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青石の精霊術士  作者: 下町
本編
8/46

遅い昼食

 食堂の扉が開いた。入ってきたのはラフィだった。

「んっ? なんでトルクがいるんだ?」

トルクは片手を上げた。口の中の物を飲み下して、答える。

「食事中。」

「いや、今食事の時間じゃないだろ。」

後ろ手に扉を閉めつつ、ラフィは首を傾げた。トルクは苦笑する。

「その時間に来るのを忘れてたんだ。あ、悪い。ちょうど食べてしまった。ラフィの分ないや。」

自分の前の、空になった皿に目を落とした。ぷっ、とリトが吹き出した。口元を手で覆うが、頬が笑っている。

 ラフィは手の平をトルクに見せた。

「いや、俺は食べたから。今は別にいい。うまかったよ。」

切れ長の目が、すっと動く。トルクからリトへと視線が移動した。

「リト、親父さんは奥か?」

尋ねられて、リトは両手を下ろす。

「父さん? うん、奥で料理してるよ。」

顔を調理場へと向けて示した。特に目立った音は聞こえないが、一応居るようだ。

「そうか、じゃあ持っていくか。手紙が来てたんでね。」

リトに視点を留めたまま、奥へと移動する。奥へ入る直前にちらりとトルクを見た。さっと手を挙げて入っていく。

 トルクはリトと顔を見合わせた。肩の力を抜き、席を立つ。

「食べ終わったし、部屋に戻るかな。ごちそうさま、リト。」

リトは首を傾げた。

「どういたしまして。夕飯、食べれる? こんな時間に食べちゃったけど。」

尋ねられて、トルクは自分の腹を撫でる。口の端をぺろりと舐めた。先ほど食べた包み焼きの、具の味が残っていた。

「ん? んー、まぁ入るかな。そんなに量なかったし。」

それじゃ、と手を軽く振って食堂を出る。リトも頷いて、手を振った。


 食堂と精霊宮を繋ぐ廊下を歩いていると、後ろから声がかかった。

「おーい。トルク。」

ラフィが駆け足で手を挙げている。トルクは立ち止まり、ラフィが追いつくのを待った。

「どうした、ラフィ?」

歩調を揃えて、再び歩く。

「まあ、用事ってほどでもないんだが。今、暇か?」

軽く顔を覗き込むように、ラフィはトルクに尋ねた。トルクは腕を組んでみる。

「そうだなー、特に何もないよ? ラフィの仕事は?」

ラフィは自分の首の後ろに掌をあて、頭を左右に揺らした。

「さっきので、今日の分は終わり。」

「そっか。おつかれさん。」

トルクはラフィに手を差し出す。一度立ち止まり、握手を交わした。

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