なんといきなり余命宣告ぅ?!!
20xx年12月13日 日曜
「一ヶ月かぁ。」
うむむ、どうしよ。思ったよりも短いなあ。
目の前に一枚の薄紙。
『1988睡眠症候群』
眠り姫病、白昼夢病だとか呼ばれてる病気。
その名の通りで、1988年に発病者が現れた。
最初はいつもより数十分眠る時間が長くなるくらいで、
次第に伸びていって、最後には起きられなくなる。
白衣を着た20代くらいの若い医者が気の毒そうな顔をしながら
少ししどろもどろにこう言った。
「えーと、過去の症例を見ますと、長くても一週間を越えずに、睡眠時間が月単位になります。未だ治療法のないこの病気ですが、患者には基本2つの選択肢があります。このまま入院生活を始めてしまうか、のこ…残された時間をプライベートに「じゃあ、後者でお願いします。」
話を打ち切るように、明るい声を意識して、私はそう言った。
なんやかんや手続きと家族への説明が終えて、家へ帰った。
いつも通りの我が家、いつも通りの食卓に、いつもでは考えられないほど暗い顔をした父と母。
私も、何を話すべきか少し悩んだ後に
「あの通帳使っちゃってもいい?」
これも弾んだ声で言う。
「私ね、マッカのポテトを一度お盆いっぱいで食べてみたい。あと、一日中ゲームしてみたい、あと…あとね。」
色んなことをしたい。夢はなかったけど、それでも、楽しい日にしたかった
17年間貯めてもらった独り立ち資金、17年間育ててもらった体、心、全部使い切りたかった。
「もう、やっぱりバカね。使うならオシャレとかもしなさい。いい歳よ、スズメ。」
「はは、お母さんの言う通りだぞ、有意義に、日本自転車一周とかに使え」
「足パンパンになるぅ〜〜、と言うかそれ2年前にやったし」
それでもいつも通りに接してくれる温もりに涙が出た
それに誰も触れず、会話をして、ご飯を食べて、お風呂上がりのストレッチをして概ね普段通りに過ごした。
違うとこといえば、学校、友達、親しい人への連絡に3時間くらいかけたことくらいだった。