冒険者になります
なんか殺人犯ではないと証明する板にまで迷われたがこの板を操作しているのは女神様の作ったシステムらしい。わざとだなあのクソ女神め!
本気でどっちだったか迷ったとかでは無いことを祈る。人は殺してはない。
さて、それは置いといて、いよいよ冒険者登録である。
「年齢、性別、職業、特技、魔力レベル?」
「ま、魔力レベルはこちらで測ります……。えーと、53ですか! 凄いですね!」
「おお、凄いんだ。普通はどれくらい?」
「私は5ですね……」
おっと、お約束だから「魔力レベルたったの5か、ゴミめ」って言っちゃうところだった。流石に初対面でゴミは不味いよね。殺人犯呼ばわりも大概だけど。私の魔力レベルは53ま……53です。変身は残してないよ。
リーダーも測ってみたら38だった。勝ってる!
エリザは62だった。負けてる……。これ面白いや。ルイさんは50ジャストでサトナカさんは27。意外だ。まあ魔力レベルイコール強さでも無いようだけれど。
魔力が有っても魔法が使えるとは限らないらしい。ただ基礎生活魔法は使えるそうだ。あとでエリザに教えてもらおう。
「年齢、二十四歳ですか。見えないですね」
「幾つに見えるの?」
「私と同じくらいかと……私は十五歳です」
「流石にそれはない。えーと、次は性別……」
「一応女性ですよね?」
「どこからどう見てもね! 短髪にすっぴんにジャージだけど!」
職業を料理人、特技を料理にすると、やはり嫌そうな顔をされる。そこまで酷いのかメシマズ世界。今度美味しいジャーキーでも作って持ってこよう。オーブン……は、無さそう。そこから手作りは流石に無理だな……。でも燻製器は作らないと駄目か。誰かに手伝ってもらおう。大工さんに頼んだら良いのかな?
「では冒険者ギルドについて説明致します」
「はいよ」
「おっさん臭いですね」
「すみませんおっさん臭をさせて……」
いい加減泣きそうだが説明を聞く。冒険者には能力に応じてランクが決められていて、最初はFから、最高でSらしい。
スキルによってはUやLも有るのだけど今は居ないそうだ。まあ冒険者としてそんなにランクを上げる意味は無いけどね。適度に狩りができて身が守れるくらいにはなりたいけど。トマトに復讐しないと。
トマトに怨念を抱える美少女がどこにいる。ここにおんねん。自分で言ってて寒いからやめよう。やはりおっさん臭がするな。美少女じゃないとか言うな。
そう言えば武器とかも買わないと駄目か。鎧は重そうだからジャージで良いよね。包丁とか武器に無いだろうか?
やはり恨みを晴らすなら包丁だよね。相手トマトだし。
魔物の討伐自体は依頼が無い限りポイントにはならないけどアイテムを持ち帰るとポイントになるらしい。ゴブリンやスライムでも倒すと魔石が発生したり核が利用できたりするそうだ。肉や野菜が大人気らしいが。そのまま塩振って焼いて食べるらしいけど、そこは流石にメシマズ世界か。
残ってる二個のトマトを出したら喜ばれた。FからEに上げてもらえる。やったねトマト。本当に役に立つ子だよ。あのトマト大して強くなかったみたいだし狩ろうかな。皆と相談だ。ちなみにトマトは料理の代金としてもらった。
胡椒はどこに持っていけば良いんだろう。ここで聞いてみる。
「胡椒! 流石料理人と職業に書くだけ有りますね! それもこちらで預からせて頂きますよ!」
「あれ、良いの?」
「ポイントが付くから良いんじゃない~?」
エリザによると良いらしい。ポイントって……。
「そんなポイントカードみたいな……ポイントカードか」
「量が多いですね……。広口のガラス瓶に二本分……。あ、重さを量らせてもらいますね」
そう言ってアンナちゃんは何やら板にお皿を乗せて板に触れた。魔力を板に通しているようだ。そこに0の文字が現れる。良かった、文字も読めるようだ。
そこに胡椒を移すと数字が変化して行き八百になって止まる。ちなみにいくらかは自分で使う予定で取ってある。
「凄い量ですね……。えーと、胡椒の価格表は……これか。百グラムで大銀貨一枚……全部で八枚ですね。トマトと合わせて大銀貨八枚小銀貨二枚になります」
「トマトが一個小銀貨一枚分ってことは胡椒はかなり高い?」
「そうですね、百グラムで服が十枚買える値段です」
小銀貨一枚が千円から五千円相当だろうか? 胡椒は総額で八万円から四十万円……今一つ分からないね。まあ物価は地球上でも地域で変わるもんね。それにしても重さや長さの単位も翻訳してもらえるとは有り難い。お金はそれぞれの物価や硬貨の価値が違うから無理なんだろう。
例えばトマトが特別高くて肉は安い地方なんて存在するし、金本位で考えてもこの世界は錬金術があるので通貨の価格を厳密に捉える術は無いんだよね。あくまでこの世界の価値観を知らないと駄目なんだ。経済の話も割と面白いよね。
「食材では何が高いのかな?」
「調味料とかは高いですね。あと新鮮なお魚とか」
魚か。新鮮なまま運べたら儲かるって事だよね。エリザの氷魔法で冷蔵庫作れないかな? 後で提案してみよう。
「あ、胡椒のポイントが入りますから丁度Dランクになりました。おめでとう御座います!」
「有り難う。凄いの?」
「凄いですよ! 一日でD! 万年Fの人もいるのに! そこのマリオンさんとか!」
「ええー、あいつあんな偉そうなのに……可哀想」
「可哀想言うな! 聞こえてるわっ!」
「スライムに負けて逃げてきたことが有りますね!」
「やめて! 古傷を抉らないでアンナちゃん!」
スライムに負けて……弱っ。魔力レベルは3らしい。弱っ。可哀想。そう思わず言ったらへこんで去っていった。この世界のスライムは丸いグミ状の奴らしい。ちなみに凄く弱い。
どうやって生活してるんだろうと疑問に思ったがどうやら貴族の息子らしい。つまり脛かじりだね。……冒険者はやめようよ……。
なんかアンナちゃんはぺらぺら個人情報を喋るな。個人情報を保護する法律はまだ無いらしい。あれ日本でも近代に作られた法律だもんね。この辺りは異世界なんだから地球基準、日本基準で考えるのがおかしい。
さて、それじゃあ宿を取ってお買い物しようかな。服とか食材とか、あとは鞄と鍋と燻製器と……武器だね!




