いざここ掘れワンワン!!!
村に戻りだんだらぼっちの首を村長に渡すと大いに喜んだ。
村長の計らいで祭りが開かれ、金太郎は酒を浴びるように飲んでいた。
祭りは夜中まで行われ、そのまま外で寝る者ばかりである。
桃太郎達もいつの間にか寝てしまい気付くと朝になっていた。
桃太郎は両親の情報を聞くため村長の元へ訪れる。
桃太郎「なぁ村長、ひとつ聞きたいんだが彦星と織と
いう名前に心当たりはないか?」
村長は必死に記憶を辿ってくれたが、知らないと言う。
だが、村長よりも前からこの村にいる老人夫婦なら知ってるかもしれないと、その家を紹介してくれた。
金太郎と浦島はまだ眠っていた為、桃太郎は夜叉姫を伴い、その家に入った。
桃太郎「おーい!誰かいるかー?」
する遠くの方から爺さんが歩いてきた。
爺さん「おぉ、これはこれは、だんだらぼっちをやっつけてくれた侍様ではないですか、こんな場所に何用で?」
桃太郎「村長に爺さんが1番古株って聞いてな! ひとつ聞きたい事があるんだ。彦星と織という名前に聞き覚えはないか?」
爺さんはすぐに目を見開いた。
何か知っているようだ。
爺さん「その2人なら覚えておるよ。美男美女の2人組みでこの世の人間とは思えない程整っておった。何を言ってたかまでは覚えておらんが、確か・・・・・・タケノコと言っておったのぉ」
桃太郎「・・・・・・タケノコ?」
タケノコでも食べたかったのだろうか?
全くわからない。
もしくは爺さんが聞き間違えたのか。
他にはないか聞いたがそれしか思い出せないとの事だった。
爺さんと話していると犬が桃太郎に寄ってきた。
白い毛の犬だ。
桃太郎「ありがとう爺さん! おっ、可愛いワンコだな!
名前はなんて言うんだ?」
爺さん「この子はシロと言ってな、昨日の雨の降る中、一人ぼっちじゃったから連れて帰ったんじゃよ、ワシの大切な友達じゃ」
すると、シロは外へ出て爺さんの方を向くと急に吠えだした。
まるで僕に付いてこい。と言ってるようだ。
爺さんは犬の後を追いかけることにして、
桃太郎と夜叉姫も気になりついて行くことにした。
シロは裏山まで行くと急に立ち止まり地面を掘り出す。
桃太郎「んー? この展開はもしや・・・・・・」
しばらくすると箱が出てきて、中を開けると大判小判が大量に入っていた。
桃太郎「やっぱり!!!!!!」
爺さん「こりゃたまげた!!!」
夜叉姫「おじいさんやったわね!!! これで大金持ちよ!!!」
しかし、爺さんはこの小判を村のみんなで分けると言った。
夜叉姫は勿体ないと駄々捏ねていたが、桃太郎はなんだか嬉しかった。
一人で独占するのではなく、村の皆で支え合う。
平和な村だなと感心していたのだ。
小判の入った箱を降りて村に戻ると、みんなを集めて
爺さんは早速分配し始める。
その頃には金太郎と浦島も既に起きていた。
浦島「うわお、これは凄い大金だね」
金太郎「わざわざ分け与えるなんざ、とんだお人好しだぜ」
しばらくすると二人の熟年夫婦がやってきて、爺さんに文句を言い始めたのだ。
おっさん「おい! まだそんなにあるんだからもっと寄越せよ爺さん!!!」
おばさん「そうよ! どうせ皆には少ししかあげないで後は自分のものにする気でしょ? 老い先短いんだから、私達に寄越しなさいよ」
桃太郎(・・・・・・なんだコイツら。爺さんの善意を貶しやがって。)
桃太郎は思わず刀に手を伸ばしていた。しかし、
浦島「ダメだよ桃太郎」
浦島に腕を捕まれ止められた。
桃太郎「でもよ!!! コイツら爺さんを!!!」
浦島「わかってる。でもここで殺せば君は、指名手配されてしまうよ?君の旅は始まったばかりだろ?」
浦島に諭され桃太郎は耐える事にした。
夜になると村長の家に泊めさせてもらった。
本当は今日のうちにこの村を経ちたかったが浦島がまだ
ここの酒を飲みたいと言い、金太郎も賛同したのだ。
桃太郎と夜叉も仕方なく付き合うことにしてまた、酒を飲み交わしていた。
夜も更けた頃、爺さんの家に二人の人影があった。
意地悪夫婦だ。
彼らはシロの元へ近寄るとシロの首輪を無理矢理引っ張り
裏山へ連れて行った。
おっさん「さぁ!!! さっさと次の小判を探せ!!! 見つけても誰にもやるものか!!!」
おばさん「そうよ!!! さっさと掘りなさいよこのダメ犬!!!」
おばさんはシロを蹴り飛ばした。
シロはクゥンと泣くとそこに伏せた。
もうここには無い。もしくはお前達には教えない。
そう言ってるような雰囲気だった。
それに怒ったおっさんはまたしても蹴り飛ばし、更には近くにあった石を手に持ったのだ。
おっさん「犬の癖に舐めやがって・・・・・・殺してやる!!!」
おばさん「アハハハハ!!! そんな怯えたって遅いのよ!!!
さぁ! やってしまいなさいアンタ!!!」
犬はビクビク震えている。
「なにやってんの」
おっさんとおばさんは慌てて振り向いた。
こんな夜更けにまさか、山に人が居るとは思わなかった。
木陰に誰かいる。
ちょうど雲が流れ、月明かりがその人物を照らすと
そこに立っていたのは
おっさん「あんたは浦島・・・・・・」
月明かりに照らされた浦島は冷たい視線で二人を見つめていたのだ。
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