いざ出発!!!
〜14年後〜
桃太郎は18歳の誕生日を迎えていた。
桃太郎の身長は185cmとなっており、元の世界の時よりも3cm伸びていた。
そして元の世界とは比べ物にならないほど筋肉がついていた。
家の近くにある山の周囲は、20キロ近くある。
前までは何時間もかけて走っていたが、今となっては
本気で走ると20秒で走りきってしまう。
そして木だが斧で切らず手刀で切れるようになっていた。
何故か斬撃も飛ばせて、まとめて切る事も可能になった。
小さい頃に魔法が打てるか試したが結局恥ずかしい思いをして終わったから諦めた。
今日も訓練を終えると、いつも通り川で顔を洗う。
そこに映るのは、見たこともないイケメン。
元の世界に居たらモテモテの人生を送れたに違いないと確信するほどのイケメンであった。
幸太郎「ふっ、今日もお前はイケメンだな。そして、
ここまで力は付けた。だがまだ通用するかどうか・・・・・・」
ここまでくれば最早超人並ではあるが、この世界の人間達がどのくらいの強さがあり、鬼がどれ程脅威な存在なのか知らない為、とにかく鍛えるしか無かった。
だが、その特訓も今日で終わりを迎えることになる。
おじいちゃんが慌てて家にやって来た。
おばあちゃん「どうしたんだいそんなに息を切らして」
心配そうに話すおばあちゃん。
おじいちゃん「ち、近くの村に鬼が出たそうじゃ!」
おじいちゃんの言葉におばあちゃんは驚愕していた。
おばあちゃん「と、とうとう村を襲いに来たんだね・・・・・・」
不安に脅えている二人を見た幸太郎は決心する。
幸太郎「ばあちゃん、俺が鬼を退治してくるよ!!!」
今の力でどこまで通用するか分からないが、このまま鬼を放置すればその内この家にまで来るかもしれない。
そうなると大好きなおばあちゃんとおじいちゃんは殺されてしまう。
それだけは許せないと幸太郎は鬼退治に名乗り出た。
おばあちゃん「だ、ダメだよ桃太郎! あんたを失ったら私は・・・・・・私は・・・・・・」
おばあちゃんは膝を着いて涙を流した。
幸太郎(あれ?! あの話だと確か止めに入らなかったよな?っていうか、普通は止めるのが常識だよな!!! ありがとうばあちゃん・・・・・・)
幸太郎はおばあちゃんの優しさに貰い泣きをしてしまった。
そこへおじいちゃんも
おばあちゃん「桃太郎、お前が行くことは無い。人間の肉が好きなら老い先短いワシの命で勘弁してもらうわい」
自分を犠牲におばあちゃんと桃太郎を守ると言うおじいちゃん。
幸太郎(おい、やめてくれよじいちゃん・・・・・・そんな自己犠牲なんて・・・・・・涙が止まらねぇよ・・・・・・)
三人して涙を流していた。
そして幸太郎は改めて決心する。
幸太郎「じいちゃん! ばあちゃん! 俺は二人に拾われてここまで育ててもらった! 俺は行くよ!!! それに死にに行く訳じゃない!!! 鬼を倒してまた帰ってくるから!!! だからばあちゃん!!! きび団子を作ってくれ!!!」
幸太郎は知っていた。
きび団子をおばあちゃんから貰い道中の犬、猿、キジを仲間にして鬼を倒す事を。
幸太郎(まずは仲間集めだ!!!)
おばあちゃん「桃太郎、本当に立派になって・・・・・・絶対生きて帰って来るんだよ!!! そしたら世界一美味いきび団子を作ってあげるからね!!!」
おじいちゃん「ワシらよりさきに逝く等、許さんからな! お前はワシらの宝物じゃ、ワシがお前にさいこうの刀を打ってやる!」
二人はそういうと直ぐに作業に取り掛かった。
幸太郎(じいちゃん、刀打てるんだ・・・・・・元々鍛冶屋さんだったのかな?)
そして、二人が作業に入ってから一週間がたった。
おじいちゃん「できたぞ!」
おばあちゃん「できたよ!」
二人で声を揃えて持ってきてくれた。
幸太郎「きび団子作るのに一週間って凄い時間かけたねばあちゃん・・・・・・」
おばあちゃん「当たり前だろう、世界一美味いきび団子だからね」
幸太郎「ありがとうばあちゃん、大切にするよ」
幸太郎はおばあちゃんからきび団子を受け取る。
おじいちゃん「そしてこれが刀だ。」
そう言って鞘から刀を出す綺麗な曲線部を描いており、刀身は光り輝いていた。
おじいちゃん「この刀の名は妖刀村正と名付けよう」
幸太郎「ぶふぅッ!!!」
思わず吹き出してしまった。
幸太郎「じいちゃん! その名前なんで知ってるの?!」
自分が知っている名称であり不思議に思った幸太郎はじいちゃんに聞いてみた。
おじいちゃん「何を言っておる。この名前はワシが決めたんだぞ?! 妖刀としたのはな、この刀は斬れ味が良すぎて普通の鞘では入れた時に斬れてしまうんじゃ。それで妖刀とした。村正は・・・・・・響きじゃな!」
幸太郎「な、なるほど・・・・・・ありがとうじいちゃん」
おじいちゃんから村正を受け取る桃太郎。
これで準備は整ったと出発しようとするとおばあちゃんにまた呼び止められた。
おばあちゃん「ちょっと待ちな!!! そんな古びた服では格好がつかないだろ? 爺さんと服も作ったからこれを来て行きなさい!」
そう言って出したのは昔ばなしで見た桃太郎の服とは全然違い、カッコイイ赤と白の組み合わさった羽織りと鎧だった。
幸太郎「何これすげぇカッコイイよ、ばあちゃん!!!」
おばあちゃん「あはははっ、子供みたいにに喜ぶその姿は小さい頃と変わらないねぇ」
おばあちゃんは笑いながらその鎧を着させてくれた。
鎧というから動きにくいと思ったが、そんなことは全くなくむしろ一体感を感じた。
そしてじいちゃんがハチマキを渡してきた。
じいちゃん「これを頭に付けて行ってこい桃太郎!」
そう言って渡してきたのは真ん中に桃の絵が書いてあるハチマキだった。
幸太郎(・・・・・・ダサくない?! こんなにカッコイイ鎧を着ているのに桃のハチマキするとかダサくない?! でもじいちゃんが一生懸命作ってくれたんだ・・・・・・くっ!!!)
幸太郎「ありがとうじいちゃん!!!」
結局折れてハチマキを付けることにした。
そして伸びきった髪の毛もポニーテールのように結び準備は整った。
玄関へ出るとおじいちゃんとおばあちゃんも見送りに来てくれた。
幸太郎「じいちゃん! ばあちゃん! 必ず帰ってくるからね! さようならは言わないよ!!!」
泣きそうになりながらも二人へ語る幸太郎。
おじいちゃん「婆さんの事はワシに任せろ。そして無事に帰ってきておくれ我が最愛の子よ。」
おばあちゃん「うぅ・・・・・・泣かずに見送るつもりだったのに・・・・・・歳をとると涙脆くて適わないねぇ。・・・・・・桃太郎、行ってらっしゃい」
涙を流しながらも笑って見送ってくれたおばあちゃん。
幸太郎も涙を拭き取り笑顔で応えた。
幸太郎「行ってきます!!!」
こうして桃太郎、元い幸太郎の鬼退治への度が始まった。
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