再確認と、残り物
説明できてないというかまとまっていないと言うか。
そして考えなく登場人物が増えてきてます。
精霊宮の宿舎にある、自分の部屋に戻ってトルクは考えていた。
今まで漠然としか覚えていなかった精霊界の話。そういう場所があるのだとは知っていたが、イマイチよく分かっていなかった。ル=トゥの話を聞いて、実感できた。精霊や妖精、普段なら人間が見る事も触れる事もない存在。それらが住んでいる世界。こちらの世界とは異なる繋がりがある場所。彼らには行き来のできる場所。
それならばこそ、常に妖精や精霊を見る事がないのも納得ができる。祈りを捧げたり儀式などで呼び出したりするのも、普段居る場所がこちらではないから、という事なのだ。
ふむ、とトルクは腕を組んだ。しっかり理解しているかというと自信はないが、大体は分かったような気がする。
「お。」
ぐううう、とお腹が鳴った。腹部に手を当て、そういえば食事を摂っていなかったと気付く。昼もかなり過ぎた時分で、窓から入る外の光も傾いてきているようだ。座っていた椅子から腰を上げた。
食堂に入ると、ちょうどリトが居た。
「あれっ、こんな時間にどうしたの?」
すぐにトルクに気付き、振り返る。
リトはトルクより年下の女の子で、ふわりとした黄昏色の髪を背中でまとめている。宿舎の食堂はリトの父親が料理を作っていた。彼女はその手伝いのために、この場所に居る事が多い。
トルクは苦笑をした。
「いや、昼飯食べそこなって。何か残ってない?」
くるりとリトは瞳を回した。視線を調理場に向ける。その両手にはボウルを抱えていた。夕飯の仕込みの途中だったのだろうか。一番出入口に近いテーブルで、ボウルの中で葉物をちぎっていた様子だ。
「あ、そうそう。包み焼きが残ってたと思うよ。ちょっと待ってて。」
ボウルを抱えたまま、調理場の方へと入っていく。トルクは手近な椅子を引いて、座る。ガタガタと音を立てていたかと思うと、リトはボウルの代わりに皿を持って出てきた。
「冷めてるけど。どうぞ。」
トルクの前に皿を置く。その上には焼き色のついた拳大のパンのような物が2つ並んでいた。
「ありがとう。」
礼を言って、トルクはそれを手に取る。確かに温かくはない。半分に割ってみた。
かっちりと焼かれた生地の中に、野菜と肉が詰めてある。とろりとした控えめな煮汁が中身全体に絡まり、照りを醸し出している。
かじりつき、もぐもぐと口を動かす。外側の生地にも味が染みていた。