い辺りは砂煙が舞う。
そして、2人が戦っている時にこの2人の戦いも始まろうとしていた。
黒龍「どけっ!!! 俺様が切り開いてやる!!!」
黒龍はデカい薙刀を振りかぶる。
赤鹿軍は黒龍の登場にたじろいでしまっていた。
そんな兵士達の中で、1人黒龍へと突っ込む姿が、
「ザシュッ!!!」
あまりのその男の速さに、振り遅れる黒龍。
黒龍の脇腹から僅かながら血が出ていた。
黒龍「きやがったな愚弟」
刀に付いた黒龍の血を地面に振り落とす赤鹿。
赤鹿「兄さんの相手は僕がする」
女顔の赤鹿は鋭い眼光で兄である黒龍を睨む。
そんな赤鹿を笑顔で受け止める黒龍。
こうして、ここでも大将同士の戦いが始まろうとしていたのだった。
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