いざ大勝利を!!!
敵総大将の岩猿を縄で結び、城へと帰還した。
敵軍は3000の内2800名が死んだ。
ほぼ壊滅だ。
その点蟹江家の被害は500のうち50足らずで済んだ。
圧倒的な戦果である。
この策を立案した一休に、皆が改めてその凄さに驚いた。
もちろん金太郎も。
桃太郎「なぁ金太郎、一休の『力』ってやつも認めてやらないとだな」
金太郎「ちっ! 俺ら有りきの作戦だろッ!」
言葉では文句を言っているが内心では認めていた。
それ程の戦果を上げたということだろう。
城に着くと岩猿は蟹江城主の前へ跪かされていた。
蟹江「主が現岩猿城主か。何故、お主は父と同じく
友好を結ばなかった?お主が攻めなければこのような事にはならなかったものを」
蟹江城主は敵である岩猿に優しく問い掛けた。
そんな姿を見た桃太郎はやはり、善人なのだと感じた。
ただ、岩猿はそんな好意を無下にする。
岩猿「はん! そんなの領地を広げる為に決まっているだろ!!! お前ら蟹野郎共の領地を奪えば蟹は食べ放題だし
領地は潤う。次なる目的地へと駒を進めることだってできる!」
岩猿の言葉に皆が呆然としている。
アホすぎる。
戦う理由が蟹を食べられる。
そんなしょうもない理由で戦争を起こしたのだ。
呆れて物も言えない。
蟹江「そなたは釈放する。だが、次来た時は容赦はせぬぞ」
桃太郎「おいッ!!! なんで殺っちまわなぇんだよ!!!」
まさかの釈放に驚く桃太郎。
それもそのはず。
コイツを釈放すればまたやってくる。
絶対そうに決まっていた。
だが、蟹江は善人であるし先見の明を持つ。
蟹江城主「今やればこの者が治める土地は誰が統治する?こいつは曲がりにも城主だ。こやつが居なくなれば岩猿城は大変なことになるだろう。わかってくれ、
桃太郎殿」
流石の桃太郎もこれ以上何も言えなかった。
岩猿「はん! さっさと縄を解け蟹野郎! 私は帰るぞ!!!」
岩猿は帰してもらう立場でありながら悪態をつきその場を出ていった。
桃太郎は拳を握りしめている。
そんな桃太郎を見た夜叉姫は桃太郎の拳をそっと握る。
夜叉姫「大丈夫よ桃太郎。きっとアイツには報いが来るはずよ。」
岩猿「ったく!!! また兵を集めなければいけないではないか!」
岩猿を送る事になった鰹木は歯ぎしりをしていた。
鰹木(正気か?私の前でまた戦支度の話をするなど・・・・・・桃太郎殿の言う通り、ここで殺してしまいたい。くっ・・・・・・)
その時後ろから鰹木が呼ばれた。
「ねぇ鰹木さん!」
振り返ると浦島が立っていた。
当然の登場に驚く鰹木。
鰹木「う、浦島殿?! どうしてここへ?!」
浦島はニッコリ笑っていた。
浦島「その人を送るのは僕がやるよ!鰹木さんは帰って休んでて。ねっ?」
笑っているが笑っていない。
浦島の表情はどこか怖かった。
恐れのあまり頷いてしまった鰹木。
岩猿「あん?何をしておる!!! さっさと行くぞ!!!」
浦島「はいはーい!」
2人は歩いて行ってしまった。
鰹木には解っていた。
岩猿は殺される。必ず。
しばらく歩くと浦島が口を開いた。
浦島「おい猿」
岩猿は「なんだとッ?!」と言って振り返ると口の中に刀を突っ込まれていた。
驚く岩猿。
岩猿「ほ、ほまえ、はひをひていふ?!!!」
浦島「君が生きていたら桃太郎の邪魔になる。悪いけど死んでもらうよ。それに僕も君が嫌いだしね!
おやすみ」
「グサッ!!!!!!」
口の中に刀は刺さった。
そしてそのまま前に倒れ、岩猿は絶命する。
浦島「よし! そこら辺の刀で刺してよかった。僕の刀が猿の血で汚れるのは嫌だからね」
浦島はそこら中に落ちていた刀を使い岩猿を刺したのだった。
浦島が蟹江城へ戻ると門の前には鰹木が立っていた。
鰹木「う、浦島殿・・・・・・岩猿は如何に?」
確信はあったものの念の為、浦島に問いた。
すると浦島はいつもの笑顔になり答える。
浦島「あの人ったら急に走り出して躓いてさ!
運悪く落ちてた刀が刺さって死んじゃったよ!
全くおっちょこちょいなんだから! 鰹木さん、悪いんだけど蟹江城主に伝えておいてくれる?アソコもあなたが統治してくれって!
あと、貴方が見送った事にしてくれたらもっと嬉しいなー」
脅しとも取れるその願いを鰹木はただ黙って了承するしかなかった。
なぜなら断れば殺される。
そう思える程の殺気を浦島は出していたから。
浦島「ありがとね! さぁて蟹でも食べよっと」
鰹木は背筋が凍った。
浦島の恐ろしさを身をもって感じたからだ。
こうして多々あったものの、猿蟹合戦は無事蟹の勝利で終わったのだった。
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