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青石の精霊術士  作者: 下町
本編
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休み明け

 休みの後、トルクは畑仕事の当番になった。精霊宮にはそれなりに畑がある。そこで育てられた野菜などは精霊宮の食堂で調理される素材となる。半分以上の食材は街の市場で買出し係が買ってくるのだが、中位と従位の精霊術士の修行の一環として畑で土や植物に触れる事になっているのである。


 畑の当番はトルクだけではない。3~5人ほどが交代で手入れをしている。

 精霊宮の正面玄関の掃除が終わった後、集めた木の葉を畑の片隅へ運ぶ。特に部屋に戻るような準備もないので、トルクはそのまま畑へ入った。

 奥に植えてある果樹の向こうには、街をぐるりと囲む外壁が伺える。あの外壁は街の一番奥にある城から続き、精霊宮の壁の一部と繋がり、街の方へと伸びている。外壁には簡単には乗り越えられない高さに幅、騎士達が街の外と中を見回る事のできる通路がある。途中で街の中を通り抜ける川をまたぎ、街の人々の住む住宅を守っている。街の外と中の接点となる門も外壁の一部となっている。

 果樹の手前に何も植えていない空間がある。トルクの立つさらに手前側は、まだ色付く前の青い実をつけた蔓があった。それらの蔓の横を抜けて、何も植えていない場所の土に手を伸ばした。

 硬い。

 手の平でほぐしてみた。昨日かその前辺りに収穫して、実を採り終えた植物を抜いた後なのだろう。よく見ると細い根が混ざっている。

「抜いた草はあっちだぞ。また何か植えるのんか?」

小さな声が聞こえて、思わず辺りを見回す。すぐ横に、小さな影が立ってトルクを見上げていた。驚いて、座った姿勢だったトルクは倒れそうになる。

「あ、ああ。びっくりした。土の妖精か。そこに居たんだ。」

驚いた様子を見て、土色で彫りの深い顔立ちの妖精はにんまりと口元を持ち上げた。

「わはは、びっくりしたか? びっくりしたか?」

息を吸って、トルクは座り直す。土の妖精の方へと体を向けた。

「びっくりしたさ。こんな近くに居たとは思わなかったよ。そうだな、確か抜いた草はあっちで寝かせて栄養にして、ここにはこれから別の野菜を植えるって。またよろしく頼むよ。」

妖精は目を大きく開き、草の置いてある方をぎょろりと見る。それから、目の前の硬くなった土に視線を戻した。ふんふん、と頷いてもう一度トルクを見上げる。

「任せとけ。でも、植える前にしっかり土をほぐしてくれよ。」


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