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第2話 プロローグ②~2度目の召喚

2話目です。

これは「異世界に召喚されて世界を救った勇者は、そのあとどうなるんだろう」というところから考えた物語です。

めちゃめちゃチートな勇者って、平和になった世界からしたら不穏分子だと思うんですよね。

 2度目に召喚されたのは、そんな生活につくづく嫌気がさしていた頃だ。

 気付けば26歳、召喚されてから9年が経っていた。

 いつものように朝起きた俺は、突然立ち眩みのような感覚に襲われた。

 目の調子も悪いようで、視界全体が白く光っているように見える。


 一瞬病気にでもなったかと焦ったが、すぐにそうじゃないと気付いた。

 光っているのは視界じゃなく、自分自身だ。

 だが大概の病気は自分自身の魔法で治せるのだから焦る事はなかった。


 ふと自分の手を見ると、うっすら消えかかっている。

 これは――すぐに9年前の記憶が蘇ってきた。

 この世界に召喚された時もこんな感じだったよな。

 ひょっとして元の世界に還れるのか?

 そう期待しなかったと言えば嘘になる。

 元の世界に全く未練はなかったが、今の報われない生活に飽き飽きしていた。


 やがて手だけでなく全身が透き通りはじめ、じきに俺は意識を失った。

 目が覚めた時、俺は大勢の人たちに囲まれていた。

 元の世界の医者や看護師さんの白衣ではない、ファンタジーな服装の人々。

 俺はまた別の世界に勇者として召喚されたんだ。


 2度目の召喚には驚いたが、最初からやり直せるんだと思うと嬉しかった。

 もう前回の二の舞は絶対にごめんだ。

 俺は慎重に事を進めようと心に決めた。


 必要以上に人と関わらない。

 無駄に自分の力をひけらかすことはしない。

 だがそれでもきっと、目的を果たした後人々は俺の力を恐れるだろう。

 それにどう対処したらいいのか悩んだ。



 今度の相手は世界滅亡を目論む邪神の眷属。

 一国を狙っていたに過ぎない前回の魔王より、よほどの強敵。

 俺はさらに力を付ける為に修業した。

 ただしあくまで目立たないよう、こっそりと。


 そんな生活の中で、もう恋愛はこりごりだと思っていたのにまた恋人が出来た。

 恋人と言っても種族は人ではなくエルフだ。

 彼女は美しく、誇り高く、賢く、勇敢で、信頼できる仲間でもあった。

 彼女なら決して俺を裏切る事はない。


 十分な力を付けたと思えた時、俺は初めて戦の表舞台に立った。

 そのときすでに世界は邪神の眷属によって滅亡の危機に瀕していた。

 そんな絶体絶命のピンチに現れた勇者。

 劣勢に立たされた人々にとって突如現れた俺はまさに救世主だ。

 俺は王達に邪神の手先を倒す代わりに国を作ることを認めてくれ、と持ち掛けた。

 世界滅亡の危機に瀕していた各国の王たちは、一も二もなくその条件を飲んだ。

 もし本当に世界を救ってくれるなら、新しく国を建てることを認めようと。

 そうして各国は俺を旗印に力を結集し、反撃の狼煙を上げる事に決めた。



 俺は傷つきながらもなんとか邪神の眷属を倒した。

 それは一つ間違えれば死んでもおかしくない激戦だった。

 大切なエルフの恋人は生き残ったが、その他の何人もの仲間たちを失った。

 気付けば二度目の転生からさらに4年の月日が流れ、俺は30歳になっていた。

 

 死力を尽くした戦いの結果世界は救われ、王たちも約束を守ってくれた。

 権力者というのは無欲な相手よりも欲望を露わにする相手を信用するらしい。

 今回は邪魔するどころかむしろ積極的に手を貸してくれた。

 こうして俺は新たな国の王となり、各国と相互不可侵条約を結んだ。

 互いに干渉しない、俺の国はどの国とも同盟を結ばない。

 例え他の国々の間で戦争が起きても介入しない。

 俺はその原則を守り、国は安定した。

 だが恋人は国を作る時に去って行ってしまった。

 人のまつりごとにエルフは関わらない。

 それが定命種たる人と永遠に近い命を持つエルフとの盟約。

 そうしてまた俺は一人になった。


 寂しかったが、それでも俺は王として良い国を作ろうと努力した。

 勇者として得た大きな力と現代知識を使って。

 インフラを整備、魔法で病を癒し、魔物を倒し悪人を捕まえて治安を安定させる。

 現代知識をもとに様々な道具や技術を開発して人々の生活を豊かにさせる。

 少しでもより良い社会を作ろうと頑張ったんだ。

 

 その結果、どうなったか。

 最初熱狂的に俺を支持していた国民たちは、次第に怠惰になった。

 不都合や不満があっても自分で解決しようとしない。

 すぐに俺に何とかしてくれと泣きついてくる。

 ただくちばしを大きく開いて餌をねだる雛鳥のように。

 危険もない、日々の生活も安定している。

 そんな中で欲望だけが肥大していき、それが満たされなければ俺を非難する。

 王は自分勝手だ、以前のように国民のことを思いやる心を失ったと。


 国が出来て2年、俺は未来に恐怖していた。

 国民たちに奴隷のようにこき使われる毎日。

 そんな日々が死ぬまで続くのだろうか。

 こんな国は放り出して何処かへ去ってしまいたい。

 そんな想いにかられていたある日、また「アレ(・・)」が来たんだ。

出来たらブクマなどしてもらえると嬉しいです。

こちらは明日も投稿します。

『格ゲースキルでVRMMO世界を無双する』の方もよろしくお願いします!

(下にリンク貼ってます)

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MMO嫌いで格ゲーマニアの主人公が格ゲースキルで無双するお話
『格ゲースキルでVRMMO世界を無双する』
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