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吸い口

作者: 尚文産商堂
掲載日:2020/09/01

何やら色が変わっているように見えた。

問題のものは、江戸時代に作られて、代々伝わってきた煙草用の煙管(きせる)だ。

なんでも300年近く前のものらしく、これだけでも骨董品の価値は十分にある。

それでも使っているのは、俺の家の長男が必ずタバコを吸うときにはこれを使えという家訓があるためだ。

煙草を吸わなかった先祖もいたらしいが、不思議と早死にするか、惨殺されるかという非業の死を遂げることとなった。

それでもそれほど長い間使っているとあちこち痛んでくる。

吸い口の色が変わっているのに気づいたのは、そんな痛みの具合を確かめているときだった。


修理に出して、戻ってくる頃にはすっかりときれいになっていたので深くは考えなかったが、これがちょうどいい目安になっていたのだろう。

考えてみると、俺のオヤジも色を気にしていたっけな。

こういうことだったのか、と思いつつも、これからもよろしく頼むと、心の中で唱えた。

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