得た物
食事を摂って、日が昇るまで休んだ。
トルクは若干の体のだるさを感じてはいたが、動くのに不自由なほどではなかった。干した果物を食べたが、街を出てから一番おいしく思えた。甘さが濃縮され、コクがあった。乾燥した物独特の堅さを味わいながら噛み締めた。先に食べ終えたバイスは、荷物を確認していた。
朝の涼やかな空気が、木々の間を通り抜ける。森を出て、街道へ戻るべく歩いた。
それほど進まず、足を止めた。バイスがトルクの肩を叩き、背負っていた荷物を下ろす。
「先に、トルク君とも確認しておこう。」
荷袋に手を突っ込み、水の精霊の像と青い宝玉を2つほど取り出す。宝玉は親指よりも少し大きいくらいだ。丸く、平たかった。
「遺跡……というか、洞窟の中にあったのはこのくらいかな。」
手の平に乗せたそれを、一つずつ指差す。トルクも荷物を肩から下ろしながら、それを見た。
「これらを、城へ持ち帰ろうと思っている。良いだろうか? トルク君にも分けるべきだとは思うんだが、一応戻って王子にも確認したいとも思う。」
じっと見て、トルクは少し考える。
「……あ、うーん。俺は良いですよ。それ全部持っていってもらっても。」
宝玉の方には、水の精霊力が宿っているようだった。精霊が長くいた場所にあった物なので、影響を受けたのだろうか。水の精霊術を使う際に力を補ってくれそうだと、トルクは感じた。しかし自分が持つのはまだ分不相応な気がした。
「それに、王に献上する物を探すために行ったんですから。見付けた物をもらう気なんて、元よりないですし。」
バイスは首を傾げ、荷袋を指先で引いた。出した物を片付け始める。
「そうか? 欲がないな。」
「それよりも……。」
ふと思い付き、トルクは腕を組んだ。
「ラカラの王は、炎の王って呼ばれてますよね? 水の精霊に関係する物を受け取ってもらえるんでしょうか? 火と水って、相性が良くないような。」
バイスの手が止まる。
「あ。あー……そういうものなのか?」
困ったようにトルクを見た。こくりとトルクは頷く。微妙な間が漂った。
ふう、と息を吐いてバイスはまた手を動かす。
「まあ、とりあえず持ち帰ってみるよ。後は関係者と相談だ。」
ぎゅっと、荷袋の紐を締めた。
空は曇っていた。隙間なく白い雲が覆っているものの、雨の気配はない明るい曇り空だった。




