白昼夢は僕を嗤う
初めての投稿です。
まだ文字書きの経験は浅いですが、よろしくお願いします。
ゆっくり更新していきます。
趣味が全開です。
少年には、きっと能力がある。
少年の能力が目覚めたのは、少年の友人が、正しくは想い人が自殺したことを、少年が知った後だった。
もともとそんな力を秘めていたのか、または何もなかった少年に、その時に能力が宿ったのか。
定かではないが、その能力が姿を現したのは間違いなくその時だ。
少年は、その時のことを途切れ途切れに覚えている。
確かその時は、突然意識がぷつり、と切れた。気を失い、目を覚ました時には見覚えのない、知らない世界が少年を迎えていた。
知らない世界、というのは、どこかの図書館やネットで探せば出るようなところではない。
真っ黒。暗黒と言っていいほど、光がない。どこを見ても黒、黒。
土地勘は人並み程だった少年だが、こんなところが普通の世にない事は少年でも分かった。
夢だと思って、思いたくて自分の頬に触れたが、悲しいくらいに生暖かい体温があった。体温が言う、夢ではない。
ふと、自分の掌を見る。周りに光はないはずなのに、自分の手を、身体を、光が白く縁取っているように見える。
「ねぇ、」
突然、暗黒の世界で、声が聞こえた。自分の喋り方に似たような、でも、女の子の声だ。
「やっぱり。」
パッと、無いと思っていた照明の光が、少女 の真上から落ちる。髪色が、身長が、顔つきが、自分の容姿に似ている気がする。偶然か、気のせいだろうか。
少女は言う。「君も、私と同じなんだね」と。
それからまた意識が途切れて、目が覚めた時には、目を瞑って眠りについた時と同じ状態の、自分の部屋が広がっていた。
少年は、その時のことを途切れ途切れに覚えている。