星と世界 2
「当主様、これが先の大戦にて捕獲された白い何かでございます」
先の大戦では、多くの者が命を散らした。
それでも勝ち残ったのは、かれら九家を要する里側だった。
今行われているのは事後処理。
その中でも、最後の戦いの際に突如現れた白い何か、それについてであった。
大きな白い何かは一条家当主により討伐された。
しかしその際に小さな白い何かが残ったのであった。
害が無く、また早急な戦後処理が必要だったため、検証などは後回しにされていたのであった。
「・・・、各家の当主以外は退出しろ」
「「「はっ」」」
一条家当主がそれに手をかざすやいなや、すぐさま人払いを行った。
そして、
「今から伝えるのは一条家当主にのみ伝わる口伝。故に後世には残さぬように」
そう言って、白い何かを手に取るのであった。
「一条家の初代当主は予知能力があった、そのように伝えられているはずだ。だが、それは正確では無い」
そう言いながら、一条家当主は手にのせた白い何かを眺め、
「正確に言うならば、『神』の声を聞ける、預言者だった。そして九家をあつめ戦力を蓄えたのも、『神』から与えられた預言だったのだ」
預言者、その言葉に対して他の家の当主は驚きを隠せなかった。
「もちろん、その実力から予知めいた洞察力は持っていた。だが本当の能力は『神』の預言だったのだ」
静寂に静まる室内、それらを気にすること無く言葉は続いていく。
「当時の当主は一度だけ『神』に会っていたそうだ。そしてそれは、白い大きな何か、だったと伝えられている。ついでに言うと現在も預言の能力を持つ者が一条にいる。そいつ曰く、世界の空が割れた時、その直前にこの世界から何かが失われたと。その失われた何かは、あの亀裂を越えた先の世界にまだ残っていた、とな」
ごくり。
それは誰の音だったのだろうか、それとも全員だったのだろうか。
「それらから推測されるのは一つだけ。これが『神』だ」
皆が予想させられた結果は、そのまま一条家当主の口から出されたのであった。
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