クリーム色の出会い
ある日、僕はオフィスで、クリーム色のジャケット姿のレディに恋をした。
カスタードとホワイトクリームが一つになったような、クリーム色だった。
僕は、書類を書くシャープペンの手を止め、窓の外へ目をやった。
夏の、大きく広がる澄んだ青空で、散在した白い雲がゆっくりと動いている。
雲を見ながら、僕は、ふと想った。
思えば、僕の初恋もクリーム色だった……。
その夜、僕は星の見えるベランダで、カクテルを前に、一人、クリームレディのことを思い浮かべていた。
僕が、心の中で、オフィスのレディに付けた名前。
それが、「クリームレディ」だ。
と、突然、僕の目の前にネコ君が現れた。
目の前のネコ君。--アロハシャツにショートパンツ姿だ。
ネコ君が口を開いた。
「ユウジ。クリーム色の恋〜第2章〜を始める気はないのかい?」
「無理だよ。僕のクリーム色の恋〜第1章〜は、幕が上がることすらなかったからね」
「今回は、少なくとも幕が開くよ。向こうも、それを望んでいるからね。ま、幕が開いた後は、君次第だけどさ」
僕は、驚いて、ネコ君に訊いた。
「なぜ、向こうもそのつもりだとわかるんだい?」
「僕は、彼女の夢にも現れる許可を、彼女から直々にもらっているからさ」
と、ネコ君は、ちょっと、誇らしげにエヘンと咳払いをした。
--そこで、僕は目が覚めた。
翌日……。
僕は、勇気を出して、彼女〜クリームレディ〜をデートに誘った。
その瞬間、僕と彼女の心は、クリーム色のハートでいっぱいになり、そのクリーム色のハートは、次第に、ピンク色へと向かって染まり始めた。
クリーム色の恋、第2章が幕を開けたようだ。