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夢日記  作者: ウボ山
9/14

1月1日

 幻覚を見ることが度々ある。

 と言っても薬物だとか白昼夢とかそういうのでなく、ベッドの上で眠りから醒めてから目を閉じると、瞼の裏に夢の残滓のようなものが投影されることがあるのだ。それが見えるのははきまって、起きてすぐなのに何故か息が切れて、心臓が早鐘のように打っている時だ。BPM200強のテンポで、肩ごと跳ねるように拍をとる。あまり手や足には力が入らない。

 念の為書いておくが、これは夢の話ではない。正真正銘、私の身体に起こる現象。

 怖い夢でもみたのだろうか。夢の中で何かから逃げていたからこんなに心拍数が上がっているのだとすると、心臓の鼓動には説明がつく。

 だとすると、恐ろしい。

 あまりにも早すぎる拍動だとか幻覚だとかよりも、その悪夢の内容を覚えていないということが恐ろしい。なぜそんなに恐ろしかったもののことを忘れてしまうのだろう。単に起きるタイミングの問題か、それとも忘れなくてはやっていけないほどに恐ろしいものだったのか。

 そして何より、また次の夜には眠らなくてはいけないということが恐ろしくてたまらない。


 今日見たことの話をする。

 目が醒めて心臓がツーバスの如く打つ中まず瞼の裏に浮かんだのは、私の部屋にある勉強机の上の景色だった。勉強机としての役目を果たさなくなって久しいそれは、今は教科書とか小説だとか置き場になっている。幻覚で見えたそれもやはりごちゃごちゃと物が散乱していて、お世辞にも綺麗な状態とは言えなかった。

 やがて景色は移り変わり、次に浮かんだのはガラス張りの飾り棚だった。いわゆるショーウィンドウ。なんの店のそれなのかは知らないが、商品らしき物はその中には陳列されていなかった。暗い空間の中に立ち尽くす一体のマネキンを除いて。

 しばらくすると幻覚は薄れていき、それにつれて動悸も落ち着いた。こんなのが初夢じゃなくて良かったと切に思う。

明けましておめでとうございます。

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