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異界で子育て道中  作者: ハンティングキャット
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グロあります

 っちぃ、抜刀してるな!

前方150、視界最悪、硝煙臭無シ。間隔北上中敵影ミユ


前方180度、緑色のカーテン膜が何重にも重なり合った視線先に中世の鎧のようなを被り西洋剣を構え、棍棒のような杖をこっちに向け突き出している金髪二人組を微かに視認した菅野はすぐに横っ飛びするような軌道描き、進路を東へ、大きく変えた。


抜刀している相手にこちらの事情を平和的に話すなんぞ、十中八九捕らえてくれと言いながら駆け込んでくる阿呆のやる事。

一人二人なら事情を聞き入れてくれるだろうが4人以上となれば何かの行進中…装備を見りゃ剣と棍棒。


そんな時代錯誤の装備相手なんぞ、敗走中ですよ~あ、捕虜に出来そうなアホがこっちくる♪絞って情報抜き出し盾にして捨てましょうって算段を立てている可能性が高い、だからあれと遭遇すんのは拙い!


 多少警戒しつつ受け入れ時期が熟したら掌を変えす盗賊行為。

はるか昔の村社会から最近だと第一次世界大戦~今次大戦まで。

世界が違ってもよくあることだなと嫌な気分に浸りつつどよめく声を背中から聴きとりつつ菅野は地を蹴り、岩幅を飛び越え道なき道を進んでいく。


 彼が遭遇を回避したのはもう一つ理由があった‥‥


それは所属不明部隊の偉そうなやつが着込んでいた鎧‥‥

その鎧に○公によく似た国旗が右肩鎧にあったのが彼の判断の決め手になった。


大日本帝国の特殊部隊とやらの眉唾な話は何度か耳にしたが、少なくともそ相手国のそっくり顔付をした人種はうちにはいない。

着こんでいての進軍はまずない。

装備があらかさまに水ぼらしすぎる。

密林装備していないなんぞ論外な軽装備。


奪取していたとしても見た感じ作戦失敗し敗走中ならば、そんな機関銃で穴が開きそうな重い物を着こんで逃げ去るどころか傷だらけの鎧を好んで着みながら進軍はありえない。


何より1航空隊隊員どころか指折りの空軍英雄であった彼は記憶力がすこぶるよく、機密情報をそれなりに覚えていた。

そのため自分が捕まることは祖国を危機に陥れてしまうと強く危惧し、ここは離脱する事に舵をきり、ぐんぐんと不明部隊から遠ざかっていった。


敵国と勘違いした菅野はのちにこの出来事をこう語った


紛らわしいのつけたのを着てんじゃねぇ!とだいぶ激怒していたと、これから先の未来の本にそう記録し残されていくとは等の本人も知らないだろう。



話は戻り、敵国陣地に単身突っ込んだとしても、こちらの手持ちはナイフと興亜一心刀、つまり量産型の日本刀の計二種


現地調達したゴムもどきの植物をひもにして即席トラップは作れるが何より懸念材料は背中の卵。

今のところ役立つ所か、これが割れないように道のあっちこっち横断する枝群をあえて当たらないであろう個所を駆走の最中瞬時に見極め最適ルートを選びながら走る気づかいもせねばならない


本当にこれが役立つのかぁ?と悪態付きながら1000m近く走っていた菅野の顔が急に険しくなっていった。


「血なまぐさい匂いがすんな‥‥それも今流されえたばかりの」


 追跡はないと目視と勘で再度確認し、あらぶった呼吸を整える菅野はできるだけ身を屈め、背中から突き出す卵が丁度隠れられる茂みの群れを目安に進行先を迂回するよう進んでいった。


*****


「そんな、わ、私たちが何を」

「ゴブリンは殲滅、変更はない。モンスターだからな」


 紅蓮の騎士団の第二部隊女騎士がゴブリンが森中気付き上げたコミュニティ入り口で剣を抜き問答をしていた。

すでに半数近く刈りつくされ、残り僅かなゴブリンは村長ともいえる代表──ゴブリンメイジの背にすがるように家々に隠れ怯えている。


「私たちは何もしていません!!森に入ってきた人間やエルフが毎回、毎回同胞をっ!むごたらしく殺して」

「モンスターは討伐せねば近隣の村々が甚大な被害を被り滅んでしまうではないかっ!!」

「それにキサマらゴブリンは女であれば襲い、孕むまで慰み者にしているではないか!!どこに慈悲を与える余地があるというのだねウジ虫!!」

 私の同僚もと射殺す眼つきで見下し、侮蔑の言葉を吐き捨てる


「っ、それは他の区のゴブリン達でしょう?我々は一度もそのようなことをしていません!!」

「ほざくなモンスター!」

「黙りません!! 私たちはこのクレスト大森林の中で小動物を除けば最も弱い種族、そのことを自負しているから自衛とホーンラビットなどの小動物を限定した狩り以外戦闘を禁止し細々と、今日まで生き延びてきたんです!」


「そ、そうだおいらたちはリーダーのいう事を信じでささやかな平和を過ごして来たんだ、お前らに子供を何度も殺されたんだぞ」

「り、リーダーの決断は間違っていない‥‥お、お前たちが侵略者に変わりないじゃないか」


 そうだそうだとなけなしの勇気を振り絞って家から出てきたゴブリン達が唇やその小さな体を震わせ懸命に抗議の声を上げる。

仲間の声援に押され、凛然とした面持で自分よりも倍近く、剣を抜いた女騎士団を睨むゴブリンメイジ。


此奴の言い分も理解はできる‥‥だが、モンスターだぞ?我々エルフ含めた人類の敵、魔王の末席とはいえ臣民であるのだぞ? 

降伏しているとはいえ捕虜条約など公式宣言しているなら数十年前の開戦から今に至るまでそんなもん話の通じえない魔王軍と結んでいるわけがない‥‥

言葉を交わせるが相容れぬ存在に何を戸惑っているんだ私は‥‥


これ以上仲間は傷つけさせないと気迫に満ち溢れたゴブリンメイジに気圧され場の空気が一触即発になりかけた矢先──長耳の女騎士の一人が槍を投擲!


鋭い弧を描き投擲された槍は吸い込まれるよう──ゴブリンメイジのすぐ後ろの家から出てきた女ゴブリンの頭部を貫いた。


「小隊長、モンスターの戯言に耳を貸す必要はありません」


 自分がやったことに誇りをもっているのだろう‥‥毅然とした態度で進言し背につがえた弓を取り外し矢を構える。

部下の独断に一瞬叱責するべきか悩んだ小隊長だったが、自分よりも一つ階級が上の少尉が肩を叩きその先を言い掛けた言葉を飲み込ませてくる


「迷うな、末席とはいえモンスターなのは変わりがない。惑わされるなどあれほど注意しただろう」

「しかし少尉」

「何事も経験だ‥‥殲滅するぞ」

 突き放すような声量で言い放った少尉は流れるような動きで腰のホルダーからダガー2本取り出し投擲。

あっという間に二人を刺殺し、驚き逃げようとするゴブリン目掛け腰かけた鞘から剣を抜刀、間合い詰め一閃。

数秒かからない合間に三人を殲滅した少尉はすぐに自分周囲の得物の状況探り、駆け抜ける。


「降伏している、降伏しているのにお前たちは虐殺するのか!!!人同士の戦争で大罪と言われる行為をなぜ、なぜ!!」


 憎悪と怨恨入り混じった咆哮でゴブリンメイジが魔法を使い一人でも多く助けようと土の壁アースウォールを築き騎士たちの進路を阻み、ウインドホールで斬りかかられたゴブリン達を包み難とか斬撃軌道を反らそうと懸命に動き回っていく。


ゴブリンメイジにしては二つも異なる魔法を習得していることに驚く小隊長だったが、直ぐにその考えは失すれてしまう。


ばらばらに逃げ惑うしか道がない非戦闘民であるゴブリンが20に辛うじて足止めできる程度の戦闘ゴブリンがメイジ含め3

対して遊撃隊でありそれなりに連携もとれる騎士が6人。


騎士1に対しその程度のゴブリンでは20で漸く釣り合う戦力では抗うこと自体無謀だがもはや、後がないゴブリン達を憂い自分も戦列に加わるべきか悩んだ。


過剰戦力で叩いてもなにも意味がない。

しょせんゴブリンに対しオーバーキルもいいとこ。こんなので怪我でもすれば後ろ指刺される嗤いものになるだけだしな‥‥


剣を鞘に納刀し暫し部隊全体の行動を把握することに努めることにした小隊長。

こんな雑用でも馬鹿にし楽観視すれば足元すくわれることもある。


何事も慎重にやりなさい‥‥と紅蓮の騎士団総隊長の訓示を思い返し早く殲滅しないか時を潰していた。

視界端で茂みに逃げ込もうとするゴブリンに一足遅れ、猛スピードで槍を構え突撃していった隊員に目線を向ける。


槍を投擲し開戦再開の狼煙上げた女騎士だと認識し茂みに消えてから一拍、その女騎士が顔面血まみれになってこっちにぶっ飛んでくる姿に驚愕していった。

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