表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/15

25分までに朝食を

 幻想郷。ここには、忘れ去られたものが迷い込むという。広大な敷地は、ほとんどが森、もしくは山だ。


 道も舗装されておらず、車が走るのも難しそうだった。とは言っても、この場所で特別なにか乗り物に乗る必要は全くない。皆、相応にして空を飛べるのだ。


 かくゆう私も、いま宙を舞っている。紅魔館の巨大な敷地内だ。この通路は巨大だ。この廊下は紅魔館の氷山の一角に過ぎないのだが、それでも巨大な教会飲み込むほど大きい。


 しかし、教会と違って、天井には真っ赤な板。ぼうっとロウソクの明かりがついて、さらに怪しげだ。障壁画などは全くない、絵画もない、あるのは真っ赤な建物のみだ。


 天井から床の中間を、私は紺色のメイド服でフワフワと浮いていた。私は、胸に下げている懐中時計を持ち上げる。


「現在、5時30分。5分の遅れですね、急がねば」


 赤い壁、赤い絨毯、赤い燭台に、赤い花瓶。


 毒々しい赤は、この屋敷中にある。紅魔館、というだけあって、見事に真っ赤だ。私も初めて見たときは、目に毒だと思った。


 だが、ここに勤めて早数年……いや、たった数日でその違和感に慣れてしまった。いまも、毒々しいと言ってはいるものの、本当に毒とはまるで思っていない。


 赤、それは私がいま仕えるお嬢様の色。


 従者として、最も誇るべき色、赤。お嬢様の凛々しいお姿には、私など足元にも及ばない。お嬢様は最も尊敬しうる人物である。


 私のそばを窓ガラスが通り過ぎていった。フワフワと後ろに引き返す。


 まだ暗い外は、ガラスでも私の体を移し出してくれた。


 メイド服は全て紺色と白の二つで統一されていた。肩が出っ張った形、タイトな腕、紺色のかしこまった服。首元、手首、腰周り、胴体以外は白の生地。方のふわりとしたフリルが特徴だ。


 胸元と頭の上に緑のリボン。小さなティアラのようなメイド帽をかぶっているのは、自分でもおかしなくらいメイドらしい。


 自分で言うのもなんではあるが、私は美人である。ただ、冷淡すぎて、近寄りがたいのだとか。


 私はそんな性格をしているつもりも、そのように壁を作っているつもりも全くない。となると、おそらくその印象は全て服からもたらされているのだろうと、容易に考えがついた。


 最後に、自分の銀髪を、ちょちょいと、整える。


 服と簡単に整えて、また懐中時計を除く。


「あと、25分。それまでに朝ごはんを」


 私は、厨房に向かった。






「着きましたね、どうしましょう?」

「作戦通りだぜ。まず、私が偵察をする。その間に、入口を突破できるようにして欲しいんだぜ」

「でも、魔理沙さんはホウキで空が飛べますよね?」

「逃げる方法はいくつも欲しいのぜ」

「なるほど、逃走ルートですか……わかりました。任せてください」

「気をつけるのぜ?」

「魔理沙さんこそ、女の子なんだから気をつけてくださいね」

「おっ、おう! わかってるのぜ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ