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Jams〜ジャムズ〜  作者: 皐月コハル
LIVE1
1/1

音の世界

音を楽しむと書いて音楽。



言葉が通じなくても

音で交流できる。



あたしはそう思って

今まで生きてきた。




ねぇ、キミは?




初めて2人で見た

ライブで言ったでしょ?




『忘れてたんだ、俺の心を

揺さぶったものは

この爆音と衝撃なんだ』



子供の頃に憧れてた

ブルーインパルスの

音速と似てるって。




だからキミはその不自由な手に

ギターを持った。




『Jams』




あたし達、不揃いな4人の

ロックはここから始まった…



そう。キミと出会ったあの日から


【LIVE1】


-----------------------------------------------------------


子供の頃、コップを箸で叩くとカンカンという音がした。


次はお皿、また違う音。茶碗、お味噌汁のお椀、テーブル、


みんな音が全く違った。




「優雨!!」



これが大好きだけどお母さんは「みっともないから」と怒る。



それでも続けると今度は頭にゴンという衝撃。ゲンコツだ。




そんなあたしを見てお父さんは言った。



「優雨、そんなに何かを叩くのが好きなら叩ける習い事したら?」




みんながピアノです、公文ですという中でドラムを習っていたあたしはかなり浮いていた。




授業中でも教科書、ノート、筆箱をドラムセットの位置に置いて鉛筆でパカパカと音を鳴らしていて何度先生に注意された事だろう。





でも、あたしの中で叩くと何でも音がなる。





これは原点でもあり、その気持ちは音楽という言葉に変わり、音楽に国境なんてないって21歳になった今、そう思うから。








このあたしの鳴らせば何でも音が出る・・・







この気持ちからあの『Jams』は始まったんだから・・・・



*************************************


・『音の世界』






「HEY!YOU!!」



ほとんどジャングルと言っていいほどの中に取り残されたような集落。


人口50人くらいのこの村の「収穫祭」にあたしは参加している。




声をかけてきたのはこの部族の次期長老と呼ぶべき若者。



「〜〜〜〜〜〜〜」



「え?」



あたしは慌ててスマートホンを取り出しジェスチャーした。


これに向かって喋ってくれと。



「〜〜〜〜〜〜〜」



彼はもう一度スマートホンに向かって喋ったけど、無意味。


英語をカタコトでしか話せないあたしは必死で英語で「何を言いたいの?」と聞いた。



英語が万国共通何て嘘だ。



バックパッカーでバイブルは「地球の歩き方」のあたしには彼の言葉がわからない。



彼はパーカッションとも少し違う太鼓をテンポよく叩いた。




(あぁそういう事。セッションしようって事ね)



「OK」



あたしは近くにあった同じような太鼓の前に胡座をかいてリズムを刻む。


その音はあたしの国、日本の童謡の「さくら」のリズム。



若者を含め聴いた事がないリズムに村人は一瞬唖然としてたけど、あたしが笑うと拍手喝采。



そして若者はこの部族特有のリズムを刻む。


それに合わせてあたしは日本風に合わせて太鼓を叩く。




ほら、言葉なんてなくたって音で伝わるの。



互いを尊敬出来るんだから。




あたしの名前は竜崎りゅうざき 優雨ゆう。21歳、職業?それは何だろう・・・、あ、「世界中を音で繋げる伝統師」なんてどう?


って言っても、日本じゃただのフリーター。ライブハウスでバイトして、ある程度お金が貯まったらこうしてバックパッカーとして世界の色んな民族に単身乗り込んで無理矢理セッションするの。



言葉なんて通じなくてもジェスチャーで何とかなるのよ。


たとえば「お腹が空いた」と思ったらお腹をおさえて食べる仕草。


それだけで相手は「コイツ腹が減ってるんだな」って伝わるし。



日本じゃよく外国人が英語で話掛けて困って、なくなると「日本に来てるんだから日本語で話せ」と文句言う人って結構いるでしょ?


それってどうかと思う。


まぁ、その外国人もジェスチャーすればいいんだけどね。





あたしは音楽には国境はないって思ってる。



それは子供の頃、お父さんがドラムを習わせてくれてそこの先生の影響でもあるかな?



『何でも叩いてみれば音がなる。それは音楽だ』って。



この言葉は21歳になった今でもそう思う。



楽器がなくてもコップを叩けばメロディーになる。




あたしは世界中のどんな国、民族でもいいから彼らが鳴らす「音」が知りたい。



そう思って今日まで行った国は15カ国。



世界はまだまだ広いから。



死ぬまでに何国回れるかな?




そんな事を考えながら、今日日本へ帰国する。



またバイト生活の始まり。



でもライブハウスはあたしに合ってると思う。


「バンド」ってカテゴリで演奏するけど、みんな個性があるから。


下手でも上手くてもそれは個性の、そしてエゴの固まりの集団。


そんな人間達に再会するために帰国するの。次の目的地が決まるまで。




泊まらせてもらっていた長老さんの家で荷物をまとめていると、



「YOU!」



あたしを呼ぶ声が聞こえて振り返る。



この集落の確か狩りをするのが仕事の人。名前は何だろう?


昨日のセッションで燃え盛る火の周りで踊っていたっけ。



「ん?」



あたしは首を傾げた「何?」という合図。



「〜〜〜〜、〜〜〜〜」



「うーん、わかんない。どうしよう」



腕組みをして考えてみる。


そうしたらおもむろに彼に手を掴まれて引っ張られる。



「HEY!!」



強めな口調で言っても彼はあたしをひきずりながらどんどんと集落の中を歩いて行く。



たどり着いた先はどうやら彼の家のようだった。



「もっと丁寧にあつかってよね」



ブツブツ文句を言いながら中に入ってあたしが仰天した。




目の前のある光景は出産の最中だったから。




彼の奥さんだろう人が両手に紐を握って叫び声を上げている。




あたしは唖然としてその光景を見る事しか出来なかった。




「YOU」


再び呼ばれてあたしは彼を見た。



「ア〜、エ〜、・・・name!プリーズ!!」



「え!?あたしが?」



自分を指差しながら確認を取った。彼は頷いた。



(そんな大役・・・)



でも、せっかくの縁。彼は新しく生まれる命の名前を託してくれている。




部屋の外に出て窓から顔を出して色々考えた。


日本人がつけるんだから日本っぽい名前?


それとも・・・



「あ!!」



頭に浮かんだ言葉を伝えようと部屋に戻った。



「あなたの子供の名前『SONG』なんてどう?」



ポカンとしている。英語でも通じないし・・・。



「you,baby,name,『SONG』」



そしてあたしは鼻歌を歌いだして「このSONGね」と言った。




彼はあたしをギュっと抱きしめると「thank you」と言った。




その晩の飛行機でIPODを聴きながらすてきな子の育ってほしいな、そう願った。





数日後。


時差ボケがだいぶ直ったあたしはライブハウスの床にモップをかけている。



「優雨ちゃん」



店長に声を掛けられて「はい?」と答えた。


この店長ってちょとオカマっぽいんだよね。



「この間行った国、どうだった?」



「あぁ、スリランカ?よかったよ。ジャングルがあって民族がいて素敵だった」



「アンタ、スリランカなんかに行ってたの!?てっきりアメリカやらヨーローッパに行ってると思ってのに」



「だって両方もう行ったもん。今は知らない部族と太鼓を鳴らすのが楽しいの」



笑って喋るあたしに店長は呆れながら「しばらく彼氏出来ないね」と言い捨てた。



「彼氏なんか興味ないからいいの!それより今日は誰のライブ?」



「インディーズのイベント」



「ふーん、面白そうじゃん。どんな爆音鳴らしてくれるのかな」



あたしは鼻歌を歌った。


大好きなニル○○ーナの曲。


このバンドのギターボーカルが大好きで、自殺してしまった時はすごくショックだった。




「優雨ちゃん、そんなに音楽好きなら自分でバンド始めれば?」



「え?バンド??あたしが?」



「見てるだけじゃなくてみんなで爆音鳴らすってのもいいよ」




バンド・・・



考えもしなかった。



モップをかけながらそう思った。



夜になって受付でチケットをもらって出入りが自由に出来るように手にライブハウスの名前が掘ってあるハンコを押す作業をする。




「それ消えたら出入り出来ないから。トイレ行くなら中で行ってね」



流れ作業のように同じ言葉を繰り返す。



あたしがバイトしているライブハウスは地下にあるから階段で移動しなきゃいけない。



タバコにジッポで火をつけると上から何か怒鳴り声が聞こえた。


よくある喧嘩?


もしそうだったら筋肉自慢の店長に来てもらわないと。


一緒にいたスタッフの子に「見てくる」と行ってタバコをくわえたままあたしは外へ出た。





外では男の子が転んでいてそれを別の男の子が怒っている。



あたしこういうイチャモンが大嫌いだ。



「ちょっと!相手転んでるでしょ!何やってんのよ!!」



「あぁ?誰だよてめぇ」



立っている子がこっちを見た。



バカにするなよ、あたしは色んな国で殺されそうになってるんだからそんなツラしても平気なんだから。



「ここの従業員よ。あんた騒ぎ起こすなら店長呼ぶかあたしが相手になっても別にいいんだけど」



そう言って相手の胸ぐらを思い切り掴んでやった。




騒ぎを聞きつけた店長が現れたと同時に



「大丈夫ですから!」



という澄んだ声が聞こえた。



あたしは声の方を見た。それは転んでる子が発した声だ。



でも・・・この声、どこかで聞いた事がある。


「ほら、優雨ちゃんは仕事に戻って。後はこっちで何とかするから」



店長の言葉に頷きながらあたしは転んで必死でガードレールに掴まって立とうとしている色白でか細い男の子を見ていた。



誰かが手を差し伸べようとするのを「手伝うな!この人は自分で立つから!」と怒鳴ってしまった。



その自分の発した言葉に思い出した。




「アサヒ・・・?」




「やっぱり優雨だ」



ガードレールに掴まって立ち上がった彼は、あたしがスリランカに行く前に知り合った男の子。


田所たどころ 朝陽あさひ22歳の大学4年で就職難のうずに巻き込まれてる青年だ。




「何でこんな所にいるの?」



あたしがポカンとして聞くと、アサヒは笑った。



「職場に来てみたらって言ったの自分じゃん」



「そうだっけ?でもあたし一昨日帰国したばっかりだよ?何で今日から働いてるってわかるの?」



アサヒは携帯を出してまた笑った。



「何度も竜崎さんはいつから出勤しますか?って電話したから」



そういう事か・・・。


確かにここの場所も教えたよね?




「まさか本当に来るなんて思わなかった」



「だって、人生観変えてやるから来いって言ったの優雨でしょ?」



そうだっけ?



アサヒには悪いけどあたしはそれをすっかり忘れてしまってる。


***********************************


・『アサヒとの出会い』



その日は晴天で、あたしは旅先で知り合ったバックパッカーの黒人女性とオープンテラスのカフェにいた。



「優雨、お願いよ。ジャパンは高くて泊まる所がないのよ」



彼女は喋り倒しているのを腕組みをしたまま黙って聞いていた。


彼女とはエジプトで知り合って、5人が雑魚寝するような宿泊先で知り合いになり、その日は部屋のみんなでお酒を飲んで盛り上がって寝た。


翌日、部屋の中のあたし以外は「財布がない」とか「時計がない」と大騒ぎになった。


1人旅の基本。貴重品は抱えて寝る。


あたしは財布とパスポートは下着に挟む。



あたしは彼女じゃないかとすぐわかった。


昨日は自慢していたネイルがはがれている。物を漁った証拠だ。



あたしはそれを誰にも言わなかったし、みんな「ついてない」と悪態をつきながら警察やカード会社に連絡をしていた。




その彼女が日本へ旅に来て、どうやら泊まる所に困ってあたしに連絡入れてきたみたいだ。



「優雨!」



彼女は懇願したけど、あたしは彼女全く信用していない。



「悪いけど、あたしの家には泊めれない。代わりにほら、あそこに看板見えるでしょ?あれネットカフェって言うの。あそこ安いしシャワーにも入れるしPCも自由に使えるよ。あそこに事情説明してあげるから。どうせ英語通じないし」



あたしが英語で捲し立てて説明すると彼女は「嫌よ」と拒否した。






その時、アサヒに初めて出会った。



ドサっと何かが倒れる音がしてあたしは振り向いた。



そこには転んで、ガードレールに掴まって必死に立ち上がろうとする線の細い青年がいた。


クス・・・・。



あたしのすぐそばから笑い声が聞こえた。


一緒にいた彼女の声だ。



「え?」



あたしが聞くと彼女は笑ったまま言った。



「だって面白くない?」



あたしの頭の回路の何かが切れた。


気づくと彼女の頬を思い切りビンタしていた。



「あたしはアンタのそういう所が嫌いなんだよ!エジプトでみんなのもの盗んだでしょ!あたし知ってるんだからね。だからアンタは信用出来ない!!」





あたしはバッグを掴むと転んでいる彼の元へ走った。



転んでる彼は辛そうな顔をしてでも必死で立とうとしている。


いかにも出しゃばりそうなオバサンが「手伝おうかしら」と呟いているのを聞いて思わず「Fall silent!」(黙れ!)と怒鳴ったらビックリしていた。


さっきから英語使ってたからだ。



「彼は自分の力で立つの!誰も手を貸しちゃいけないんだから」



その言葉に彼はあたしを見た。キレイな顔、女の子みたい。



「ほら!頑張って自分の力で立ちなさいよ!人に甘えてたら生きていけないんだいだからね!」



それから20分かけて彼は何とか立ち上がった。


額に汗を浮かべながらあたしに「ありがとう」と微笑んだ。



あたしもつられて笑って彼に手を差し出した。



「あたしは竜崎 優雨。あなたは?」



「俺は田所たどころ 朝陽あさひ。・・・疲れた」



あたしは彼を思い切り引っ張ってしっかり立たせると



「そこ、ベンチあるから座らない?頑張ったからジュースくらい奢るよ」



そう言って彼の手を引いてゆっくり歩き出した。



彼も足をひきずりながらゆっくりついてきた。





ベンチに座ってペットのお茶を渡すと彼は喉を鳴らして飲んだ。



あたしもアサヒの隣に座ってお茶を飲む。




「・・・君って帰国子女かなんかなの?」



急に聞かれてビックリする。



「え?」



「だってさっき黒人女性と何か揉めてたよね?それ見てたら転んだ」



笑いながら言う。



「あぁ、違うよ。あたしはバックパッカーなの。英語も適当。色んな国で覚えたから正しい英語かはわかんない」



「バックパッカー?・・・へぇ・・・。何でそんな色んな国回ってるの?ボランティアとか?」



あたしは首を振ってジーンズの両足をリズムを刻みながら叩いた。


アサヒはよくわからないという顔であたしを見ている。



「音楽。色んな国の色んな民族とか部族とセッションするのが夢。あのね、音楽には言葉はいらないのよ。楽器がなくても、ほら、叩けば何でも音が鳴る。音で世界の色んな人と繋がりたいだけ」



アサヒは自分の両手を見て、あたしのように自分の足を叩いた。


あたしとは違う音が鳴る。



「面白いね」



アサヒは何度も自分の足を叩いている。



「アサヒ、下手くそだけどね」



あたしは笑った。アサヒも苦笑いをしている。



「聞いてもいい?嫌なら答えなくてもいいけど」



「何?あぁ、身体の事?」



あたしは頷いた。



「これは・・・」





アサヒは大学4年生。


顔を見てもわかるけど、それまで女の子にも苦労した事もなくて、高校までやっていたサッカーでは選抜メンバーに選ばれたり、それは他人がうらやむくらいな順風満帆な生活を送っていたらしい。


3年の時に大手のメーカーに就職も決まって、4年になってすぐ・・・今から半年前にその会社に正式に契約に向かっていた。車で。


信号で停まっていると、突然後ろからすごい衝撃がきてシートベルトをしていても、フロントガラスとハンドルに身体を思い切りぶつかった。


よそ見運転していたトラックが信号とアサヒに気づいて慌ててブレーキを踏んだけど、追突されてアサヒはそのまま病院に運ばれて入院。

段々とはよくなってきてるし、少しの後遺症で済むけど、右半身があまり動かなくなった。

全治半年。リハビリに1年。


決まっていた会社からは内定取り消し。

それまで自分の周りに集まっていた人間は「可哀想な人」という目でアサヒを見るようになった。

その目に耐えられなくて、1ヶ月前の退院してから大学には行っていないという。



アサヒの順風満帆な人生とその自信に満ちた性格はその事故ですっかり変わってしまった。



今日はリハビリの帰り、介護タクシーが送ってくれると行ったけど、天気がいいからのんびり歩いて帰ろうと思っていたら、黒人女性と何か揉めてるあたしを何となく見かけたら人にぶつかって転んでしまって、立てなかった。





「そしたら優雨が黒人女性を怒鳴りつけて走ってきてビックリした。助けてくれるとかちょっと期待したら『自分で立ちなさい』だし」



そう言って笑った。




「誰かに手を貸してもらうのは簡単だけど、自分の力があるならあたしは助けない主義なの」



「うん。俺はリハビリすれば治るからね、それに同情されないのって事故ってから実は初めてで嬉しかった」



「リハビリってどんな事するの?」



アサヒは空を仰いだ。



「うーん、普通。歩行練習とかそんな感じ。歩くのはそんなに苦じゃないんだ。気をつければ転ばないしね。ただ・・・手のしびれが取れないんだ。まぁ、俺左利きだからそこは助かってるけどね」



「ふーん・・・」



あたしはちょっと考えた。



手のしびれ・・・。



ただ、希望もなくリハビリをしているこの人・・・。




「ねぇ!」



あたしはアサヒの肩を掴んだ。


アサヒはビックリしている。



「音楽好き?ロックとか」



「は?・・・まぁ、聴く専門だけどそれなりに好きだけど・・・何?」



あたしはバッグからメモとペンを取って、住所とライブハウスの名前を書いた。



「ここ、あたしのバイト先。おいでよ、あたしがアサヒの世界変えるから」



「何で・・・?」



「言ったでしょ?音楽に言葉はいらないの。通じ合えるのよ。アサヒの世界、変わるかもしれないじゃない」



「そんな・・・わかんないじゃん」



アサヒは呆れた顔をした。



「そう!わかんないのよ。だから、試しにおいでよ!あたし待ってるから」



「待ってるって・・・、俺、まだそんなに歩けないし」



「歩けるようになってからでいいから!あ!・・・」



「え?今度は何?」



「忘れてた。あたし来月からスリランカ行くんだった」



「はぁ!?スリランカ!?」



アサヒがデカイ声を出した。



「帰ってくるのは・・・、えーっと、気分だからなぁ。店長には2ヶ月お休みもらってるからそのくらいだし・・・」



あたしが頭を抱えるとアサヒの笑い声が聞こえた。



「え・・・?」



「優雨って面白い。変な奴だな」



「何が?」



「天然?厳しいんだか優しいんだかさっぱりわかんない。でも一生懸命だって事はわかる。後はいい奴で美人だなーって事は」



「美人?」



あたしの?どこが?


そんな事言われた事あったかな?




あたしが手にしているメモをアサヒはヒョイと取った。



「2ヶ月後ね。OK。俺どうせ就職浪人決定だし、必ず行くよ」



そう言ってあたしの頭をガシガシと力強く撫でた。









これがあたしとアサヒの出会い。





***************************************


・『再会』




「随分歩けるようになったのね」



長くて細い階段を降りながらあたしは言った。


壁に手をついてるけど、アサヒはゆっくりだけど、ちゃんと歩いてる。



「結構リハビリ頑張ったからね。まぁ、やっぱり転ぶと起き上がるのに時間がかかるけどさ」



「偉いじゃん」



「誰かさんが『世界を変えてやる』って大口叩いたお陰かな?」



イタズラっぽく笑ってる。



ライブハウスのドアの前について、スタッフの子に


「この人、あたしのゲストだから」


と言って、アサヒに「今日はインディーズのイベント」と言った。



ドアを開けた瞬間に爆音が鳴り響く。



アサヒはドアの前にぼんやりと突っ立っている。



「どうしたの?何か飲むでしょ?」



あたしが声を掛けると「あぁ・・・うん」と呟いた。




「座りなよ」



とカウンターのそばの椅子を指差して、あたしはドリンクを取りに行った。



「ちょっとイケメンじゃん。どこで知り合ったのよ」



ドリンカーの子がビールを2個渡しながら言ってくる。



「道で拾った」



「はぁ?」



あたしは鼻歌を歌いながらアサヒが座っているカウンターへ向かった。




イベントも終わりの方で今演奏しているのが、今回のイベントの一番人気のバンド。



カウンターにビールを置いてあたしはアサヒの耳元で声が出した。



「このバンド、結構いいでしょ?もうすぐ上京して本格的にプロ目指すみたいだよ」



アサヒはあたしの方へ顔を向けた。


何だかぼんやりしている。



「アサヒ?」



口が動いているけど、何を言ってるのかこの爆音の中では全く聞こえない。



「え?何?」



アサヒは何も言わないでまたバンドへ目を向けてしまった。



あたしは首を傾げてアサヒの隣でビールを飲みながら演奏を見てた。




何となくアサヒに目を向けると子供のようにキラキラした目でバンドを見ている。




(そんなにロックが好きなのかな?)




あたしもロックは大好き。



民族音楽も好きだけど、子供の頃習っていたドラムでロック好きの父親が先生にあたしがロックを叩けるようにお願いしていたから、あたしが習ったのは全部ロック。


でも、先生はロックだけじゃなくどんな物でも鳴らせば音楽って教えてくれたからバックパッカーなんてやっているのもあるけど。


先生の影響はかなりあったから。




そんな事を考えていると、バンドの演奏が終了した。


バンドが背中を向けて楽器を片付けているのをアサヒはまだ見ている。



「アサヒ?どうしたの?」



あたしの声がやっと届いたみたいで、アサヒは急にビールを一気に飲み干した。



「優雨!このバンドのCD売ってる?」



「え?いや売ってるとかじゃなくて自主のCD配ってるけど。そこの物販で」



あたしは後ろの物販を指差した。




アサヒはいうことをきかない足をひきずるようにして急いで物販へ向かった。


物販の女の子に何か説明している。女の子の目はアサヒに釘付け。




まぁ・・・アサヒはイケメンってのは合ってるからね。



タバコに火をつけてあたしはその様子を眺めた。




アサヒは嬉しそうにCDを手に戻ってきた。



「そんなに気に入ったの?このバンド」



「忘れてたんだ」



とんちんかんな答えにあたしは眉間に皺を寄せた。



「何を?」



アサヒもポケットからタバコを出してゆっくり吸い込んだ。



「忘れてたんだ。俺が子供の頃になりたかったのはパイロットだった」



「え?」



「ブルーインパルスって知ってる?」



急に何を言い出すの?



「一応は・・・、航空自衛隊の青い飛行機でしょ?」



「そう。日本で一番早い飛行機。音速ってあれの事なんだって思った。それにあの爆音。今、思い出した」




アサヒは勢いよく喋りだした。



「子供の頃、多分・・・小1くらい。家族で航空自衛隊の飛行ショーを見に行ったんだ。そしたらブルーインパルスが目の前にいてさ、すっごい轟音・・・ってより爆音で飛び立った。俺はそれを見てすごく感動したんだ。妹や母さんは耳が痛いって言ってたけど、俺はその爆音にドキドキした。それからしばらく、俺の夢はブルーインパルスのパイロットになるって事だった。さっきのバンドの音聴いてさ、何か走馬灯みたいにその事がグルグル頭の中を駆け巡ったんだよ」



「・・・うん」



あたしはどう答えていいかわからなくて頷いた。




「忘れてたんだ。俺の心を揺さぶったものはこの爆音と衝撃なんだ」




目をキラキラさせながら言うアサヒを見て、思わず口から言葉が出た。



「だったらアサヒもバンドやってみたら?」



「え?」



「あ・・・」



あたしは自分が発した言葉に自分で驚いた。



腕がしびれるアサヒにそれは酷な事を言ったかもしれない。



案の定、アサヒは自分の右手を見ていた。



でもアサヒはパっと笑顔であたしを見た。



「え?」



「ねぇ、優雨。ギターってリハビリになると思う?」



「リハビリ?ギターが?」



「そう!左手は動くからコードは押さえれる。右手はピックを掴めれば動かすだけだし」



「でも、アサヒって左利きだって・・・」



「今から始めるんだから左も右も関係ねーと思わない?」



あたしはちょっと考えた。けど・・・



「うん!関係ない!!あたしは出来ると思う!」





そう言った途端、急にアサヒは不安な顔になった。



「でも、バンドやるって言っても誰とどうやれば・・・」



あたしはその言葉を聞いてニヤリと笑った。



「アサヒ、バカにしてんの?目の前にいるでしょうが。メンバーの1人が」



「は?」



「ドラム。叩いてあげてもいいよ。その代わり、アンタがちゃんとギター弾けるようになるならね、しかも短期間で」



あたしの言葉にアサヒは笑顔で頷いた。



子供みたい。あたしより1つ年上なのに。すごい純粋な子供。



「あー」



またアサヒは悲痛な声を出した。



「今度は何よ」



「ギターって高くない?俺、今、深夜のコンビニでのバイトだし、手持ちの金3万くらいしか持ってないし、給料日まだ先・・・」




ギターは確かに高いけど・・・。




「あ」あたしは思い出して、大声で言った。



「店長!!上月こうづきのバンド、もう帰った?」



「控え室にいるよ!」



店長の声が返ってくる。



「悪いけど、上月呼んできて!お願いしまーす!」



アサヒはポカンとあたしを見た。



「今、上月って奴くるから。デカイリサイクルショップの楽器部門でバイトしてんの。そいつもバンドでギターやってるから大丈夫」



あたしはニッコリ笑った。




上月がギターを手に戻ってきた。



「店長、ちょっとアンプ借りていいっすか?」



「どうぞー」



そんなやり取りをしてあたしとアサヒに「こっち来て」とステージの方に手招きした。



「これ、アンプ。ちなみにライブハウスのだからマーシャルのいいやつだけど。で、このギターがストラト。俺のだけどね、こっちはフェンダーUSAだから結構高いよ」



ステージに座って上月はアサヒを見た。



「アサヒくんはどんな音楽やりたいの?」



アサヒは即答で「爆音のロック!」と答えた。



上月はギターのチューニングをちょっとしてからピックで一気に音を鳴らした。




しばらく上月は色んなジャンルの音を鳴らした。



ハードな音からメロコアな感じ、それからちょっとスカっぽい音。



アサヒは唖然として見ていたけど、あたしは楽しくなって



「店長!ドラム!借りていい?」と叫んだ。



店長の了承も得ないであたしはドラムを上月の音に合わせて適当に叩いた。


上月がこっちを見てちょっと笑う。あたしも笑って頷いた。


2人でしばらくセッションをしていると、帰りかけの客があたし達を見ていた。



演奏が終わると拍手が鳴ってあたしと上月はハイタッチした。




「すげ・・・」



アサヒは口をポカンと開けてあたし達を見ている。



「ね?音楽に会話はいらないの」



あたしはアサヒに微笑んだ。



「ま、ギターはしばらくスクワイヤーだとして・・・。アサヒ君が好きなアーティストって誰?」



上月が言ったと同時にアサヒが「カート・コバーン」と叫んだ。



「OK。それならストラトよりムスタングだね。ジャパンだとたまにいいのがあるから取り置きしておくよ。お金ためといてね」



アサヒの肩をポンと叩く。



「それよりも大事なのが・・・」



上月はアサヒに隣に座るように手招きした。アサヒも黙って隣に座る。


ギターをアサヒに渡して言った。



「左利きだからまだ救いかな?とりあえずコード押さえなくてもいいからネック持って、ピック持ってみて。持ち方はこうね」



アサヒは受け取ったピックを戸惑いながら握った。



「手をさ、こう下にジャーンって鳴らせる?形とかどうでもいいから」



あたしはその様子を黙って見ていた。


ギターを弾きたいアサヒがピックを持って弦を鳴らせなきゃ何の意味もない。



アサヒはしばらく右手を見つめてから思い切りピックの下へ下げた。


ジャーンという音がアンプを通して鳴る。



それを見て上月が「お、大丈夫じゃん」と笑顔になった。


アサヒはピックをしっかり握った手を見つめて「鳴った・・・」と呟いた。




「アサヒ!大丈夫!音ちゃんと鳴ったよ」


あたしは嬉しくなってアサヒの手を握るとアサヒの手は少し震えていた。



「アサヒ・・・」



「優雨、俺ギター弾ける。すっげー嬉しい」



アサヒがお日様みたいに弾けそうな笑顔で言った。




*******************************


・『ギター』



翌日、アサヒと待ち合わせをして2人で上月が働くリサイクルショップへ向かった。



「何か女の子に車出してもらうって男として最悪・・・」



アサヒはブツブツ言っていたけどあたしは笑い出した。



「アサヒが足完治したら、あたしは車出さないからね。それまでは構わないよ」




運転しながら、あたしは昨日からずっと思ってた事を言った。



「ねぇ、あーって言ってみて」



「は?何で?」



「いいから!あ、それより「鳩ぽっぽ」歌ってよ」



「はぁ!?ヤダよ!!」



「じゃぁ、あーって。ほら早く」



アサヒは渋々「あー」と言った。




やっぱり・・・。


昨日あたしが思ってた通りだ。


それを上月にも言ったら「そうだね」って言ってたし。




「ねぇ、アサヒ、あんたギターボーカルやりなよ。声が歌うのに向いてる」



あたしの言葉にだいぶ間を開けてから「はぁ!?」と叫んだ。



「ヤダ!絶対ヤダ!!人前で歌うなんて無理!!」



「リーダーの言う事は絶対なの。あんたまだ初心者にもなれてないんだからこれは命令よ。それじゃなきゃあたしはドラムやらない」



「それって横暴って言うんだぞ!歌うって・・・ギターも弾けないのに歌って・・・アホか」



「とにかく!アサヒは歌うの。これは決まり。じゃなきゃ帰るよ!」



「・・・わかったよ。どこぞの女王様だよ、全く」



アサヒがずーっと不満を言ってる間に上月の店に着いた。




「お待ちしてましたー」



店の名前が入ったエプロンをした上月が愛想よく言った。



「へぇ、真面目に仕事してんのね」



「テメー、バカにしてるだろ」



あたしに中指を立ててから「アサヒくん、これスクワイヤー。形は昨日のストラトと一緒」



そう言って濃紺のギターを出した。



「え?これ1万なの?」



アサヒはビックリしてる。



「うん。試し弾きするから座って座って」



そう言って、アンプに通すとピックではなく指で簡単に弾いた。



「ね?悪くないでしょ?お買い得だと思うよ、メーカーってより音が。来る前に弦も張り替えておいたし、チューニングもしてあるから。あ、後は特別サービスでーす」



そう言って、小さいアンプとシールドとピックが5個、それに皮のギターケースを出してきた。その他に何か入ってる箱。



「これ、俺が昔使ってたエフェクター。まだ必要ないかもしれないけどあげる。あとはコード表PCでプリントしてきたから。それと誰でもすぐ弾けるようになる曲の楽譜ね」



「こんなに至れり尽くせりされていいの?」



戸惑った声でアサヒは言った。



「まぁ、優雨とは付き合い長いし。友達としてね、昔振られたんだけど」



そう言って笑っている。



「はぁ・・・」



「それと、これは優雨から頼まれてるんだけど、優雨のバイト先ってスタジオもあるんだけど、そこでよかったらバンドの練習終わってからでいいならギター教えるから」



「え!?いいの!?」



その声にあたしは思わず笑ってしまった。



「だってあたしギター教えれないもん。信用出来るギタリストって上月しかいないからさ」



「でも・・・」



「音楽に言葉なし!それに俺も好きなんだ。カート」



上月はニッコリした。



アサヒもようやく笑顔を見せた。



「それで、歌う事にしたの?」



上月に聞かれて困った顔で頷いている。



「うちのリーダーは鬼より怖いから」



「何よ、それ!」



あたしがアサヒの頭を叩くと「イテっ!」と言った。



「とりあえず、アサヒ君の練習と努力次第だから、1ヶ月後にスタジオで。1日4、5時間練習すればコードなんて覚えるし手も上手く使えるようになると思うんだ。いいリハビリにもなるよ」



「5時間!?」



「それ普通だよ」



上月は楽しそうに笑っている。



アサヒはギターを見てから頷いた。



「1ヶ月。俺死ぬ気で練習するから。宜しくお願いします!!」



「うん。ついでに常に何か歌ってなよ。声帯鍛えないとね」



そう言って微笑んだ上月とあたし達は別れた。



「いいのかな・・・」



上月にもらった山盛りの荷物を抱えてアサヒは困惑している。



「いいんじゃない?上月が勝手にくれるって言ってるんだから」



あたしは運転をしながら返事をした。



「しかもギター教えてくれるって・・・」



「上月に確かに頼んだけど、断らなかったのは上月の意思でしょ?人の善意は素直に受け取った方がいいよ」



「うん・・・」



アサヒはケースに入ったギターをそっと撫でた。



「俺、弾けるようになるかな・・・。こんな手で」



「弾けたじゃない。出来るって。何事も後ろ向きはよくないよ、アサヒの悪いクセだね」



「そうだね、俺やっぱり事故に遭ってから自信って正直ないんだ。それまでは全部俺都合で回ってるような気分で偉そうにしてたんだけど。全部失って自信もなくなった」



「また戻るよ、自信。まぁ、俺様にはなってもらいたくないけど」




「店長ー、いるー?」



ライブハウスに入るとあたしは大声を上げた。



奥のドアからいかつい顔の店長が出てきて「いるわよ、うるさい子ね」と言った。


そしてアサヒを見て「あ!昨日のイケメン!!」と指差す。



「こんにちは・・・」



アサヒはかなりドン引きしたようなか細い声で挨拶をする。



「ねぇ、今日スタジオって誰入ってるの?」



あたしが聞くと店長はリストを見て言った。



「初めてのバンドね、えーと・・・『RYU』?個人名かしら?もう終わるから終わったら使っていいけど」



「サンキュー」



あたしが笑顔で言ったと同時に「RYU?」とアサヒが呟いた。



「アサヒ知ってるの?このバンド」



「あの、このバンドって、その、ビジュアル系じゃないですか?」



あたしには答えず店長に聞いている。


アサヒの言葉に店長は顔をしかめた。



「そうなの。別にどんなバンドでも構わないんだけど、こっちは。でもビジュアル系って好きじゃないのよ、何でこのスタジオに来たのかしら?」





そんなやり取りをしているとスタジオに続くドアが開いてバンドメンバーが出てきた。



ホストっぽい感じの『the ビジュアル系』なメンツ。



あたしは興味なく眺めてたけど、アサヒの顔は硬直していた。



「アサヒ?大丈夫?具合悪いの?」



「龍平・・・」



アサヒは1人をずっと見つめたまま言った。



アサヒが見ている青年は笑いながらメンバーと談笑していたけど、ふいにこっちを見た。



それから楽しそうな顔で近づいてきてアサヒをジロジロと眺める。



「あれぇ?事故で何もかも失った負け犬アサヒくんが何でこんな所にいるのかな?」



「・・・お前こそ何でこのスタジオ来てるんだよ」



アサヒはその「龍平」という人物を睨みながら言った。



「ダチがさ、ここのスタジオいいって教えてくれたから。いい加減前のスタジオ飽きちゃったし、ファンも覗きにきたりで大変だしね。あ、これって昔のお前のお前みたい?女にちやほやされてた「過去」のお前と」



あたしはそのやり取りを聞いてアサヒのそばに行こうとしたけど、店長に止められた。



「店長!!」



「大丈夫。いざとなりゃ全員叩き出してやるから」



あたし達が見守っている中、龍平はアサヒの肩にかかっているギターに目を向けた。



「は?お前ギター弾くの!?事故って右半身動かないんだろ?バカじゃねえぇの?」



「・・・それは俺の勝手だろ。龍平に関係ない」



ここから見てもアサヒの額から汗が流れるのが見える。



「弾けるわけないだろ?お前がギター弾けたら俺はお前に土下座するね」



ケタケタ笑う龍平とメンバーを見ていてあたしは我慢出来なくなった。



「店長ごめん!ヤバくなったら助けてね」



あたしは勢いをつけて走り出して龍平に思い切り飛び蹴りをくらわせた。



吹っ飛んで転んだ龍平とあたしをアサヒは仰天した顔で見ている。



「イッテぇ、何だよこの女!!」



立ち上がった龍平にニッコリ微笑んであたしは言った。



「もう1回スタジオ入りな、ド三流」



「は?何言ってんだ?お前、ちょっと可愛いと思ってるだろうけど、お前レベルの女なんかその辺にゴロゴロ転がってるぞ!!」



起き上がった龍平があたしに息巻いてきてあたしは軽く息を吸ってから怒鳴りつけた。


「all silent! Your rotten music affects nobody's heart! I prove it!」

(黙れ!お前の腐った音楽なんか誰の心にも響かない!それを証明してやるよ!)



「は?何言ってるか意味わかんねーし」



「優雨?今何て・・・?」


ついうっかり喋ってしまった英語でみんなチンプンカンプンになってるだろうけど、別にいい。



「あたしがあんたらの音楽を聞いてやるって言ってるの。おまけにスタジオ代タダなんだから。本気で出して音出してみなよ」



あたしはアサヒの手を引いてさっさとスタジオのドアを開けた。



龍平のメンバーも気をされたのかぞろぞろついてきた。




メンバーがセッティングするのをあたし達は椅子に座って眺めていた。



あたしはタバコに火をつけるとアサヒに聞いた。



「あの龍平ってアサヒの何?」



アサヒはちょっと考えてから言った。



「小中高と一緒の幼馴染み。大学に進学する時、龍平はバンドで成功するって上京したんだけど、2年でダメで戻ってきたんだ。また違うバンド組んでるのは知ってたけど、俺、どっかでそんな龍平をバカにしてたから。アイツもそれ知ってるから絡んでくるんだよ」



龍平がギターをセッティングしている。



「やっぱESPか・・・」



あたしの呟きに「え?何が」と言う。



「ギター。ESPってビジュアル系の人よく使ってるのよね。別に嫌いじゃなのよ、ビジュアル系は。興味がないだけ」



セッティングも終わったみたいだからあたしは言った。



「本気でやりなさいよ!あたしはそこらのプロより耳には自信あるんだから」



龍平は嫌な顔をしたけど、すぐに一斉に音が鳴った。





「優雨ってすげーポジティブだよね」



アサヒはクスクス笑いながら言った。



「え?そう?だって下ばっかり向いてても損じゃない。楽器だって上手い下手の問題じゃないよ、ようは出来るか出来ないか、あたしはそう思う」




ライブハウスの前に着くとあたしは車を停めた。



「寄ってかない?今日は何もない日なのよ。練習してけば?あたしいればスタジオ代タダだし」



「え?いいの?」



あたしはニヤリと笑って言った。



「ウチの店長オネェ系なの、実は。アサヒの事気に入ってたから永遠にタダだと思うよ」



「ええええええ!?」





「店長ー、いるー?」



ライブハウスに入るとあたしは大声を上げた。



奥のドアからいかつい顔の店長が出てきて「いるわよ、うるさい子ね」と言った。


そしてアサヒを見て「あ!昨日のイケメン!!」と指差す。



「こんにちは・・・」



アサヒはかなりドン引きしたようなか細い声で挨拶をする。



「ねぇ、今日スタジオって誰入ってるの?」



あたしが聞くと店長はリストを見て言った。



「初めてのバンドね、えーと・・・『RYU』?個人名かしら?もう終わるから終わったら使っていいけど」



「サンキュー」



あたしが笑顔で言ったと同時に「RYU?」とアサヒが呟いた。



「アサヒ知ってるの?このバンド」



「あの、このバンドって、その、ビジュアル系じゃないですか?」



あたしには答えず店長に聞いている。


アサヒの言葉に店長は顔をしかめた。



「そうなの。別にどんなバンドでも構わないんだけど、こっちは。でもビジュアル系って好きじゃないのよ、何でこのスタジオに来たのかしら?」





そんなやり取りをしているとスタジオに続くドアが開いてバンドメンバーが出てきた。



ホストっぽい感じの『the ビジュアル系』なメンツ。



あたしは興味なく眺めてたけど、アサヒの顔は硬直していた。



「アサヒ?大丈夫?具合悪いの?」



「龍平・・・」



アサヒは1人をずっと見つめたまま言った。



アサヒが見ている青年は笑いながらメンバーと談笑していたけど、ふいにこっちを見た。



それから楽しそうな顔で近づいてきてアサヒをジロジロと眺める。



「あれぇ?事故で何もかも失った負け犬アサヒくんが何でこんな所にいるのかな?」



「・・・お前こそ何でこのスタジオ来てるんだよ」



アサヒはその「龍平」という人物を睨みながら言った。



「ダチがさ、ここのスタジオいいって教えてくれたから。いい加減前のスタジオ飽きちゃったし、ファンも覗きにきたりで大変だしね。あ、これって昔のお前のお前みたい?女にちやほやされてた「過去」のお前と」



あたしはそのやり取りを聞いてアサヒのそばに行こうとしたけど、店長に止められた。



「店長!!」



「大丈夫。いざとなりゃ全員叩き出してやるから」



あたし達が見守っている中、龍平はアサヒの肩にかかっているギターに目を向けた。



「は?お前ギター弾くの!?事故って右半身動かないんだろ?バカじゃねえぇの?」



「・・・それは俺の勝手だろ。龍平に関係ない」



ここから見てもアサヒの額から汗が流れるのが見える。



「弾けるわけないだろ?お前がギター弾けたら俺はお前に土下座するね」



ケタケタ笑う龍平とメンバーを見ていてあたしは我慢出来なくなった。



「店長ごめん!ヤバくなったら助けてね」



あたしは勢いをつけて走り出して龍平に思い切り飛び蹴りをくらわせた。



吹っ飛んで転んだ龍平とあたしをアサヒは仰天した顔で見ている。



「イッテぇ、何だよこの女!!」



立ち上がった龍平にニッコリ微笑んであたしは言った。



「もう1回スタジオ入りな、ド三流」


「は?何言ってんだ?お前、ちょっと可愛いと思ってるだろうけど、お前レベルの女なんかその辺にゴロゴロ転がってるぞ!!」



起き上がった龍平があたしに息巻いてきてあたしは軽く息を吸ってから怒鳴りつけた。


「all silent! Your rotten music affects nobody's heart! I prove it!」

(黙れ!お前の腐った音楽なんか誰の心にも響かない!それを証明してやるよ!)



「は?何言ってるか意味わかんねーし」



「優雨?今何て・・・?」


ついうっかり喋ってしまった英語でみんなチンプンカンプンになってるだろうけど、別にいい。



「あたしがあんたらの音楽を聞いてやるって言ってるの。おまけにスタジオ代タダなんだから。本気で出して音出してみなよ」



あたしはアサヒの手を引いてさっさとスタジオのドアを開けた。



龍平のメンバーも気をされたのかぞろぞろついてきた。




メンバーがセッティングするのをあたし達は椅子に座って眺めていた。



あたしはタバコに火をつけるとアサヒに聞いた。



「あの龍平ってアサヒの何?」



アサヒはちょっと考えてから言った。



「小中高と一緒の幼馴染み。大学に進学する時、龍平はバンドで成功するって上京したんだけど、2年でダメで戻ってきたんだ。また違うバンド組んでるのは知ってたけど、俺、どっかでそんな龍平をバカにしてたから。アイツもそれ知ってるから絡んでくるんだよ」



龍平がギターをセッティングしている。



「やっぱESPか・・・」



あたしの呟きに「え?何が」と言う。



「ギター。ESPってビジュアル系の人よく使ってるのよね。別に嫌いじゃなのよ、ビジュアル系は。興味がないだけ」



セッティングも終わったみたいだからあたしは言った。



「本気でやりなさいよ!あたしはそこらのプロより耳には自信あるんだから」



龍平は嫌な顔をしたけど、すぐに一斉に音が鳴った。



あたし達はしばらく龍平のバンドの演奏を黙って聴いていたけど、アサヒが呟いた。



「やっぱり龍平、ギター上手くなってる」



「え?そうなの?上月の方がどう考えても上手いでしょ」



「そりゃそうだけど、ギター音痴の俺でもわかるくらいにアイツって下手くそだったんだ。だから上京してプロになるって言った時、正直『バカじゃねぇの?』って思ってたんだけど、あの頃よりずっと上手くなってる。努力してんだよ、アイツなりに」



「へぇ・・・」



あたしはいかにもビジュアル系な感じの音楽を聴きながら龍平を見た。


早弾きなんかやって陶酔してるようにしか見えないけど、アサヒがそう言うんならそうなのかもしれない。


それよりもあたしが気になってるのは・・・。



「無理、我慢出来ない」



「え?優雨?」



あたしは立ち上がって陶酔している龍平を押しのけてドラムの前に立った。



「優雨!!」



アサヒと声と同時に音が止まる。



「何だよ」ドラムがあたしを睨みつけてくる。



「アンタってバカ?1人だけ音走ってるのに気づいてないの?」



「おい、バカ女!お前が演奏聴かせろっていうからやってやってるのにまた文句かよ」



龍平が怒鳴る。



あたしは振り返って龍平を見てニヤリと笑った。



「後で土下座すんなよ、バカ男」



ドラムを強引によけてあたしは椅子に座った。



さっきまで龍平達が演奏していた曲のドラムをなんとなく叩いた。



そんなあたしを見て龍平達は唖然としている。




「ほら、もう一回さっきの曲やってよ。あたしが太鼓叩くから」



あたしが言うと龍平はやっと我に返ったみたいで怒り出した。



「お前、一回軽く聴いただけで叩けるわけねーだろ?バカか」



「あのね、言ったよね?あたしはそこらのプロより耳はいいの。ほら、早くしなよ」



龍平は仕方なさそうに周りに合図を送って音を鳴らし始めた。



(こんな感じだよね?)



あたしもそう思いながらドラムを叩き続けた。




「すげ・・・」



アサヒが呆然としてるのを見た。





演奏が終わるとあたしはさっさとドラムから離れてアサヒのそばに戻った。



龍平達は何も言えないでいる。



「わかった?アンタ達の演奏なんて響かない。アンタが言ったバカ女でもあっさり叩ける音に何も心が動かなかった。そんな程度でプロになるとかファンがどうとかアサヒを侮辱するのは許さない」



「でも、アサヒは身体が動かないんだぞ!どうやってギターなんか弾くんだよ!」



それでも龍平は噛み付いてくる。



「あたしは断言する。上手いか下手とかの問題じゃなくてアサヒは絶対人の心を動かすギタリストになる。アンタなんかよりもずっと」




「アサヒ、また恥かいて周りに誰もいなくなるんだぞ!それでもいいのか?」



この言葉は意外だった。


口ではアサヒをバカにしてるけど、実はアサヒの事、心配してるかもしれない。



アサヒは右手を見ている。



それから龍平をまっすぐ見て言った。



「龍平、俺は絶対ギターを弾けるようになる。で、お前なんかよりずっと上手くなってみせるから」




龍平達が帰った後、アサヒはへたりこんだ。



「あんな啖呵きっちゃったけど俺大丈夫かなぁ」



あたしはそれを見て笑った。



「大丈夫。あたしと上月のお墨付きなんだから。ほら、練習練習」



アサヒは頷いてギターをケースから取り出した。



「まずはコード覚えないとね、あたしいるとプレッシャーでしょ?ライブハウスにいるから好きなだけ弾いてみなよ」



アサヒの肩を叩いてあたしは立ち上がった。



アサヒはその場で胡座をかいてギターをしっかり持ってピックを持とうとして、手からピックが落ちてしまった。



あたしはそれを確認してからスタジオを出た。





何だか変な音が鳴っている。



どのコードを押さえてるのかわからない。





ライブハウスに戻ると店長が心配そうに言った。



「あの子、身体不自由なんでしょ?大丈夫?」



「平気よ。だってあたし達の前で音鳴らせたでしょ?アサヒなら大丈夫。爆音の感覚をしっかり覚えているから。それに努力する人よ」



「そう?優雨が言うならそうなんだろうけど・・・」





あたしはタバコに火をつけながら思った。




アサヒは上手いとかじゃなくて最高のギタリスト、そしてボーカリストになる。




1ヶ月間、少なくともその間病院以外アサヒは毎日ライブハウスに顔を出した。



あたしはアサヒが引きずるようにスタジオへ歩いて行くのをいつもただ見送った。



アサヒがどれだけ上達しているのかあたしにもわからない。



変に聴きに行くとプレッシャーになるんじゃないかな?そう思ったから。




時々、アサヒの左の指全部に絆創膏が巻いてある日があった。




「アサヒくん、どうしたの!?」



店長が心配そうに言った時にアサヒは照れ笑いをしながら言った。



「ギター弾きすぎて、指全部切れちゃって・・・」




それだけ練習してるって事か、あたしは納得する。






そして1ヶ月後の今日。



スタジオのスケジュールに上月のバンド名が入っている。



アサヒはギターをギュっと抱えてライブハウスで黙って座っていた。



「そんな緊張して大丈夫なの?」



あたしが声を掛けると、アサヒは苦笑いをした。



「事故ってから・・・、いや生きててこんなに何かに一生懸命になったの初めてだからやっぱ緊張する・・・」



「まぁさ、最初は誰でも下手だよ。だから気楽にしなよ」



そう言って目の前にウーロン茶を置いたけど、アサヒは目を閉じて何か祈ってる感じだ。



ただコード覚えたかを見せるだけなのに・・・



あたしは瞑想してるアサヒが不思議でならなかった。




上月のバンドメンバーが出てきて、最後に上月が現れてアサヒに手を上げた。



「ごめんね、少し時間かかっちゃって」



「いや・・・大丈夫。うん、大丈夫」



そんなに緊張して本当に大丈夫かな?


あたしは思った。



「じゃぁ、ちゃちゃって見せてもらっていいかな?それで直す所を教えたいって感じなんだけど、それでいい?」



「うん」



上月は鼻歌を歌いながら先にスタジオに戻った。



「何か緊張してるけど、あたし席外してようか?」



「いや、優雨にも見てもらいたいから。練習の成果ってやつ」




そう言うとギターケースを抱えて上月の元へ歩いて行った。



あたしも店長に「じゃぁ見てくる」と声を掛けて、アサヒの後ろに続いた。





あたしがスタジオに入ると、上月がギターを抱えて座っていて向かえの椅子でアサヒがケースからギターを出しているところだった。



あたしは壁に折り畳んで置いてあるパイプ椅子を出して結構距離を取って2人が見える真ん中の位置に座った。




ケースからギターを出すと、しっかり抱えて1弦1弦ピックで音を鳴らして3弦をチューニングしている。



「お、耳でチューニング出来るの?いい傾向だね」



上月が褒めるとアサヒは苦笑いをした。



それから軽く音を鳴らして頷いた。



「じゃぁ、基本のEから」



上月の言葉に「ちょっと待って」とアサヒが言った。



「聴いてもらいたいんだ。超ヘタクソだけど」


「え?」



あたしと上月が同時に声を上げると、アサヒは上から一気にピックを下ろした。



そしてつたない音だけど、コードを動かして演奏をしている。



しばらく音を聴いていて最初は何かわからなかった。


でも・・・



「これって・・・『Wonderwall』?Oasisの」



あたしが驚きながら言うと上月も「マジ!?」と驚いている。



「よかった、わかってもらえて。超有名な曲なのに俺の演奏でわからないかと思って不安だったから」



アサヒは安心した笑顔を向けた。



「いやいやいや!わかるとかわからないとかじゃなくて、1ヶ月で何で弾けるようになったの?その・・・手だって不自由だろ?」



「え?あぁ・・・最初はコードだけ練習してたんだけど、正直飽きちゃて・・・何か俺でも弾けそうでみんながわかるような有名な曲ないかな?って曲からコード覚えた方が俺はいいかもって思って・・・、最初はビートルズとかにしようと思ったけど、俺、oasis好きだから。で、超有名なこの曲練習してたんだよね。『Don't Look Back in Anger』も今練習中。難しいかな?あっちの方が」




「アサヒ!!」



あたしは嬉しくて思わずアサヒに抱きついた。


「え?ちょ・・・!!」アサヒが動けないで困った声を出している。



「すごいじゃん!あたし超感動した!!毎日何時間練習したのよ!?」



「え?・・・バイトもあるから普段は6時間くらいしかギター触れなくて、休みは寝ないでやってたかな?楽しくなっちゃってハマったから」



「すげ・・・」



上月が呟いた。




「ねぇ!弾いてる時って無言?それとも鼻歌とか本気でとか歌ってた?」



あたしがアサヒの首に手を回したままで捲し立てるように喋ると、アサヒはちょっと考えて「鼻歌くらいは・・・、あ、ちょっと歌いながらかな?」と答えた。



「歌って!!」



「は?ヤダよ」



アサヒはしかめっ面をした。



「何でよ、ギターボーカルの約束でしょ?歌えないと意味ないじゃん」



「約束って・・・それは優雨が勝手に決めたんだろ?俺、ギターだってまだこんなくらいしか弾けないのに歌まで無理だよ」



「歌いながら練習すればいいじゃん。しかもデカイ声で」



アサヒは呆れたようなため息をつく。



「あのね、俺アパートで1人暮らしなんだよ。歌ったら速攻で苦情くるじゃん。ギターもヘッドホンしながら練習してるんだから」



「あ、そうだっけ?じゃぁさ、うち実家だからうちにおいでよ。うちなら一軒家だから歌い放題だよ」



そう言うと顔を真っ赤にして「バカじゃねぇの!?」と言った。



「優雨、それは無理だろ、普通に」



上月も呆れている。



「そう?うちの親アサヒみたいなイケメンきたら喜ぶのになー」



「だから!誤解されるだろ!!」



何でこんなにアサヒが真っ赤で怒ってるのかあたしには意味がさっぱりわからなかった。






「とにかく、予想以上にアサヒ君がギターを練習しててある程度のコードも把してるのわかったから、ちょっと修正しながらテンポの早い曲を弾けるようになるって感じかな?」



上月は頷きながら自分のギターを改めて持ち直した。



「うん。上月君も忙しいのにごめんね、ありがとう」



アサヒが笑顔で言うと「いやいや」と手を振った。



「何か嬉しいよ、多分色んな苦労したと思うんだ。でも、何か没頭出来るものが出来て、それが音楽で少なからずギターだけだけどアサヒ君の新しい人生の手伝い出来るのが」



「人生ってそんな大げさな」



アサヒが声を出して笑った。




初めて聞いた。アサヒの笑い声。




あたしがアサヒを見つめていると「ん?」とアサヒがこっちを見る。



「いや、別に・・・。アサヒって笑うんだって思って・・・」



「笑うよ、普通に。あー、でも最近は声出して笑ったのって今日が初めてかも」




「とにかく!練習練習!・・・で、他のメンバーってどうするわけ?」




「あ・・・」



上月に聞かれてあたしもアサヒも同時に声を上げた。



「忘れてた。まぁ、それはおいおい探すって事で!上月、アサヒの事頼んだわよ」




「まだ始まったばかりだからね」



アサヒも頷いた。





上月とアサヒの練習を見ながらあたしは考えてた。




後はベースと、もう1人くらいギターか・・・。















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