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青石の精霊術士  作者: 下町
本編
3/46

外出、のち雑談 o

やっと続きが投稿できました……。

 休みである事を確認した後、外出用の上着を羽織って精霊宮を出る。街路に出たところでトルクは一度立ち止まった。

 街の奥方面へ向かえば、城がある。逆方向には市場と、その向こうに街から出る門がある。

 空を見上げれば気持ちの良い晴れ模様で、澄んだ空気を思い切り吸い込むと気分が良い。柔らかい空気が、体を浄化してくれるかのようだ。

 青空の下で一つ頷き、トルクは市場の方向へ足を向けた。


 簡素に組み立てられた屋根が並ぶ。その下で、さまざまな商品がひしめき合っている。売買のやり取りの声や、雑談の声が混ざり賑わっていた。

 その中に入って紛れたところで、トルクは立ち止まった。

 見た事のある人物がこちらへ向かって歩いている。紫の髪が目を惹き、引き締まった顔立ちが目を留める。トルクと同じ精霊術士である、ラフィという男だった。それまで一緒に歩いていたらしい女性と別れ、トルクに片手を挙げる。

「や、トルク。」

切れ長の目が、トルクを正面から捉えた。

「ん、ラフィ。相変わらずもてるようだね。」

トルクの言葉を受け、ラフィはちらっと背後に視線を流す。首を傾げた。

「ああ、そんなんじゃない。いや、そんなんか。何かプレゼントをくれるみたいだったけど、断った。要らない物は受け取れないからね。」

「へえ?」

トルクは首を傾げてみせる。前回ラフィを見かけたのは数日前だが、その時も市場で別の女性と話をしていた。その際トルクは伝達の仕事の途中で急いでいたので、特に声をかける事もなく通り過ぎたのだった。

「じゃ、俺は精霊宮に戻るんで。手紙を持っていかないといけないんでね。」

 ラフィは手に持った袋をトルクに見せる。ああ、とトルクは頷いた。

 昨日まではトルクの仕事だった手紙運びを、今度はラフィがやる事になったようだ。

「途中でなくすなよ。」

 軽く冗談交じりにそう声をかけ、トルクは手を振る。口元で爽やかに笑い、ラフィはぴしっと指先を揃えてみせた。そうして、くるりと踵を返すと足早に去って行った。


 市場で品物を眺めて歩いてみたものの、特に買い物はせずトルクは街の門へと向かった。城から続く外壁が街を囲み、外と内とを隔てている。門はその境目であり、出入口であった。

挿絵(By みてみん)

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