いざ!!!一休と対面!!!
一休「皆さんの事は上から見ていましたよ」
礼儀正しく凛々しい顔の一休。
坊主頭が似合ういい男だった。
身長は桃太郎より低そうだが175くらいはありそうだ。
年齢も同じくらいと見える。
一休「よくわかりましたね! 意外とあそこを通れる人は少ないんですよ?」
夜叉姫「浦島が一瞬で理解してくれたのよ!」
何故か夜叉姫が自慢げにそう話すと一休は浦島を見た。
何やら見定められてる感じがして、顔が引き攣る浦島。
桃太郎「お、俺も分かってたからな!!!」
桃太郎が慌てて言うも一休は眼中無しといった感じで浦島を見ている。
一休「なるほど。貴方達は何か私に聞きたいことがあってここに来たのでしょう? もう1つとんちを出しましょう。
これに答えられたなら質問に答えてあげます。
『いつもは足が無いのに、逆さまになると足が10本になる生き物』はなんでしょう?」
桃太郎(おいおい、そんなトンチお前の話に出なかっただろうが。なんだよそれ!!!)
桃太郎は元々頭が悪く、回転も遅かった。
その為、前世でもなぞなぞは大嫌いだった。
夜叉姫も金太郎も分からないといった表情をしている。
するとわずか数秒で浦島が答えた。
浦島「貝だね?普段は足はないけど逆さまになるとイカになる。つまり足は10本だ」
桃太郎達「「おぉーーーッ!!!!!!」」
一休「・・・・・・お見事! それにしても早い解答ですね」
浦島「難しく考えずに、足が10本ある生き物を考えたんだ。まぁ足が10本の生き物なんてイカ以外に知らないんだけどね!」
一休「ふむふむ。中々の頭の柔らかさです。いいでしょう!聞きたいことはなんですか?」
桃太郎「彦星と織って名前に聞き覚えはないか?!!!」
一休が話終えるのと同時にすぐ答える桃太郎。
浦島のおかげで突破できたが、最早それどころでは無かった。
両親の情報を少しでも早く聞きたい。
桃太郎の頭にはそれしかなかった。
一休「知っていますよ。その2人もここへ来ましたからね! でも、それは10年以上前の事です。それでもよければ私の知りうる情報を教えましょう」
桃太郎「頼むッ!!!!!!」
一休は了承すると寺の中へ案内した。
豪華な外観に比べ内装は至ってシンプルだった。
そして奥には立派な須弥壇が置かれている。
皆で座布団に座ると一休は語り始めた。
一休「10年以上前に彦星さんと織さんはこの寺へやって来ました。あの2人はあなた達と違い、橋の真ん中を歩かず飛び越えて来ましたけどね。さすがの私も驚きましたよ。
私の元へ訪れた理由は、2人の間の子供の事でした。
詳しい事はお教えできませんが、火急の用との事で私に
解決策を見出してくれと尋ねてきました。しかし、私ではお力になれずまた遠方へと旅に出たのです。私が知ってるのはここまでです。あまりお力になれず申し訳ないです」
一休の話が終わるとすかさず浦島が口を開く。
浦島「詳しい事はお話できないって言ってたけど、それが
2人の子供であってもかい? ここに居る桃太郎が彦星と織の子供なんだ。」
一休は一瞬目を見開くも、すぐに目を閉じ何かを考えていた。
一休「なるほど。未来予知・・・・・・。子供であるなら尚更教える事は出来ませんね。」
桃太郎「なんでだよ!!! 両親の事を知りたいだけなんだ!!!」
桃太郎は必死だった。
祖父母の願いでもあるが、自分が両親に早く会いたいという気持ちもあるのだ。
今は少しでも情報が欲しい。
だから桃太郎は鬼気迫る勢いで一休に詰め寄る。
しかし、一休は何も教えてくれなかった。
なぜなら・・・・・・
一休「あなたの両親に言われたのです。もし、貴方が尋ねてくる時は何も教えるなと。黙って引き返してくれと。」
桃太郎達は驚愕する。
自分が来る事は予知されていたのだ。
母には予知能力があると祖父に聞いていたが、ここまで予知されていると何か不気味なものを感じる。
夜叉姫「どうする桃太郎?」
親には来るなと言われた。
しかし、両親は子供のため、つまり桃太郎の為に家を出ているのだ。
それに祖父母に約束した。必ず連れて帰ると。
それならばやることはひとつ。
桃太郎「はい分かりましたって引き下がれるかよ・・・・・・やっと薄ら見えてきたんだ。このまま進んで情報を手に入れ、
いつか必ず会ってみせる!!!」
浦島「君ならそう言うと思ったよ。」
金太郎「当たりめぇだ! こんなとこで足止めしてられるかよ!」
夜叉姫「さすがは私の旦那様♪ 早くご両親にも挨拶しなきゃだしね!」
一休は4人の意志を感じとり止めることは適わないと悟った。
一休「どうやら止められないようですね。僕は君のご両親に大きな借りがあります。その借りを返す為、貴方が来るのを待ち、そして帰らせることが私の責務でした・・・・・・どうやらそれは、適わないようですね。なら、私もあなた方について行きましょう。」
桃太郎「えぇ?!!! なんの為にお前まで着いてくるんだよ?!」
突然の告白に桃太郎を含め皆も驚く。
一休「先程も言った様に、私にはあなたの両親に大きな借りがあります。それを返すべくあなたの事を守りましょう。」
桃太郎「守るって言ったってお前・・・・・・」
ただのお坊さんに見える一休に力があるとは思えない。
トンチが多少出来るからといって役に立つとは思えなかった。
そんなことを考えていると脳筋太郎が核心をつくように一休に怒鳴った。
金太郎「てめぇが守るだァ?! アホ抜かせ!!! 幾千もの戦いに身を投じて来た俺は分かる、お前は弱ェ!!! 夜叉よりもな!」
金太郎の目は確かだった。
桃太郎を見た時自分よりも強いと感じ、浦島は五分だと感じた。夜叉姫も女ながら、かなりの戦闘力を持っていると見えた。だから、自分を金太郎と呼ぶ事を許したのだ。
一方の一休はそこらの兵士よりも弱そうであった。
そのため、桃太郎を守るどころか足を引っ張る存在になると思い金太郎は怒鳴ったのだ。
一休「何も強さは力だけではありません。そうですね、例えば1人の敵がいたらどうしますか?」
金太郎「そんなもん、力で倒すぜ!!!」
一休「では百の敵は?」
金太郎「同じく力だ!!!」
一休「では千の敵は? 万の敵は?」
金太郎「ぐぐっ、ち、力でやる!!!」
浦島「さすがの金太郎でも無理だろうね」
金太郎「う、うるせー! なら一休!!! てめぇは1人の敵を倒せるのかよ!!!」
一休「そうですね、1人の敵には罠を、10の敵には計略を
100の敵には策略を1000の敵には戦略を、万の敵には謀略をもって制しましょう。これ即ち兵法なり。何も戦うのは腕だけではありません。知を持って勇を制する。これが私の戦い方です。」
一休の発言に4人はただただ唖然としていた。
このメンバーは基本脳筋が多く、4人の中では浦島が多少頭が回るくらいで残りの3人は頭が悪い。
今後は武だけでは乗り越えられない壁も出てくるかもしれない。
そうなった時、一休の力は必要となる。
4人は話し合い一休の参加を受け入れた。
一休「それでは改めてよろしくお願いします。」
こうして桃太郎一行は5人で旅を始めることになったのだった。
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