いざ速さか力か!!!
昨晩は金太郎を放置して一休達3人は宿に泊まった。
翌日の朝、昨日2人が戦っていた現場へ行くとまだ眠っている。
2人の周りには沢山の酒樽が散乱しており、全て空っぽだ。
金太郎を起こす一寸法師。
中々目を覚まさない為、耳元で大声を出してようやく起き上がる。
金太郎「んあ? もう朝か? 飲みすぎちまったぜ」
眠い目を擦りながら起き上がる金太郎。
金太郎が起きるのと同時に黒龍も起き上がる。
黒龍「なんだ兄弟、お迎えが来ちまったか?」
金太郎「あぁ、なぁお前ら、明日までここに残りたいんだがいいか?」
突然の申し出に驚く3人。
それほど仲良しになってしまったのか。
一休「それは桃太郎殿達に聞かなければなんとも。
とりあえず今日の夕方に1度桃太郎殿達と合流しましょう。」
金太郎「それもそうだな。とにかく迎え酒だ!!!」
黒龍「そう言うと思ったぜ!!!」
2人はまたしても盃、いや樽を交わして飲み合った。
一休と一寸法師は最早、呆れて何も言えない。
どんな金太郎をも擁護するおゆきはただただ、金太郎を見つめるのみ。
黒龍「明日の弟との戦い、お前が居れば百人力よ!!!」
金太郎「ガッハッハッ!!! 任せろ!!! なんなら俺一人でもいいぞ!」
3人「?!!!」
初めて聞く単語が出てきた。
明日弟と戦う?
金太郎に事細かに聞くと、ここの城主である黒龍は愛した女を賭けて弟と戦争をするようだ。
だから、2人の城はこんなにも近くにあった。
何故もっと早く教えてくれなかったと後悔するも
相手が金太郎だからと諦める一休達。
金太郎に黒龍の話を聞き、一休は一つ最悪な展開を考える。
赤い城に居る桃太郎達と自分達で争いが起こらないかだ。
もし、そんな事が起これば大事になる。
一刻も早く桃太郎達に会わなければ。
そう思った一休は一寸法師に伝言を頼み桃太郎達との合流を早めてもらう。
無事に一寸法師が伝えてくれたおかげで桃太郎達と金太郎達は城と城の間で合流する事ができた。
金太郎は合流するなり、開口一番に、
金太郎「桃太郎、悪ぃが出発を明日に伸ばしてくれねぇか? 黒い城に居る黒龍って奴に手を貸してやりてぇんだ!
だから、お前達もこっちに来いよ」
その言葉にピクっと眉を上げる浦島。そして、
浦島「うーん、金太郎。悪いけど無理だよ。でも、出発の延期は僕も桃太郎にお願いしようと思ってたんだ。
赤い城の城主、赤鹿に力を貸したいからね」
金太郎「あぁん?!」
「ピシッ!!!!!!」
浦島と金太郎が互いに殺気を放ち、当たりを張り詰めた空気が覆う。
一寸法師「ぐっ、苦しい!」
おゆき「うっ・・・・・・」
一休「こ、これは・・・・・・」
夜叉姫「うぅっ・・・・・・」
呼吸が出来なくなるほどの殺気に苦しみ出す4人。
それほど二人の間には思い空気がのしかかっていた。
「おいお前らやめろ」
4人の前に立ち更なる殺気を放ち2人の殺気を殺気で打ち消す
桃太郎。
桃太郎のあまりの殺気に平常心を取り戻す2人。
金太郎「ぐっ・・・・・・ちっ!」
浦島「ふふっ、ごめんごめん桃太郎。それに4人もごめんね。でも僕の気は変わらないよ。朝も会って親交を深めて
桃太郎の両親の進んだ道も聞いたからね。恩返しをするのは当たり前だよ」
桃太郎「なに? よくやった浦島!」
しかし、すかさず金太郎も口を開く。
金太郎「彦星の情報なら俺様だってゲットしてんだよ!
お互いを兄弟と呼び合う仲だしな!」
桃太郎「金太郎、お前もか。よくやってくれた!」
しかし、困った。
互いに持ってる情報があり、互いになかよしこよしになってしまった。
どちらの味方をすればいいのやら。
一休「では浦島殿と金太郎とのがそれぞれの城に入って戦えばいいのではありませんか?我々はどちらにも属さず離れて見ておりますので。」
確かにそれしかないだろう。
2人とも引く気は無いのだから。
浦島「僕はそれでもいいよ。赤鹿さんの為にも引けないしね。
何より僕は彼の奏でる笛がとても気に入ったんだ」
金太郎「上等だぜッ!!! 浦島とは1度やってたかったからな!!!」
桃太郎「他の奴らはどうか知らんがお前ら同士で殺し合うのは禁止だからな! もし、殺し合いに発展しそうなら俺が介入する!」
あくまでも我々は仲間である。
他人の兄弟喧嘩のせいで仲間を殺すなどあってはならない。
重々言い聞かせ浦島と金太郎はそれぞれの城へと戻っていく。
てっきり、おゆきは金太郎について行くと思ったが、男の勝負に
女が口を挟むものでは無いと自重した。
勝負は明日。
桃太郎達は巻き込まれないように、今夜は仕方ないが野宿を
する。
一休曰く、黒龍の配下達は力自慢の猛者ばかりであるという。
それに対して赤鹿の配下は大柄な男はいなく寧ろ細いものばかりである。
つまり、赤鹿はスピード重視、黒龍は力重視の集団である事がわかった。
それは奇しくも浦島と金太郎も同じであった。
普段の戦いでも浦島はそのスピードで敵を倒している。
だか、力はまるっきりない。
それに対して金太郎は力の1点のみ。
全てをその力で破壊するのだ。
だが、逆にスピードが無い為翻弄され易いだろう。
速さの浦島か力の金太郎か。
みんなも一体どちらが勝つのか予想がつかない。
そして桃太郎は言う。
桃太郎「浦島よりも力があり、金太郎よりも速いこの俺は
正に最強だな!!! ハッハッハッ!!!」
誰も褒めてくれない為自画自賛する桃太郎。
そんな桃太郎に冷たい視線を送る面々。
だが、夜叉姫にはわかる。
仲間割れのようになっているこの状況。
みんなもギスギスし始めている。
そんな空気を壊そうと桃太郎はふざけているのだと。
だが、これを言っては桃太郎が恥をかいてしまうため言わない。
夜叉姫は桃太郎に飛びつく。
いきなり飛びつかれ戸惑いながらも照れる桃太郎。
心の中では誰よりも旦那である桃太郎を理解する夜叉姫であった。
「面白いな、続きが読みたいなと思ったらブックマーク、高評価をお願いします。そして誤字脱字や意見などあったら是非コメントしてください。」




