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プロローグ

【登場人物】

殺人鬼(主人公)→榎本蓮(えのもとれん)

千里眼(ヒロイン)木間郁(きのまいく)

何でも屋の長→暁慎二(あかつきしんじ)

喋る犬→ラーク(らーく)

読心少女→夢野沙羅(ゆめのさら)

天才少年→十六夜棗(いざよいなつめ)

性障害→淳田優美(あつだゆうみ)

霊能者→アリンジェ・マリ(ありんじぇ・まり)

無感情→長谷川勇太郎(はせがわゆうたろう)

辛味は味覚ではなく刺激であるらしい。

それを好んで食すということは、すなわちその人は異常者――ドMということであろうか。

そんなことをぼんやりと考えながら、僕は彼女の口の中に唐辛子を詰め込んでいた。


「あふい、あふいひいはいれふ! かあい、かあいおぉ!! ん、あぁっ! いぁああっ!」


熱いとか痛いとか辛いとかであろうか、彼女は懸命に叫んでいる。

僕じゃない誰かによって服は引き剥がされ、無駄に大きい乳房と、程よく肉のついた太股や尻がだらしなく露出されている。無抵抗に刺激を与えられ続けているからか彼女の茶髪は汗で湿っていた。

ほぼ無感情で唐辛子を詰め込んでいる僕に対し、他の男4人は汚ならしい笑顔を浮かべて、自身の急所を擦っては精液を吹き出して楽しんでいた。

ここは僕たちのたまり場。使われなくなった倉庫の中。拾ってきた女を苛めては性欲を満たしていた。いや、少し語弊がある。僕の欲求と彼らの欲求は異なる。性欲などない僕は自分の『欲』を満たすためにここにいた。僕にはこれが必要だった。


「あぁぁっ、おうあえ、うっ、ぅおぇっ、あ、は、んくっ、んあ、あぁ」


何言ってるんだ、コイツ。

そう思った直後、彼女は溜めに溜めた唐辛子を遂に吐き出して、死ぬように倒れた。しばらくむせた後、今度は黄土色の内容物を口から撒き散らして何かを叫んでいた。

とことんだらしない女である。

その光景を見た男4人の中の1人は、心底立腹した様子で僕の胸ぐらを掴み上げ、そのまま彼女の嘔吐物の上に投げ捨てた。


「役立たずめ! 1時間しか楽しめなかったじゃねーか! あぁん? ふざけんなよっ!?」


先の尖った靴で腹部を蹴られる。

自分の履いてる靴の形を分かっているのだろうか。力任せに勢いよく三度蹴り、三度目は僕の肉をえぐり、そこから血が溢れた。

でも、まぁ、いい。痛みなんか感じない。


「……はい、さよなら変態さん」


僕は左ポケットに隠し持っていた拳銃を素早く取り出し、怒り狂った男の眉間を撃ち抜く。

名前も知らない彼はそのままの顔で、黙って後ろに倒れた。

それに驚いたのか残り三匹の男たちはいかにも困惑した表情で彼と僕を交互に見る。

彼らがこの状況を判断しきる前に、僕は無言で引き金を引いた。寝転んだままの射撃にも関わらず百発百中で仕留められた戦績は、まずまずのものだろう。

ゲロの上で寝返りをうって小さく深呼吸をした。

僕はこうやって、人を殺すことでしか楽しみを見いだせなかった。三大欲求がない代わりに、こんな異質な欲求のみが僕を占領していたのだ。


「あなた、あなた。あんたが殺したの?」


彼女の問いに僕は溜め息で返す。


「私は? 私はどうなるの? もしかして、もしかしてさ、あんた、ねぇ。もしかして、あの男たちから私を守ってくれたの――」


どんっ。

言い終わる前に、使いなれた銃で彼女の息の根を止めてあげた。


「みんなクズだ」


呟く。香辛料と嘔吐物と精液と火薬と血液の臭いに掻き消されそうな声で、つくづく呆れた声で、呟いた。

体を起こし、倉庫の隅に置いてあったガソリンを撒き散らして、お気に入りのライターを放った。火は勢いよく燃え上がり、薄暗い世界を明るく包む。4つの死体を、灰になっていくそれを、一つづつ丁寧に眺めて倉庫を出た。服も脱いで、扉から溢れ出た炎に投げる。裏路地を通って、曲がり角の所にあらかじめ準備しておいた着替えを身につけ、軽くあくびをしながら街路に向けて歩く。

殺した後に放火するのは、ささやかながらも僕の優しさだった。今ごろ彼らはこんがりジューシーなステーキに変貌しているはずだ。誰かに見つかる頃には、焼きすぎているかもしれないけれど。


「終わり」


右耳に取り付けた小型無線機にそう囁く。


「全部、終わり」




初投稿です。温かい目でお読みください。



僕をここまで育ててくれた両親と、インテグラルの存在を教えてくれた数学の先生、そして、この小説を書ける暇に感謝致します。

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