よろしくお願いします!
私は両親に愛されないで育った。
両親は共に忙しい人で、家にいなかった。
ご飯はいつも1人。
朝は何も食べない。
お昼は買ったご飯や学食。
夜もコンビニやスーパーで買ったお弁当。
毎日リビングのテーブルに置かれている5000円札。
毎日毎日5000円。
そんなにお金使うわけないじゃん。
お陰でお金も溜まってしまった。
愛されたいなんて思ったことは無い。
どうすれば人に好きになって貰えるのかわからないから、友達も恋人もいなかった。
毎日喋る人もいなかったから、喋り方を忘れてしまった。
お陰で無口で無表情。無愛想な子供になってしまった。
だから、逃げ出したいと思ったのだ。
幸いお金はある。
遠出をしようと思って置き手紙も書かずに飛び出した。
その先で事故に遭うなんて思わずに。
事故に遭って家のある同じ県の病院に居た時。
朦朧として、身体も動かす事も出来なかったけど、意識はあった。
死ぬ間際まで意識はあったのだ。
でも、一度も両親は来てくれなかった。
娘よりも仕事。
その事を思い知らさせた時に私は初めて涙を流したのだ。
きっと、心の何処かで思っていたのだ。
期待していたのだ。
両親はきっと、私を愛してくれているのだと。
でも、違かった。
両親は私なんて愛してくれていなかった。
私のことを覚えていたのかすら怪しいのだ。
その事実を受け止め、
痛いと悲鳴をあげる胸を押さえて、
私は泣きながら、この世を去った。
何の因果か私は生まれ変わったらしい。
公爵令嬢として。
でも。
今世でも。
両親には愛されていないらしい。
両親は私を見ようとしない。
私は広い部屋で1人、生活する毎日。
そして月日は流れて15歳。
今世でも愛を知らない、無表情な女になってしまった。
そして、その顔を見て思い出す。
これ、あの、ゲームに出ていた子じゃない?
と。
前に愛というものを知りたくて、流行っていた乙女ゲームとやらをやってみたのだ。
でも、誰にでも愛される可愛いヒロインは私には合わなかった。
誰からにでも愛される子なんているわけないじゃん。
それよりも、愛を知らない悪役令嬢が気になった。
私と同じだと思ったのだ。
でも彼女は悪役令嬢。
救えるルートがなかった。
どの攻略者、ルートに行っても、彼女は死ぬか幽閉なのだ。
愛が欲しかった彼女は自分自身を見て欲しくて色々事件を起こす。
だから、幽閉か死なのだ。
でも、私は違う。
愛なんて望まない。
希望なんて持たない。
もう、あんな胸の痛みはいやだから。
最初から期待なんてしない。
だから、大丈夫。
悪役令嬢は死なない。
必ず、生き抜いてみせる。
ありがとうございました!