いざ開戦なり!!!
蟹江家全軍出撃。
一休の指示する開戦の場へと皆が行軍する。
桃太郎は副官の磯貝と共に馬に乗り目的地へと目指していた。
桃太郎「磯貝って言ったか? 俺は対人戦は初めてなんだ。人を殺すってどういう感覚だ?」
磯貝「そうですね、いい気分ではありません。しかし殺らなければ殺られる。自分が生きる為、家族を守る為
そう思って戦えば多少は気が紛れるはずです。」
桃太郎は磯貝の言葉に納得した。
確かに、斬るのを躊躇っていれば自分が斬られる。
そんな体たらくでは、夜叉すら守れない。
桃太郎は気を奮い立たせ戦場へと望むのであった。
浦島「僕なんかが隊長で申し訳ないね。嫌だろうけど
この戦に勝つ為、力を貸してくれるかい?」
鰹木「何を言われますか浦島殿。無関係であるあなた方が力を貸してくれるのです。それに一休殿のお墨付き。感謝の言葉はあれど、無下にする事などありはしませぬ。」
浦島「そう言ってくれると助かるよ。勝たなきゃね。」
浦島と鰹木は上手く意思疎通が出来そうであった。
金太郎「なんでわざわざこんな面倒臭い戦い方しなきゃいけねぇんだ?! 俺様が正面から全員薙ぎ倒してやるのに」
悪態をつく金太郎。そんな彼の副官になったのは鯉沼である。
鯉沼「金太郎殿のその力なら容易いかもしれませぬな。 ですが、3000ともなると数が多すぎます。そこで一休殿は分断させる策をとったのでしょう。それでも、中陣は1000は敵がいると思われます。金太郎殿の力を期待しております」
金太郎「そうか、1000か。良いじゃねぇか!!! 確かに3000は多すぎるな! 1000なら丁度いいぜ! お前らも死なねぇ様にな!!!」
鯉沼は金太郎の扱いを理解していた。
その為に、一休は鯉沼を金太郎に付けたのだと思われる。
夜叉姫「軽く戦って桃太郎の所へ逃げる・・・・・・うん、
きっと大丈夫。」
鮎川「安心してください夜叉殿。あなたの命はこの鮎川が命を懸けてお守り致します。」
夜叉の場所が一番危険な役割である。
敵3000に100という寡兵でぶつかるのだ。
それに、直ぐに逃げては敵に悟られる。
その為、この100人隊は決死隊であった。
何人かは死ぬ。
夜叉姫もそれは分かっていた。
桃太郎にあんな凄んでおいて手は震えていた。
夜叉姫「情けないわね・・・・・・あんなに息巻いていたのにいざ、戦場にでるととても怖いの。」
鮎川「怖いのは誰しも同じです。恥じる事ではありませぬ。怖がらない方が異常なのです。」
夜叉姫「ありがとう鮎川さん、あなたのおかげでだいぶ楽になれたわ。さぁ行こう!」
夜叉姫、鮎川率いる兵100名は岩猿軍と対峙していた。
いつまでも後ろへ続く行列に夜叉は少し足が竦んでいた。
夜叉姫「こう見るとやはり、数の違いに驚かされるわね。」
鮎川「そうですね、ですがこの戦に勝つのは我等です。夜叉殿は出過ぎず、後ろに居てください。前線は私が率います。」
夜叉姫を気遣う鮎川。
しかし、夜叉姫は兵の顔を見て自分も覚悟を決める。
兵士の中に怯えている者はただの1人も居なかったのだ。
隊長である自分がこんなのでは情けない。
夜叉姫「大丈夫よ鮎川さん。私はやれる! 皆!!!
生きて帰るわよ!!! 突撃ッ!!!」
夜叉姫の号令の元、戦の火蓋が切って落とされた。
岩猿軍「なんだ蟹江家の兵は、あれしか居ねぇのか?
兵が足りなくて女まで出させてやがる。お前らやっちまえ!!!」
岩猿軍の前軍は1000はいた。
前軍、中軍、後軍に1000名ずつ配置しているようだ。
蟹江軍100名。岩猿軍1000名はぶつかった。
数の差はあれど鮎川の働きにより前線は膠着していた。
鮎川「我が槍の寂となれ!!! 者共!押し上げろ!!!」
鮎川の槍裁き、そして激励により兵達は勢いを増した。
夜叉姫「凄い・・・・・・鮎川さん。私も負けられないわ!」
夜叉姫も刀を手に取り敵を斬り進む。
すると前から将らしき者が出てきた。
猿谷「俺の名は猿谷吉右衛門!!! 女!お前がこの隊を率いている者か? いたぶってたっぷり可愛がってやるぜ!」
気味の悪い笑みを浮かべ槍を突き出してきた。
夜叉はそれを受け流すと、そのまま猿谷に斬りかかった。
しかし、猿谷はその突き出した槍を横に振るい、夜叉姫の頭目掛けて当ててきた。
なんとか致命傷は避けたが少し頭を切ってしまった。
夜叉姫「くっ・・・・・・強い。」
頭を打たれた事により立ちくらみがしている。
それでもなんとか槍を捌くも、とうとう隙を出してしまった。
猿谷も隙を見逃す訳がなく、笑うとそのまま槍を夜叉姫の腹部目掛けて突き刺す。
猿谷「はっはっはっ!!! 死んだ後でも可愛がってやるから安心しな!!!」
夜叉姫(まずい・・・・・・桃太郎・・・・・・)
「はぁッ!!!!!! ガキンッ!!!」
鮎川「夜叉殿を殺らせはせぬ!!!」
鮎川がすんでのところで助けてくれた。
夜叉姫「ありがとう、鮎川さん。もうダメかと思った」
鮎川「遅くなり申し訳ない。もう十分です! 引きましょう!」
鮎川の問に頷くと鮎川は退却の言葉を高らかに発した。
その光景を見ていた猿谷はニヤリと笑い
猿谷「見ろ!!! 蟹共が前を向いて逃げているぞ!!! 今こそ追い討ちだ! 続けッ!!!」
猿谷達は完全に油断していた。
それほど夜叉姫達が奮闘したのだ。
すぐに逃げたのではこうはならなかっただろう。
磯貝「桃太郎殿!」
桃太郎「あぁ、夜叉達は上手くやったようだな」
前方には逃げる夜叉達の姿があった。
そして、その後方にも敵と思われる姿がある。
桃太郎「全員聞け!!! 夜叉と鮎川達は上手く敵を引き連れた! 次は俺達の番だ!!! 蟹江家の為!!! 家族の為!!! 全軍突撃だッ!!!」
桃太郎の激励はみんなの心に響いた。
不思議と力が漲る。
桃太郎は蟹江家の者では無いも関わらず、蟹江家の兵達は桃太郎から目が離せなかった。
桃太郎の後を追い敵目指して突撃する。
そんな兵達を見た磯貝も少し驚いていた。
磯貝「いやはや、桃太郎殿のカリスマ性とも呼ぶべきか。兵達だけでなく、私まで力が漲る。最早止められぬぞ猿公!!!」
桃太郎達は一気に駆けた。
すれ違う夜叉達。
夜叉達は桃太郎の後ろへ逃げた後、陣を立て直し再度突撃をする。
夜叉「鮎川さん!!! 私達の兵は何人居る?!」
鮎川「20人程殺られ、残りは80」
夜叉「そんなに殺られてたのね・・・・・・みんな!辛いだろうけど、この戦いもこれで終わりよ!皆、力を貸して」
夜叉の言葉に声を張り上げる兵達。
士気は最高潮に達していた。
鮎川「ふふっ、貴女という方は・・・・・・戦乙女だな。
行きましょう夜叉殿!ですが出過ぎないようお願いします!」
夜叉姫「わかっているわ! 行くわよ皆!!!」
こうして再度戦いは始まったのであった。
「面白いな、続きが読みたいなと思ったらブックマーク、高評価をお願いします。そして誤字脱字や意見などあったら是非コメントしてください。」




