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始まりの大戦 4

「それで、当主様のお加減は・・・」


「差し支えない。だが、アレを相手に単独で勝利出来るのは当主様のみ、という状況がマズい」


結論として、亀裂の大きさには上限があった。


そして現れる生物、既に現れていた生物にも強さに上限があった。


しかし、その上限は、九家最強である一条家、その一条家最強である当主に匹敵していた。


「二王家当主様なら・・・」


「時間は稼げると思うが、単独で勝つのは無理だ。相手の再生能力が高すぎる」


強さで言えば二王家の者でも対応できる。

問題はその再生能力であった。

ほぼ無尽蔵とも言えるほど再生し続け、その回復速度も三聖家以下の者の攻撃速度を上回っていた。

そして相手はただ殴られるだけでは無く、当然反撃もしてくる。


そして、上限に達した生物たちに対して『実際に』一条家の者が様々なことを試した結果、


1.一人で勝てるのは一条家当主のみ

2.一匹相手であれば一条家および二王家上位が5名以上で当たれば勝てる

3.相手が二匹以上居る場合は、まず初めに一匹ずつに分断しなければ厳しい

4.四門家以下の者では囮以上の戦力にならない

5.退治した生物が強ければ強いほど、亀裂の奥から感じられる不快な気配が薄まる


であった。


故に効率から行けば亀裂を大きくした上で退治するのが最も良いが、倒せる状況が厳しい。

よって消耗戦になってしまうが、亀裂が大きくなる前に止めることになった。


しかし、亀裂が最大まで大きくならなくとも、ある程度大きくなれば生物の再生能力が著しく向上することも発見された。

このため、中規模亀裂対策として、部隊を更に変更せざるをえなくなった。

だが、部隊をいちいち戻して編成しなおすには距離と時間の問題がある。

そこで、各部隊へ変更人員を直接派遣することになった。


そして実験を終えた一条家は、亀裂の奥へと侵攻する準備を始めていた。

防衛だけなら、一条家の者を各地に派遣すれば十分に守り切れる。

しかし、この侵攻がいつまで続くのか、そして今後も行われるのか、そういった情報を得るためにも、逆侵攻を行うことになった。

そして上手くいけば原因を解決出来るかも、ということも期待して。







「それではこれより、亀裂の奥へと侵攻する。全員、光燐の闘気を纏え!」


「「「「「はっ!」」」」」


九家の里にほど近い位置、実験のために確保していた亀裂の周りには里の精鋭である一条家の者の大半が集まっていた。

残りは各地への援護として出ているため、文字通り里に残る全戦力をこの作戦に投入することになる。

そして程なく全員が金色の光に包まれたのを確認すると、


「では、出発する!」


一条家当主がそう宣言し、自ら亀裂の先へと飛び込んでいく。

そして周囲に居た者も次々と亀裂の中へと飛び込んでいった。







亀裂の先にあったのは、まさに別の世界、という風景であった。

周りには見知らぬ植物、空にはいくつもの大きな月が浮かんでいた。

そして目の前には、いかにも儀式の最中、という怪しい存在が多数たむろしていた。


「はあぁああ!!!」


一条家は敵の姿を確認次第、何が起きたか分からず混乱している彼らへと突撃していく。

対する彼らも初手こそ譲ったものの直ぐに体制を立て直し、次々と異形の生物を産みだして攻撃してくる。


「GuOOOOOOOO!!!!!!!」

「はあぁああ!!!」


互いにぶつかり合い、しかし一条家がどんどんと押し込んで行く。

相手が生み出す異形の生物は強いが、しかし呼び出した直後だからか中規模亀裂程度の強さでしかない。

であれば、一条家の者の相手ではない。

そして最初こそ数で負けていたものの次々と増援が来る以上、一条家の負けはなかった。


「’%&#%&”(’!!!」


しかし、奥に居た敵の一人が何某かの呪文を唱えた後に急に光り出し、


「なっ!?」

「何だ、アレは!?」


光が落ち着いた後には、崩れ落ちた敵と、その傍には光り輝く白い何かが存在していた。


「*<>#&%$#*?+>”」


そして何かを叫んだと同時に、数多の光の線が戦場を貫いた。


ドガガガガガガガガ!!!


「うわ!?」

「がはっ!」

「ぎゃああ!」


敵味方共に戦場を薙ぎ払った白い何かは、一条家の方へ移動を始めた。


「くらえ!」


近くで難を逃れた一条家の者が白い何かに攻撃を放つ。

しかし、攻撃は白い何かに触れるかどうかのところで止まり、


「ぐあぁぁあぁああああ!」


逆に白い何かの大振りの一撃で弾かれるように吹き飛ばされていった。


異形の生物を片付けつつ、白い何かに対して波状攻撃を加える一条家。

異形の生物を生み出すのにも限界が来たのか、ちらほらと逃げ始める敵。

そしてそれら両者を気にすること無く、両者を払いながら戦場を練り歩く白い何か。


混沌となりつつある戦場にて、しかし事態は少しずつ動いていた。


「はあぁああ!!!」

「<>#%&”!?!?」


一条家当主が剣に金色の光を纏って振るえば、少しではあるが白い何かに切りつけることが出来、さらに動きを阻害することも出来た。

他の者が行っても、やはり触れるかどうかのところで止まるだけであるが、攻撃の手段が見つかったのは行幸であった。


「我々は当主をサポートする!」

「我々は回復と攪乱に専念だ!」


そうして一条家は、当主が白い何かに一撃入れるためのサポートチームと、白い何か及び敵を攪乱しつつ回復を行うチームに分かれて動き出した。

そうして長い時間、戦いは続いていった。

途中で一条家の増援は止まり、逆に敵に追加が現れた。

しかし対策を整えた一条家は止まること無く、押されることも無く、相手を少しずつであるが押し続けていった。


そしてついにその時は訪れた。


「はぁあああああ!!!!!」

「{&%#%”<’&%!!!!!」


一条家当主の剣が白い何かを大きく切り裂くと、白い何かは叫び声を上げながらその姿を急速に小さくしていった。

そして最後には、弱々しく白く光る玉が宙に浮いているだけとなった。


「はぁ、はぁ、はぁ、やった、のか・・・?」

「やった、やった・・・?」

「「「わぁあああああ!!!!!」」」


既に辺りは死屍累々となっていた。

敵だけで無く一条家の者も数えきれぬ程倒れていた。

しかし、立っているのは一条家の者だけだった。


こうして多大な犠牲を出しながらも、一条家による逆侵攻は成功を収めたのであった。

お読み頂きありがとうございます。


ひとまずこれで構想ある分の投稿は終わりとなります。

以降は、ある程度構想が出来てまとまった時の不定期更新になります。

少なくともしばらくは更新しないと思います。


以下、設定や裏話など。


Q:各人には名前はないの?

A:全員、名前があります。ただ九家全てを合わせると数百万人にのぼるため、原則として一条家の実力者以外には「○○家の者」「○○(家名)」と呼びます。

ただ、親しい人同士なら名前呼びすることもあります。


Q:数百万人も居るのに、500番台以降の隊は八又家のみの構成なの?

A:七尾家が『実務』を担っている通り、八又・九尾家は予備兵扱いとなります。そして、人口のほとんどが八又・九尾家で占められています。

このため、一条家を除き、二王家~六道家の人数は数百人~数千人しかいません。七尾家でさえ数万人ほどです。

また相手の数が多すぎるため、予備兵の八又が前線に、九尾がその補助や裏方として動いています。


Q:放置してまずい亀裂を、他国の分は放置したの?

A:ある程度大きくなった時点で破壊しています。ただ、確実に他国との問題や軋轢が発生しますので、外交の担当部署である二王家と七尾家のみが出張(勝手に侵入)しています。

このため、各国は再交渉しようと試みましたが窓口が不在になっていたため実現しませんでした。

まぁそれも「奴隷になれ!」→「低賃金でこき使ってやる!」なので、交渉成功の可能性はゼロでしたが。

なお、とある国の代表だけがあの会議後、部屋を出た直後に土下座からの条件全呑みを提示したため、交渉窓口が残されました。

二王家としては「普通に協力しようと思って話し合いに言ったら酷い目に遭わされたよ! 何だ、あの要求は!!! えっ、あなたのところは普通に協力してくれるの!? ありがたい!」という感想でした。


Q:どうしてこの九家の攻撃は通じるの?

A:前提として、侵略組の方がより『上位の』星から来ているため、より『上位の』法則を持っています。このため、下位の法則しか持たない人達の攻撃はATフィールド的な障壁っぽいモノの分だけ減衰することになります。

それに対して九家が用いる『光燐の闘気』は作中でも出ている通り、『理を覆す』事に特化した技術になります。このため、障壁っぽいモノを無視して攻撃が通用します。

とはいえ、より上位の相手ほど効力が弱まってしまいます。亀裂が大きくなるほど相手の法則が強化されるため、光燐の闘気を用いても攻撃が通りにくくなっていきます。

そして、最上位の白い何かに対して当主以外の攻撃が全く通じなかったのは、相手の障壁っぽいモノを当主以外の実力では貫通できなかったからです。


なお、この技術を開発するまでに数百年、そこから更にある程度以上の者に普及させるのに数百年かかりました。ですので、実は侵攻に対して迎撃態勢がギリギリ間に合った状況です。

七星家から上の家は自由に使用でき、上位の家ほど強力な効果を出せます。

八又家は何とか使用できる者たちで、効果は高くない上にムラもあります。

九尾家は偶にしか使用できない、または使用できない者たちです。

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