表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青石の精霊術士  作者: 下町
本編
6/46

新しい友人 o

 さわさわと、風が流れた。木々の葉が擦れ、囁きが漏れる。

「ル=トゥ……さん?」

 トルクが名前を口の中で繰り返してみると、ル=トゥは頷いた。

「ええ、言いにくいかもしれませんがそのまま呼んでもらえたら。」

トルクの後ろにある祭壇に視線を移す。じっと見て、おやっと口を開いた。

「へえ? トルクはここの精霊に気に入られてるんですね。」

「えっ?」

驚いて、トルクは後ろを振り返る。サクサクとル=トゥは足を進め、トルクと並んだ。

「精霊が、楽しそうですもん。」

トルクはル=トゥの横顔を見た。

「ル=トゥは精霊が見えるんですか?」

ル=トゥも顔をトルクに向ける。

「ええ。精霊種なんで。普段こちらにいない精霊が、わざわざ顔を見に来るなんて。そうないと思いますよ?」

くるりと体を回し、来た方へと戻り始めた。トルクも駆け足気味に、後を追う。

「ちょ、ちょっと待って。詳しく聞きたい、教えてください。」

ル=トゥは一旦足を止めた。祭壇を振り返り、トルクを待つ。トルクももう一度祭壇を見て、ル=トゥとその場を後にした。


 トルクにとって、精霊種というのは初耳だった。

 人間でも精霊でもなく、かといって妖精でもない。それらの間くらいの存在ではないか、という事だった。

 妖精や精霊は元々、こちらの世界にいない。いわゆる精霊界というこちらの物質的な世界とは理の異なる世界がある。精霊界とこちらの世界は重なっていたり外れていたりしていて、重なっているところで妖精や精霊は行き来ができるのだという。

 精霊種はその重なりを見る事ができても、行き来はできない。こちらの世界で生まれたからだという事だ。ル=トゥはラカラの森に集まった力の中で生まれ、ずっとここに居るらしい。


 森の出口まで来ても話しを止めがたく、しばらく立ち話をしていた。会話の途切れた所で、トルクは切り出した。

「あの、ぜひまたル=トゥに会いたいんですが。」

軽く目を開いてから、ル=トゥは小さく笑う。

「ええ、構いません。あちらの方に家があります。よろしければ遊びに来てください。」

すっと指を伸ばし、森の中の方を指し示した。

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ