料理
私は図書館から駆け出した。廊下は真っ赤で、丁字路になっている。
私はまっすぐ駆け抜けた。
「いったい誰なの!?」
走りながら自分の胸元を探る。紺色の服の下から、また懐中時計をとり出した。
「あと2分」
全力で疾走した。
赤い廊下を駆け抜けて、辺りを見回す。なぜ、先ほど私が丁字路をまっすぐ進んだかというと、今回の作戦が計算されていたからである。
魔理沙が誘導して、協力者が盗む。一度この紅魔館で戦闘したことのある人間が、地図を作ったのならば、協力者がまっすぐ出口に向かう鹿瀬憂が一番高い。
もしそうじゃなかったとしても、出口を塞いで、朝食のあとに探すこともできるだろう。
その時ばかりは、いつもは外で勤務している門番の美鈴めいりんにも室内で活躍してもらうこととなる。
「あ、いた!!」
私はついに見つけた。魔理沙の協力者だ。長い廊下を走り抜けていく、私より背の低い人間を。黒いスーツを着ているようだったが、おそらく星人の男性ではないだろう。
ようやく片がつく、私はそう思って、片を落とした。
私は懐中時計を出して、時間を止めた。ちょうど、魔理沙の協力者が長い廊下の角を曲がったところである。足跡がふっと消えた感じもあった。おそらく、時間を停止させたとともに、あの人間も動きを止めたのだろう。
そういえば、パリュリー様が彼は少し特殊だとか……そんなことを言っていたような気がするが、まあ捕まえればこちらのものだろう。
私は、止まった紅魔館の中をゆっくりとあるといて、曲がり角までやってきた。
「さて、もう鬼ごっこはおしまい……よっ!! あれ?」
誰もいなかった。あるのは赤い絨毯とその廊下だけである。
たしかに、粉の角を曲がった時に時を止めたはずなのに……何か種が隠されているに違いない。
ならば、別の方法で攻めるとしよう。
私は、時を止めるのを解除して、廊下を走り抜けた。
本当ならば、この時間すら時を止めて駆け抜けたいのだが……残念ながら魔理沙の時に疲れてしまっている。あと、数分のインターバルは欲しいところだ。
……いや、そいういえばあと2分か……なるほど、では30秒だけでも。
「ねえ、お兄ちゃん何してんのこんなことろで……」
「あれ、君は……?」
「私フランっていうの!!」
「僕は赤塚っていうんだ、今はムニエル食べてるけど……」
「あーー!! つまみ食いしたら咲夜におこられるんだああ!!」
「えーー! それはこまっちゃうなぁ、どうしよっか?」
「えーとね、きちんと謝ればいいと思おうよ?」
「なるほど、じゃあ謝ろうか。でも、ただじゃ許してくれないかもしれないから、なにかおわびに一品くらいは……」