経緯の伝聞 o
一瞬、トルクは唖然としてしまう。はっと我に返り、慌てて扉の向こうへと消えたラフィを追った。
「ちょちょ、ちょっと待てラフィ!」
トルクが通り抜けると、そこで待っていたラフィが扉を閉める。その腕を掴んだ。
「何に推薦したんだ、どういう経緯で?」
捕まれた腕を見て、それからラフィはトルクと視線を合わせる。悪びれず、明るい微笑を浮かべた。
「ああ、よく分からなかったか。ほら、俺さ、今日伝達の当番だっただろ?」
とりあえず頷くトルク。それを確認して、ラフィは先を続けた。
「城にも行ったんだよな。そしたら、王子が騎士と話してたわけだ。王のお祝いに何か用意したいって話を。」
トルクは相づちを打つ。
「王子に会ったのか。すごいな。」
ラフィは肩を竦めて見せた。
「まぁ、そこは大してすごい所じゃない。たまたま、出くわした程度だ。で、たまたまその騎士が俺の父親の知人だったんだ。」
「ラフィの父親の……。」
トルクは眉をひそめた。ラフィの実家の話を、聞いた事があったような気がした。
「確か、騎士の家系だったっけ?」
そう口にすると、ラフィは頭を縦に振って肯定をした。微妙な、特に嬉しくも思っていないような表情だった。
「そう、俺って家柄も良いんだ。いや、それは今どうでも良い。」
両手を横にスライドさせて、話を逸らす。
「王子と騎士が話していたのは、古い遺跡に面白い物があるんじゃないかって事だった。最近見付かった古文書に遺跡の事が書いてあったらしいんだ。で、それに一緒に行かないかと。」
トルクはぽかんと口を開けた。
「ラフィが誘われたんじゃないか。」
半ば呆れていると、ラフィは首を横に振る。ため息をついた。
「俺は騎士と探検に行きたくないんだ。可愛い女の子なら考えるけど。しかも、父親の知り合いだろ? なんか言われる、絶対な。」
ぽん、とトルクの肩に手を載せる。
「お前なら行けると思ってさ。実技試験の時、お前すごく自然に精霊術使ってただろ?」
「え……。あれって初歩の技術だろう。」
徐々に、トルクの顔が引きつってきた。にこっとラフィは爽やかに目を細める。白い歯が眩しい。
「大丈夫だって、腕の立つ騎士も同行するし。ちゃんと城の方から許可も出るさ。」
気のせいか、紫の髪の毛もツヤツヤと輝いている気がする。トルクは咄嗟に反論が思い付かず、肩を落とした。




