表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青石の精霊術士  作者: 下町
本編
39/46

夕食を食べたら

 トルクは1人で夕食を摂っていた。食堂では、他にも何人か席についている。それぞれに食事を進めていた。2人で会話をしているのは1組だけで、特に相手がいないのがトルクを含めて3人ほど。食堂に来た時間もそれぞれで、特に用事がなければ普通に会話もなく食事をする事は珍しくない。親しい相手と雑談をしている事も、よくあるのだが。

 食器の音や、会話の声が慎ましく流れている。

 食堂の扉が開き、事務係のロントが入ってきた。すぐにトルクに気付く。すたすたとトルクの横へやってきた。

「トルク。」

トルクは手を止めて、ロントが来るのを待った。サラダの葉物が乗ったスプーンを、皿に下ろす。横に立ったロントの顔を見上げた。

「明日の朝の掃除は、精霊術士部屋の前廊下だ。掃除が終わったら、事務係の部屋へ来るように。」

穏やかではあったが、真面目な表情だった。ロントは精霊宮の事務という仕事上か、常に真面目ではある。その口から冗談の類を聞いた事もない。

 ただ、今のロントの表情には硬さもあるように感じた。

「分かりました。明朝の掃除が終わったら、行きます。」

トルクが頷くと、ロントもこくりと頷いた。そうして、トルクの傍を離れた。食堂のカウンターに食事を取りに行き、空いた席に座った。

 リトが空いているテーブルを拭いている。トルクの様子を伺っていたのか、食事を終えたところで目が合った。さり気なくトルクの方へやってくる。

「ロントさんに、何か言われた?」

トルクは席を立ち、食べ終わった食器を持った。軽く首を傾げて見せる。

「明日の掃除の場所と、その後に来るようにってさ。今のところはそれだけ。」

「……そっか。」

リトは肩をすくめた。トルクが空けた場所をさっと拭く。それじゃ、とトルクは食器をカウンターに運んだ。食堂を後にして、自分の部屋へと戻った。


 自室のベッドに横になった体勢で、トルクは自分の手の平を見ていた。右の手の中に、石が入っている。遺跡から帰った後と変わりはないように見える。

 こうして目で見ないと、そこに石がある事を忘れてしまいそうだった。異物感はない。皮膚と違ってつるりとしているが、体の一部になってしまっているようだ。

 ごろりと転がり、体の向きを変える。仰向けから、横向きになった。

 頬が、布団に触れる。顔をうずめるようにして、トルクは目を閉じた。手の力を抜いて、下ろす。

「うーん。どうにかなるんだろうか……。」

ぼそりと口の中で呟いているうちに、眠りに落ちていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ