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フラれて始まる君との恋  作者: るち
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蜜月

 翌日。仕込み時間に『desvío』に行くと、カツラの顔を見るなりウィローが固まった。なにごとかと思い「なに?」と聞くとウィローがはっと我に返る。


「カツラさん、なんか雰囲気変わりました?」


「え?どこが?」


「具体的にはなんとも..。」


ウィローはカツラに問いただされ答えに困ってしまう。もともとものすごく綺麗な人だとは思っていたが、今日はより一層表情が華やかに見え、同性なのに一瞬ドキっとしてしまった。動揺を隠しながら話を続けることにした。


「一日で体調回復してよかったです。もう大丈夫ですか?ホリーさんも体調不良らしくて流行っているのかと心配していたんです。」


「え?」


そうだった。仮病を使ったのだった。タイガとの熱い一日ですっかり忘れていた。ウィローは自分がうつしてしまったのかと気をもんだのかもしれない。


「大丈夫。心配かけた。ホリーもなのか?」


ホリーとはカツラと同じ時期、この『desvío』のオープン当初から一緒に働いている仲間だ。しっかり者の女性で、カツラと同じくカウンターの担当エリアは奥側。彼女も体調不良とは本当に感染症が流行っているのだろうか。




 開店直前にトベラが来た。今日でここでの相談は終了し地元に帰るらしい。タイガからトベラとの経緯はさらっと聞いていた。トベラなりに自分のことを思っての行動だったのだろうと思うと少し複雑な気持ちになる。最初は嫌なやつだったが世話になってしまった。別れの挨拶を交わす。


「カツラ。あいつが嫌になったらいつでも来い。受け止めてやる。」


特にタイガとのことは仄めかしていないのだが、表情から結果はもうわかっているというふうにそう声をかけてきた。


「トベラさん。ありがとう。店、うまくいくこと願ってます。」


トベラの気持ちはありがたかったが、そうはならないという確信が今ならある。感謝の気持ちを込め握手して別れた。





 自宅に帰ると今夜もタイガがいる。タイガと二人、甘い濃密な時間をすごす。ベッドで横たわった背中をタイガの指先が優しく小さな円を描きながら移動していく。触りながらタイガはなにか考えているようだ。素肌に触れるタイガの指先が心地よい。


「なぁ、カツラ。別に気にして無いんだけど。確認だけしていいか?」


ふいにタイガが話しかけてきた。先ほどの恍惚感とタイガの指先が与える安心感でもう少しでまどろむところだった。


「ん?なに?」


「トベラとは。その…。結構…あの…。」


「え?」


うつ伏せになっていた顔をあげ、隣で天井を見上げながらボソボソと話すタイガを見た。目が合うとタイガは気まずそうに目をそらした。


「いや、なんでもない。」


気にしているのだ。研修中でのこと。トベラのこと。口では気にしていないと言っていたが。タイガの不安を取り除くため、体ごとタイガに寄り添い手をつなぐ。


「タイガ。」


タイガが握った手に力をぎゅっとこめ、握り返してきた。


「トベラとは、数回キスはしてしまったけど。タイガが気にしているようなことはなかった。危ういことはあったけど、誰とも肉体関係は持ってはいない。お前じゃないと無理なんだ。俺の心も体も。」


「えっ、ほんとか⁈」


タイガがこちらに振り返る。タイガの目を見てうなずく。嘘はないと。タイガの表情がぱっと明るくなった。


「別によかったんだけど。一応確認みたいな。」


笑いながらそう話し強く抱きしめてくれた。そして口づけをする。深くお互いの存在を確認し混ざり合うように。ようやく唇を離しまつ毛が触れ合うぐらいの距離で見つめ合う。タイガが優しく額を撫でてくれる。愛おしい気持ちをタイガに伝える。


「タイガ。お前は俺の初恋なんだ。自分から求めたのはお前だけだ。こんな気持ちは初めてなんだ。」


「カツラ...、わかってるよ。」


タイガが微笑み彼の明るいブルーの瞳が優しく揺れる。素直で真っすぐなタイガ。俺の最愛の人。お前と出会って俺の人生は自分が思い描いていたものよりずっと良くなった。タイガの優しい言葉に伝えずにはいられない。


「ありがとう。大好きだ。」


二人、額をつけ微笑んだ。

読んでくださりありがとうございます。次回最終話です。

続きが気になる、面白かったなど思われましたら、是非是非☆評価、応援よろしくお願いいたします。


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