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外伝 マーチオブスズカその2

凱旋門賞前の出来事。

作者「サトノダイヤモンド凱旋門賞絶対負けるだろ。しかも惨敗。競馬に絶対はないけどこれだけは絶対だ」

友人「じゃあ何が勝つ?」

作者「一番人気のエネイブル。三歳牝馬だし、しかも歴史的名馬の匂いがプンプン匂う」

友人「じゃあ千円分の菓子かけるか?」

作者「乗った! ついでにサトノダイヤモンドが掲示板にも乗らなかったらピザおごれよ!」

友人「サトダイ舐めんな! キズナだって4着だったんだから掲示板くらいなら乗るだろ!」

作者「掲示板どころか二桁順位かもよ?」

友人「上等だ!その賭け乗った!」

凱旋門賞後、そこにはアイス(氷菓子)とピザを満足げに食っている作者の姿と財布の中身が北極並みになった友人の姿があったそうな。

朝日杯FSを日本レコードで勝ったマーチオブスズカ。そんな彼が目指す先にあるのは日本ダービー。その前哨戦には皐月賞、青葉賞、京都新聞杯の三レースが用意されている。その中で唯一GⅠレースであるのが皐月賞。マーチオブスズカ陣営は当然の如く皐月賞を選択。皐月賞のトライアルレース弥生賞に出走登録した。


故にマーチオブスズカのローテーションは以下のようになる。


弥生賞→皐月賞→東京優駿(日本ダービー)


「さていこうか」

マーチオブスズカの主戦ジョッキー田根豊がマーチオブスズカに気楽に騎乗しようとすると、やはり拒絶された。もっとも拒絶と言っても暴れたりはせず距離を離されただけで田根本人に怪我はない。

「お前、そこまでやるか?」

田根はマーチオブスズカが神経質過ぎることや賢すぎることに呆れ、気合いを入れる。マーチオブスズカは闘魂の塊とも言うべき存在であり、騎手が少しでもやる気を見なせないものなら乗らせない。超がつくほどストイックなのだ。まさしく競馬をするために生まれてきたような競走馬である。

「……しっ! 行くぞっ!」

田根の気合いの入った声がマーチオブスズカに伝わり、マーチオブスズカが雄叫びを上げる。イレ込んでいるようでそうでない馬。それがマーチオブスズカだった。


【勝ったのはやはりマーチオブスズカーっ!! 強すぎる!】

終わってみれば圧巻の逃げ切り。日本レコードのおまけ付きだった。

「ふぅ……心臓に悪い馬だよこいつは」

弥生賞をレースレコードではなく日本レコードを塗り替えたのにも関わらず田根がそのように発言したのが気になった記者達が尋ねた。

「田根豊騎手あの内容でも不満なんですか?」

「馬そのものじゃない。僕自身です。朝日杯と今回の弥生賞どちらも落とされそうになりました」

「落とされそうになった?」

「いえ、実際には落とされそうになった訳ではなく、そうですね。マーチオブスズカの加速力に僕が置き去りにされるそんな感覚でした。ディープ(インパクト)が飛行機ならマーチ(オブスズカ)は戦闘機ですかね」

「マーチオブスズカはディープインパクトを超えるということで?」

「中距離ならばディープインパクトやサイレンススズカ以上かもしれません。だからただしがみつくしかないんですよね」

「田根豊騎手ありがとうございました」


そして皐月賞当日。やはりというべきかマーチオブスズカに人気が集まり、全員がその動きに注目する。騎手達と調教師達、それに穴党の人々はこいつだけには勝たせるな。という気迫が会場に伝わる。そしてゲート入りが全頭終わり


【ゲートが開いて三歳クラシック第一戦目、皐月賞スタート! やはりここで行ったマーチオブスズカが行ったーっ!】


マーチオブスズカが一時先頭に立つがすぐに暴走気味のペースで飛ばす馬が数頭。マーチオブスズカを潰しに来た馬達だ。

「(さて、田根豊がわざわざ弱点を言ってくれたんだ。なら活用しないとな)」

その思いは誰もが一緒でマーチオブスズカをマークする。田根豊が言った弱点、それはマーチオブスズカが加速するとしがみつくしかなく、他のことは何も出来ないということだ。マーチオブスズカの前に馬体があるとそれを避けたくとも避けられず突撃してしまう。そうなればマーチオブスズカは失格。リーディング騎手たる田根豊も騎乗停止となる。リーディング争いを少しでもなくそうとする輩にとってはこれほどありがたい話はない。


【ここで1000mを通過してペースは55.9。いくらなんでも皐月賞とは思えぬこのハイペースを突き進む二頭にマーチオブスズカ! 後方勢にはかなり有利なペースですがどうなるのでしょうか?】


ハイペースになればなるほど有利になる馬は追込脚質の馬である。その理由は前の馬達が力を使い果たし、力を残している後方の馬がその馬達を差せるからだ。逆にスローペースは逃げ馬が力を残している為に追い込みをかけようとした馬が差せない。もっとも一般的な例であり、例外も存在する。マーチオブスズカの父サイレンススズカはその典型例でありハイペースで逃げ切る馬であったし、三冠馬ミスターシービーは追込脚質であったにも関わらずスローペースが得意であった。


「(さあ、これでマーチオブスズカの化けの皮を剥いだぜ)」


そして1400m通過した時点でマーチオブスズカの前にいる二頭が力尽き、マーチオブスズカを巻き込む形で後退する。観客や騎手、調教師達はよくここまで持ったなど思っていたがそれ以上に注目したのがマーチオブスズカがそれをあっさりと交わしたことだ。

「え?」

マーチオブスズカの前にいた騎手達が唖然とし、遠くへ行く田根を見つめる。

「(そうか、巻き込ませるタイミングが早すぎたのか)」

二人の失敗は馬が悪かった。この一言に尽きる。マーチオブスズカを相手にするならば父サイレンススズカがマイル戦で負けたようにマイル専門の馬を用意すべきだったのだ。そうすることで1600mで力を使い果たさせ、マーチオブスズカの妨害も出来た。


【マーチオブスズカ一着でゴールイン! 勝ち時計は1分55秒8! またもやレコードだ!】

結局このレースもマーチオブスズカは日本レコードで勝利。まさしくマーチオブスズカに敵無しを伝えるような皐月賞であった。


その後マーチオブスズカ陣営は日本ダービーへ目指して調教するも、鼻血で出走を取消。代わりに宝塚記念を日本レコードで優勝し凱旋門賞のプランを立てるが屈腱炎が発覚し白紙となり引退。初年度のサイレンススズカ産駒ながらにして最高傑作とまで言われる評価を受け種牡馬入りした。

これでマーチオブスズカに関しては終わりです。

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