表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/135

裏切り者 2

この章は、ちょっと携帯では分かり辛いものがあるかも知れませんっ!

いや……パソコンでも厳しいかも。

ただ今ホームページを作成しておりまして、その中なら少しは分かりやすくお伝え出来る筈なのですが……。(^_^;)

雰囲気だけで、少しでも伝わる事を祈っております。

訳分からなかったらすいませんです。m(__)m



 馬は、新しいもやもやが生まれてしまったメルメルと、俯いて肩を落としたトンフィーの心も揺らしながら、どんどん前へと進んで行く。

 ペッコリーナ先生の馬には四匹も猫が乗り込んでいて、眠ってしまったアケとシバを抱きかかえてあげながら、ペッコリーナ先生は少し疲れた顔になっていた。

「少し休憩しようか」

 そんなペッコリーナ先生の様子に一早く気付いたラインがみんなに声をかけた。

「あそこに川がある。馬に水をやりがてら休もう」

 指差した先には確かに小さな川が流れている。

(あそこで顔を洗って、頭を冷やそう……)

 メルメルは誰より早く馬から飛び降り、川に駈けて行った。

「転ぶわよメルメル! ……コーヒーくらい欲しいわね。少し薪を取りに行きましょうか? トンフィー、一緒に行きましょう」

 メルメルはペッコリーナ先生の呼びかけに早歩きになって、川に辿り着いた途端にジャブジャブと顔を洗い出した。肩に下げたうさぎのアップリケのついた鞄がずり落ちてきて、何度も掛け直していると、

「ずいぶん豪快に顔を洗うんだな~。ほら、持っていてあげるよ」

 ニレが隣に来てメルメルの鞄を持ち上げた。

「あ、ありがとう……」

「わ! なんだいこれ? ずいぶん重いなー」ニレは驚いて鞄を覗き込んでいる。

「わ~。本がこんなにたくさん入ってる。――あれ? これ教科書じゃないか! わざわざ持って歩くなんて、ずいぶん勉強熱心だなー」表紙に『算数』と書かれた本を取り出して眺めている。

「あ、ちがうの。ワタシのじゃなくてトンフィーのなのよ」

 ハンカチを探し出そうと、メルメルはニレの持っているうさぎの鞄をゴソゴソあさっている。

「あー、なる程。それは納得……ん? この本も参考書か何かかい?」

 ニレは『算数』の本を鞄に戻して、代わりに別の本を取り出した。ナンブラカラコッツ著『闇の王国の謎』という本だった。

「そうよ。歴史の授業に使うのよ」

 ニレは本をパラパラとめくりながら、なるほどと言った。

「闇の王国の謎かぁ。そりゃあ今の子共達は、闇の王国や暗黒王の事もしっかり学ばなきゃいけないもんなぁ。あ――」

 その時、めくっていた本から紙が数枚滑り落ちた。

 メルメルは慌てて拾い集めようと追い駆けた。トンフィーが勉強している時にメモか何か取ったのだろう。大切な物かも知れない。飛ばされては大変だ。

「――あららら!」

 まんまと風に飛ばされて、一枚がグッターハイムの足元に落ちた。

「お? ――よっと……」

「ありがとう!」手を差し出すメルメル。

 しかし、拾い上げた紙を渡そうとはせずに、グッターハイムはそれをじっと見つめている。

「……これは――なんだ?」

「え……?」メルメルは自分の手元にあるもう一枚を見てみた。

「…………?」

  

  

えしよう。それは、王

。皆様は、かつて彼が

ているだろうか? そ

操る軍師となった。

のはフィメロのみだろ

事でも知られている。

触れる事に成功した。

レプリカを作った。実

そのいしょうを身にま

も、おつなものではな

に開催される私の展示

来ればの話だが……。

 

 

 訳のわからない内容だ。

(何だかこの字……)

 ――見覚えがある。だが、トンフィーの字ではない。トンフィーも字がとても綺麗なのだが、それよりもっとずっと綺麗な字だ。

 

 そう――これは、


「おじいちゃんの字だわ!」

 メルメルの叫び声に、ハッとした顔でグッターハイムは紙を見直す。今度はメルメルの手から残りの紙も全部取り上げて、まじまじと見始めた。

「こ、これは――」


「返して!」


 突然、背後から怒鳴り声がして、メルメルはハッとして振り返った。トンフィーが両手に薪を抱え、真っ青な顔で立っていた。唇がわなわなと震えている。

「返してよ!」薪を放り投げグッターハイムから紙を奪おうとするが、高々と掲げられて手が届かない。「返せ!」

 グッターハイムの体に掴みかかるトンフィー。尋常ならぬその様子に、メルメルは何だか怖くなってドキドキしてきてしまった。トンフィーに掴みかかられてもびくともせず、グッターハイムは紙を見つめ続けている。

「……そういうことか」

 グッターハイムは呟いて、ようやく紙から視線を外した。じろりとトンフィーを見下ろす。トンフィーはよろよろと後ろに下がった。

「一体何事よ! この騒ぎは――」

 トンフィーと同じ様に、薪を抱えてペッコリーナ先生が現れた。驚いた顔で、グッターハイムとトンフィーを見比べている。

「……ペッコリーナ、これを見てくれ」

 グッターハイムが、紙をペッコリーナ先生に手渡す。トンフィーはもうそれを奪い取ろうとはしなかった。全てを諦めたかのようにガックリと肩を落としている。メルメルは駆け寄りたかったが、何故か全く足が動かなかった。

 ペッコリーナ先生は、首を右に左に傾げながら紙を見ている。「……一体、これが何よ?」

 グッターハイムが無言で、懐から新たな紙を取り出した。例の、あの手紙だ。

「これは……だって……」

 手紙を広げ、戸惑うように見る。その時、突然、ペッコリーナ先生の顔付きが変わった。プラムじいさんの手紙の上や隣に、トンフィーの本から出てきた紙切れを並べたりし始めた。

 何故、そんな事をするのかは分からない。分からないけれども、それは何だかとても恐ろしい行為に思えて、メルメルは小さく震えた。その時、ポンと肩に手が置かれて、メルメルはその手の主を見上げた。ラインが透き通るような透明な青い目で、トンフィーを見つめていた。

「……この紙はどこから出てきた物なの?」

 ペッコリーナ先生が、いつもより低い声のトーンでグッターハイムに問いかける。

「トンフィーの物らしい」

 グッターハイムの返答に、ペッコリーナ先生は目を見開いた。

「……トンフィー、どういう事なの?」

 強い口調で問われたが、トンフィーは俯いて黙り込んでいる。答える気はなさそうだ。

「メルメル……、あなた何か知っているの?」

 トンフィーから返事が期待出来なさそうなので、ペッコリーナ先生は矛先を変える事にしたらしい。

 メルメルにはまったく訳が分からなかった。しかし、

 ――その紙切れはトンフィーの物だからワタシは何も知らない――と言ってしまったらトンフィーが傷つくような気がして(だって、既に傷ついたような顔をして、立っているのが精一杯といった感じなんだ)黙ってペッコリーナ先生を見返した。

「メルメル……」

「メルメルは何も知りませんよ! その紙切れは、さっきトンフィーの物だと言う、この本をめくっていたら突然出てきた物なんですから」

 ニレの言葉に、ペッコリーナ先生まで何故か傷ついたような顔になった。ニレの手にした本を凝視している。

「トンフィー……」

「一体どうしたんですか? その紙切れが何だと言うんですか?」

 ニレは、まったく訳が分からないと言う顔で、ペッコリーナ先生が手にしている紙を指差している。 ペッコリーナ先生は自らを落ち着かせるように、深く深呼吸した。

「……これを見れば分かるわ」

 手紙をニレに差し出す。メルメルも恐る恐る横から覗き込んだ。


  

  無敵の闇の軍隊を

  まかす事が出来る

  技法を編み出した

  たいしょうに直接

  に伝えたいので、

  是非きてほしい。


 プラムじいさんからグッターハイム宛てに出されたと言う手紙だ。もう何度も見ている。特に前と変わったところも無い。ニレとメルメルは一緒に首を傾げた。

「だから、これが一体――」

「そして、トンフィーの本から出てきたこの紙切れを――」

 ニレの言葉を遮って、ペッコリーナ先生はトンフィーの本から出てきた三枚の紙を、手紙の上、下、右、左にと並べた。すると――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ