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青石の精霊術士  作者: 下町
本編
15/46

川の洗い場で

 ばしゃーん。

「うわっ!」

不意に横から突き飛ばされて、トルクは川に突っ込んでしまった。水の飛沫が跳ね上がり、トルクは全身がずぶ濡れになる。押された方を見上げると、ロビーが腹を抱えて笑っている。

「見事に飛んだな、トルク。」

そんなロビーを、ぽかんとリーンが眺めている。

 トルクはゆらりと立ち上がった。濡れた服が重たい。しかしそれをものともせず、トルクは素早い動きでロビーの足をつかんだ。思いっきり引っ張って引き込む。

「うおっ!」

 ばしゃーん。

「うわあ。」

ロビーも水に飛び込み、その際に派手に跳ねた水がリーンまで濡れ鼠にしてしまった。

「やりやがったな、ロビー!」

さらに両手を駆使して、トルクはロビーに水をかける。

「やるかっ? 負けないぜ!」

ロビーも負けじと、両手で水を飛ばした。ものすごい量の水が、2人の間やその周りを飛び交う。

「あーあ……。」

 それを横目で見ながら、リーンは上の服を脱いだ。ぎゅっと絞ると水が落ちる。絞るが、その傍からまた飛んできた水が服を濡らす。

「やれやれ。」

ぽいと服を傍に放り、リーンもざぶざぶと水に入った。いつの間にかトルクとロビーは声に出して笑いながら水をかけ合っている。

 川の近くで遊んでいた何人かの子ども達も、横の方までやってきていた。

「おっ、一緒にやるか?」

ロビーが手を止めて、声をかける。その隙にトルクとリーンに水をぶつけられた。

「うわっぷ、ちょっと待て。」

顔の水を片手で払う。子ども達は顔を見合わせている。そのうちに1人、2人と川に入り始めた。今度は手加減をしつつ、3人の精霊術士は水を飛ばす。


 全身からぽたぽたと水を落としながら、大通りを歩いた。流石に道行く人々は3人を避けて歩く。近付くと濡れそうだったからである。

「いやあ、つい熱中してしまった。」

 トルクは自分の前髪を摘んだ。水滴が指を伝う。

「おー、結構楽しかったな。」

ロビーは明るく笑っている。ひょいとリーンは肩をすくめた。

「まぁ、泥は綺麗になったよね。」

 確かに、体や服についていた泥はすっかり落ちている。

 精霊宮の前にガランが出てきた。帰ってきた3人に気付く。3人は足を止めて、ぺこりと頭を下げた。

「何をしてきたんだ? 中に入る前に裏に行って、着ている物をもっとしっかり絞って来い。」

ガランは3人の水の滴り具合を見て、呆れていた。

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