一件落着!ですから
「結局、あの巨大オオグソクムシは何だったの?」
「うん、普通の大きさじゃなかった」
「ううー、思い出したくなぃ……」
「あはは……、私、全然覚えてない」
無事朝を迎えた四人は、後日、委員会室でそんな会話を繰り広げる。
がらり、とドアが開いて、今日はそれほど不調ではなさそうな花江先生が現われる。
「この間はごめんなさいね。科学部からの依頼、みんなだけで大丈夫だった?」
「え、科学部、ですか?」
「そうよ。依頼書に書いてなかった?」
四人は揃ってブンブンと首を横に振る。
「あらあら、おかしいわねえ」
まさか、と部屋の隅に置かれたままになっていた袋をひっくり返す。ハイヒールと懐中電灯が入っていたそれは、ひっくり返したところでやはり何も出てこず。
「ねえココ! ポッケが付いている!」
「まさか……」
袋の内側に縫い付けられていたポケットに手を差し込むと、中に紙らしきものが入っている。エリナは取り出したメモを開き読み上げる。
「【仕様説明】ダイオオグソクムシロボは、自律型AI搭載の最新鋭のロボットです。懐中電灯型リモコンで操作してください……」
メモを握るエリナの手が震える。
「リモコン!? あの懐中電灯が? 確かにオンオフってボタンあったけど!!」
「追伸。もともとは皆に楽しんでもらおうと開発しはじめたのですが、巨大化と自律型AIの夢を詰め込んだ結果、科学部メンバーの顔を認証して、電源を切ろうとすると即時回避行動をとるようになってしまいました。もう我々の手には終えません」
ぐしゃりと遂にエリナはメモを握り潰す。
貴族の嗜みとして、完全な微笑なのが却って恐ろしい。慌てふためくカノンが喘ぐように、
「じゃ、じゃああのハイヒールはなんだったの?」
「ああそういえば、通販で買ってみたけど足に合わなかったから、合う人いたらどうぞって、科学部の部長が言っていたような」
「なっ、なっ……」
言葉が出ない。怒りの矛先をどこに向けていいのか彷徨ううちに、なんだか落ち込んで来て、ずーんと四人は暗い影に負っている。
「でも、助かったってお礼を言われたから、みんなちゃんとやってくれたのね。ありがとう」
エリナは、ガタリと机に手を突いて名言する。
「次回からは、絶対に、断ってください!!」
あんな依頼は二度とやりたくないと全員が切に願いながらも、刺激的な委員活動はお構いなしに続いていく。
『鈴舞管理委員会 活動概要』最終ページ
【おわりに 鈴舞管理委員会とは】
鈴舞学園生たち持ち前の、行き過ぎた好奇心と良心、そして持て余した技術力の暴走を止めるために設立。生徒諸君は、平和的対話と友愛の精神をもって、豊かな学生生活を守りましょう。委員らの健闘を祈る!




