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青石の精霊術士  作者: 下町
本編
11/46

精霊宮の祭壇

「勝手に名前出して悪かったよ。そう気を落とすなよ。新しい発見があるぞ? 多分。」

 ポンポンと後ろから、ラフィがトルクの背を叩いている。トルクはじっと、ラフィを見た。睨み付けたと言った方が正しいかもしれない。

「お、ちょっと祭壇の間へ寄ってかないか?」

 特に気にする様子もなく、ラフィは先に歩き出す。ふー、とトルクはゆっくりと、長く息を吐いた。

「まぁ、今更どうしようもない。まだ正式に決まったわけじゃないんだろ?」

半ば諦め気味に、ポリポリと頭を掻く。ラフィは振り返り、頷いた。


 精霊宮の祭壇の間。正門から続く広い通路が、その部屋へまっすぐに通じている。トルクとラフィの通った通路は、途中でその広い通路に繋がっていた。

 明るい時間ならば、その通路と祭壇の間にちらほらと人の姿が見える。だが、夕刻を控えた時分だからか他に人影は見当たらなかった。部屋の入り口にある大きな扉が、通路の壁にそって開いている。

 2階か3階ほどはあるであろう高さの天井。そして、通路の何倍も広い部屋。窓がなく、暗い空間を幾つもの蝋燭が照らしている。部屋の中央には階段状の祭壇が佇んでいた。白い石を切り出した祭壇に、様々な色の拳大ほどの宝石が並んでいる。静まり返ったその部屋の入り口側に、一人の精霊術士が待機していた。

 ゆったりとした衣をまとい、祭壇の方へ体を向けたままうっすらと目を閉じている。部屋に入った2人の気配に気付き、瞼を上げた。

「おや、ラフィとトルクか……。」

トルクはぺこりと頭を下げた。ラフィも会釈をする。その2人の様子を確認して、彼はまた目を閉じる。

 祭壇には、高位の精霊術士が交代で祈りを捧げる事になっている。彼はその1人でガランという。

 精霊宮に居る最高位は祭位と呼ばれ、3人居る。ついで助祭位が3人。祭位の補助や精霊宮の管理などを担っている。他に、事務係も2人ほど。その下に中位が5人。いずれは助祭位や事務係になる候補でもある。後は従位が8人。神殿の雑務は中位と従位が行う。トルクとラフィは今のところ、一番下っ端である従位に位置している。

 それぞれの段階に上がるには試験があり、欠員が出るなどの時期が来たら行われる事になっている。

特に必要ないかとは思いましたが、精霊宮にいる人数の紹介もしてみました。

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