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第4話 大いなる災いの影

本日2話目です。

「分かった分かった、そう怒るな。礼儀を知らなくて悪かったよ」


 俺はナタリスに頭を下げて見せた。

 本当は元貴族だったり王様やってたりしたんだ、礼儀作法は身に付いてる。

 だけどそれを見せるのもいいか悪いか、まだ判断がつかないからね。

 とりあえずは礼儀知らずの男って線で行くことにする。

 召喚が寝間着の時で助かった、王の衣装じゃ一般人の振りはおかしいからな。


「分かればいい。だがあまりに無礼が目に余るようなら身の安全は保障できん」


 ナタリス、ちょっとイライラしすぎだ。

 カルシウム採った方がいいぞ。

 小魚食え、小魚。 


「それで、さっきの答えをきかせて頂けますか。王女様」


 俺は態度を改め、フェイリア王女に質問しなおした。

 これならOKだろ、ナタリス。


「ヒロト様が何故この国の災いを払わねばならないのか、ですか……」


「そうです。それを聞かなきゃ、やるかどうかの判断も付かない」


 俺の言葉に王女は目を伏せた。


「正直な事を申し上げれば……分かりません。この度のことは、私たちが神にこの危機から国を救う勇者を召喚して下さるよう祈った結果なのです。そうして現れた方であれば……当然この国を救う為に力を貸して下さると思っていましたので……」


 途切れ途切れの王女の言葉に苦悩が見える。


「なるほど、そうですか。分かりました」


「え、では……?!」


 俺の言葉を聞いた王女はパッと顔を上げて俺の顔を見つめた。

 俺が了解してくれると思ったらしい。

 確かに気の毒だとは思う、思うけれども。

 今まで既に2回、同じような事をやって来た。

 それでその結果はといえば――散々だ。

 もうあんな思いは沢山だ、御免こうむる。


「ですが俺にしてみれば、普通に暮らしていたのに突然こんな所に呼び出されているんです。しかもいきなり世界を救えとか、正直見当もつきません」


 普通に暮らしていた、っていうのは完全に嘘だが。

 なんせ王様やってたんだからね。


「そ、そうですよね」


 俺の言葉を聞いたいっぺんに王女はシュンとなってしまった。


「――この召喚の儀に応じて現れたという事は、タケムラ殿はこの世界を救う力を持っておるはずなのじゃ」


 それまで黙っていた幼女が口を挟んでくる。


「そういうアンタは?」


「儂はこの儀式を任されておる王宮の天才魔術師、クレハじゃ。古の言い伝えによれば、これは大いなる災いの影を払うことができる者を召喚する儀式じゃ。だからタケムラ殿にはこの世界を救う力があるという事なのじゃ」


「そう言われてもなぁ。そもそも、さっきからアンタらが言う『大いなる災いの影』って一体何なんだ?」


 俺の問いにクレハは一瞬フェイリアの顔を見る。

 フェイリアが小さく頷くと、幼女は重々しく口を開いた。


「これはまだ誰も知らぬ事じゃ。民は無論、ほとんどの貴族にさえ知らされてさえおらぬ。良いか、決して口外せぬと誓ってくれ。皆に不安を与えたくないからの」


「ああ、口が裂けても誰にも言わないと誓うよ。それで何なんだ?」


「恐らく――魔王が復活したのじゃ」


 

 あー、またテンプレ通りか。

 だがその言葉を聞いた兵士たちには緊張が走る。

 恐らくこの国の超極秘機密だったりするんだろう。

 しかし魔王ってのはあっちの世界にもこっちの世界にもいるもんだねえ。

 その分勇者も大勢いれば俺がこんなに苦労することもないのに。

 あ、まさか魔王も転生して一人があちこちで暴れてるんだったりして……ないか。


「ふうん、魔王ねえ。それでその魔王の目的はなんだ? この国の支配か、人類の滅亡か、それとも他にもっと別の目的があるのか?」


「それが――分からんのじゃ。言い伝えによれば前に魔王が現れたのはおよそ500年前、その時人々は魔王に酷く苦しめられたという。だがそれが実際どのような事で何が目的だったのかは具体的な文献も残っておらず、分からんのじゃ」


 なんだよそれ、相手の目的も分からないって。

 それじゃあきっと魔王がどういう奴か、どんな力を持ってるかも分からないよな。

 しかも「恐らく」復活したとか、そんなあやふやでよく召喚しようと思ったね。

 そんないい加減な理由で人の人生左右しようとか、ある意味感心するよ。

 だから王族とか権力者ってのは嫌いなんだよ。

 自分で王様やってそのしんどさもちょっとは分かるけどさ。

明日も投稿できると思います(たぶん)

ブクマ、評価なんかもらえると泣いて喜びます。

ちなみに個人的にはツルペタは好みですw

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