表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伏見宮と天皇家  作者: やまのしか
3/104

カペー朝と伏見宮の謎③

イギリス王家では常に4000人以上の王位請求権者がランキングされています。

天皇家でも宮家などは作らず、臣籍降下した皇別氏族に皇位継承権を認めていれば、この程度の男系子孫は余裕で確保できていたでしょう。

しかし、今さら昔に戻って賜姓皇族を増やすことはできないので、今の時点で確保できる男系男子に皇位継承順位をつけ、皇統の安定を図るしかありません。

それでも100人程度は見つけられると思います。ただ問題なのは東山天皇や後陽成天皇から分れた男系男子数十人が上位を独占すると思われることです。

あと、旧宮家と呼ばれている祟光天皇系の男子の中で、庶子として皇族に加えられなかった元華族男子等も加えられるでしょうから、現行の旧宮家などから強い反対が予想されます。それでも皇位請求者総数は100人程度しか残っていないと思いますから、ここで動かないと皇統は続かないと思います。

さて、それでは、なぜ「男系限定」や「血統の近さ」(血の濃さ)がこんなにも重要視されているのか、ということですが、それは天皇は欧州の王と違って、祭祀王でもあるからです。

天皇の重要な役割は祈る事です。祈りには霊力が必要です。霊力は代々の血で受け継がれるものです。

科学的な証明などはどうでもいいのです。2680年間続いた万世一系、それだけで説得力は十分です。

天皇は古来より男系の血を伝承してきた一族です。ですから何よりも男系の血を重要視します。そして、日本神道はキリスト教やイスラム教同様、人智の及ばぬ宗教なのです。

血は濃さが最重視されます。男系男子の父子継承が基本です。

それが無理なら兄弟継承です。大宝律令の継嗣令では親王とされるのは皇子と兄弟でした。

天皇は代々男系血統の父子を優先的に継承させたんです。たまにイレギュラーで妻などの女子継承もありましたが、天皇は男系をたどれば必ずニニギノミコトにたどり着く万世一系が原則だから尊いのです。

つまり日本人はみんな神と繋がっているのです。天皇との血の近さが祭司王には重要です。

サラブレッドは祖先をたどると3頭の馬にたどり着くと言われています。それが三代始祖と言われる「ダーレーアラビアン」「ゴドルフィンアラビアン」「バイアリーターク」の3頭です。

そして、2011年3冠馬オルフェーブルはノーザンテーストの4x3の血量だと言われています。これはオルフェーブルにはノーザンテーストの血が18.75%流れているということです。

5代血統表を見てみると3代前と4代前にノーザンテーストの名前がある。

人間で言えば「曾祖父」と「髙祖父」に、同じ人がいると言うことです。

つまり3代前は「曾祖父」だから12.5%、4代前は「高祖父」だから6.25%、ゆえに足して18.75%の血量となる。オルフェーブルはノーザンテーストから18.75%の血を受け継いでいるとなるわけです。

サラブレッドは2頭の両親から各々50%ずつ血を遺伝する。4頭の「祖父母」からなら各々25%ずつだ。8頭の「曾祖父母」からなら各々12.5%ずつ、4代前父母(高祖父母)からなら各々6.25%ずつ血を受け継ぐという事です。この考えは人間の場合でも同じで、ルパン三世は、お爺ちゃんがアルセーヌ・ルパンだという設定なので、ルパン三世には大怪盗アルセーヌ・ルパンの血が1/4 (25%)入っていると見なす。

それが「サラブレッドの血統学」です。ここで「天皇の血統」と「サラブレッドの血統」を考察する上で重要な違いを説明しておきましょう。「一世」とか「二世」の数え方です。同じではないんです。

「サラブレッドの血統学」では、本馬が「一世」でその子が「二世」なんですが、「天皇の血統学」では、本人が「0世」「子が1世」「孫が2世」なんです。話を戻します。

ルパンの血統はサラブレッドと数え方がいっしょなので、ルパン10世ならば、1/1,024 (0.09765625%)です。600年もたてばルパン二十世になると思いますが、まあ、ざっとイメージして20世なんですが、

ルパン20世には、その20代前の血が、1/1,048,576、 (0.00009536%) 残っているということです。

もっとわかりやすく言うなら、20代前の祖父母は、ざっと2の20乗 (1,048,576人) いるということです。

つまり伏見宮の20代前の「20代前祖父母」(そふぼ)は、約105万人ということです。

伏見宮(旧宮家)は男系だと言われています。その根拠は、20代前祖父の一人が「祟光天皇」だからです。

伏見宮は「祟光天皇」の男系の血を引いているのです。

しかし、日本男子はみんな何れかの天皇の血を受け継いでいるとも言えます。

我々の27代前の祖先は、2の27乗、134,217,728 で、1億人を越えています。

平安時代の日本の人口は600万人だと言われてますので、27代前まで遡ると、日本人はみんな少なくとも15人程度の天皇の血を受け継いでいる事になります。皇位継承条件を男系血統に繋がっているだけでいいと言い張ると「日本男子はみんな男系で繋がってるよ」と言われることになるのです。だから血統の近さが大事なのです。血統は繋がっているだけではダメで、血の濃さ、天皇との距離が、大事だという根拠です。

そして天皇は祭祀王でもあり、ニニギ以前は神でもありました。だから受け継いだ血が濃ければ濃いほど強い霊力を持っていると言えるのです。井上毅のように「神武天皇」を祖と言う人もいますが、私は天照大神だと思います、ゆえに霊力を有する天皇は人を越えた存在なのです。

明治の皇室典範の草稿を書いた柳原前光も天照大神だといっています。彼の書いた草稿の第一条と第二条は、大日本帝国皇位ハ恭シク天祖ノ大詔二則リ其皇統之二当タルコト天壌ト与二窮リナシ

(大日本帝国皇位は、うやうやしく天祖のたいしょうにのっとり、その皇統これに当たること、天壌とともにきわまりなし)(天壌無窮)

第二条、皇位ハ男系ノ男子之ヲ継承ス、でした。

これを

第一条、皇位ハ祖宗ノ系統ヲ承ケ男系ノ男子之を継承ス、と書き換えさせたのは井上毅でした。

「天祖の大詔」(天照大神の命礼)を「祖宗」(神武天皇)に変え、天皇の神性を打ち消すような文言となっているのは欧州王室の影響を強く受けたせいでしょう、井上毅の改悪です。

何れにせよ、伏見宮が20代も前に継がっている「祟光天皇」の血を、東山天皇13世の男子よりも上だと主張する理論が、いかに陳腐な理論かわかると思います。

前にも述べたように、血の遺伝は10代離れたら0.1%以下になります。だから20世代も離れたら、一般的視点から見れば、遺伝された血量は、ほとんど0です。そんな「薄くて遠い」男系の血の繋がりは、少しでも皇位に近い男系を選ばねばならない根拠に十分な説得力があります。

男系主義者は「伏見宮」は「今上天皇」と同じ男系だと主張するが、祟光天皇以来20世代も遠い旧宮家より7世代も近い皇別摂家の方が皇位継承にはふさわしいということです。

もう一点、視点を変えて皇位継承を相続の民事裁判だとして見て見ましょう。

例えば20代前の父が同じで、以来男系が交わらなかった「A系統」と「B系統」の家があったとします。

このA系統とB系統の家は、男系で繋がってると言っていいのでしょうか?

真面目に繋がってると答える人は、常識がズレてるんじゃないでしょうか。

自分に置き換えて考えてみればいいのです。例えば貴方が、突然見知らぬ人から、莫大な財産を相続させると言われたとします。「貴方の20代前の祖父と私の20代前の祖父は同じ人でした、だから私の財産を貴方に相続させます」と言われて、どう思いますか?

コイツは頭がおかしい、と思いますよね。きっと詐欺師だと、思いますよね。たぶん宗教の勧誘かと、思いますよね。もしかしてマルチ商法か、とも思いますよね。それくらい、おかしいことなんです。

まあ、100歩譲って、世界がどういう基準であれ、日本が良ければそれでいいんだとしても、それなら、20世代の隔たりのある一族より、13代で継がる皇別摂家の方がいいという理屈にしかならないでしょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ